toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「神様には負けられない」 山本幸久

2020年12月31日 | 読書日記
義肢装具士を目指す青年たちの成長記。

物語の背景と主要人物が出そろった時点で何となくつまらなそうな予感。
なんせ義肢装具士なんて特異なな世界を目指す学校に通う学生たちの物語で、3人の登場人物もかなりキャラが濃くて、ついて行けるかな・・・と感じる。
読み進めると案の定、知らないことだらけ。。
でも、ちゃんと説明が有って知らない人にも理解できるようになっていて不安は杞憂になっていく。

主人公の二階堂さえ子、飛んでる永井真純、正義感が強くて真面目な戸樫博文の個性的な三人がなぜか気が合って、様々な出来事を乗り越え、お互いに尊重しあって成長して行く姿が上手く描かれている。

つまらなそうに思えた物語だったけれど、すぐに入り込んでいけて結局は面白く読めました。
その後の話も読みたいから、続編に期待したい。





新潮社
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「ライト・スタッフ」 山口恵以子

2020年12月28日 | 読書日記
映画監督を目指していた青年が、ちょっとしたことから映画の照明の仕事に就くことになる。
監督になるまでのアルバイトのつもりで始めたものの、照明の奥深さに触れるうちに一生の仕事にすることに。

映画やドラマには全く興味が無いけれど、コンサートの演出と共通の部分もあり、面白く読むことができた。
とんとん拍子に話が進みすぎるのがちょっと物足りない。

エピローグは無いか、その後について淡々と記述する形にした方が感動が残ったと思う。残念。






潮出版社
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「ドS刑事 二度あることは三度ある殺人事件」 七尾与史

2020年12月25日 | 読書日記
はじめて読んだけれどシリーズものなのかも。。
ドSというタイトルに反して主人公の女性刑事は別にドSってわけじゃなくて、性格が変わっているだけ。
タイトルからドタバタ小説かと思いきや、意外にも本格派までは行かないけれどちゃんとした謎解きミステリ。
まぁ、この手の小説だからそれなりだけど。。

そこそこに面白かったから機会があれば他のも読んでみようかな・・・・。







幻冬舎
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「新宿特別区警察署Lの捜査官」 吉川英梨

2020年12月22日 | 読書日記
「子持ちの女性幹部と警察官らしくないレズビアンの部下が猟奇事件に挑む!」と言うコピーから、勝手に大倉崇裕の「警視庁いきもの係」シリーズのようなドタバタのライトミステリーを想像していた。
実際、最初に女性幹部である琴音の朝の情景から物語が始まって、レズビアンの部下である六花(りっか)との出会い、そしてその後の展開も軽薄なドタバタ小説を連想させる。

ところが物語が進むにつれ、単純なバカかと思っていた六花が実は優秀な才能の持ち主なんだとか、新宿二丁目と言う特殊な環境に対応するためにはレズビアンとして街に馴染んでいる六花が役に立つという状況が判明してくる。
それまで琴音の足を引っ張っているように見えた六花が活躍するようになると物語は俄然面白くなってくる。
元々の設定に無理があるため、どうしてもリアリティに欠けるところはあるけれど、それにも増して楽しめる話になっている。

哲学的、社会的な問題にも触れていてその辺りはちょっと重い。
物語の展開上、会話などにLGBT関係の専門用語(?)が登場するけれど、特に説明が無いのでそこの部分が理解できなかったりする。。

六花のその後の物語が読みたい!!






角川書店
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「旅仕舞」 佐伯泰英

2020年12月18日 | 読書日記
新・酔いどれ小籐次の第14巻

旅から戻って、日常が戻りつつあった小籐次一家。
旅先から一緒に江戸に来たおしんの従妹のお鈴も加わって賑やかくなった。
これからのお鈴の活躍に期待したい。

後半は鬼辺犯科帳ばりの捕物劇。





文春文庫
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「空虚成分」 媛ひめる

2020年12月14日 | 読書日記
第一話「くしゃみとルービックキューブ」
パラグラフが変わるたびに新しい登場人物の紹介になって、この先物語はどうなるのか?と思っていると、徐々に彼らが関係してくる。
これから物語が動き出すのか…と読んでいくとまだ伏線が回収しきれていないうちに終わってしまった。

第二話「渦の蒐集」
ライトホラーチックな不思議な考えの人達の話。
ラストは良く分からない。

第三話表題作「空虚成分」
墓石の上で目玉焼きを作る…という強烈な出だしが興味をそそる。
これもライトホラーチックの展開になるけれど、後半は現実的。
その後、どうなるんだろう?と思わせるラスト。

第四話「ママはコープに行っただけ」
第三話と同じく前半は死者との会話の話。
第三話は亡くなった父と逢って話をするけれど、こちらは亡くなった母から電話が来る。
短くてすぐ読み終わってしまうが、この話が一番習作。この手の話をもっと書いて欲しいな。

第五話「夜のジョギング」
三崎亜紀の世界に近い話だけど、これもラストが良く分からない。

第六話「ヒエログリフの鳥」
これは、木内昇の世界に近い感じ。
この話はこの本で2番目のお気に入り。
ヒエログリフとは象形文字のことらしい。

最終話「蛾を呼ぶ」
巨大な蛾が登場するけれど、それ以外は一番普通。
物語そのものは面白く読めるんだけど、最後は京極夏彦の世界になってしまう。

ちょっと異常な世界を色んなスタイルで書いている。
はじめて読む作者だけど、とっても器用な清水義範のような人なのかも。。。
もう少し読んでみたいと思わせる。




幻冬舎
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「おいしくて泣くとき」 森沢明夫

2020年12月14日 | 読書日記
いつも良い人しか登場しない森沢明夫なのに、今回は夕花の義父がかなりひどくてらしくない。
でも、それが却ってそれを乗り越えて最後に夕花が幸せになるんだろうな・・と結末が想像できる。

心也と夕花の物語に割り込んでくるまるで関係の無いゆり子の話も、最初はどうつながっていくのか見当もつかなかったけど、あまりに違いすぎるところから何となく時間のずれが有りそうな気がしてくる。

そんな感じで何となく読んでいるうちに先が見えてきたけれど、流石森沢明夫は想像を超えるエンディングを用意していた。
そして、実はあれもこれもみんな伏線だったのか・・・と気づかされる。
だからこの人の作品はいつも読みたくなる。

ただ石村がどうなったのかも書いて欲しかったな。。。
それにしても「ひま部」って良いな・・。




角川春樹事務所
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「卒業旅行」 小手鞠るい

2020年12月13日 | 読書日記
高校のバンド仲間が卒業旅行を計画するものの、メンバーの一人が乱射事件に巻き込まれて死亡したことで中止になってしまう。
事件をきっかけにメンバーの関係もギクシャクしてしまうのを、何とか修復しようとする主人公。
そして感動の(ちょっと物足りない感はあるけど)ラスト。

私の中で小手鞠るいは今まで当たりが無かったけど、はじめて平均越え。





偕成社
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「サンクチュアリ」 岩城けい

2020年12月12日 | 読書日記
オーストラリアに暮らすイギリス系の夫とイタリア系の妻の夫婦の物語。
最後まで良く分からないまま物語が進んでゆく。
色々有ったけど、良かったという解釈で良いのかな?





筑摩書房
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「命の砦」 五十嵐貴久

2020年12月07日 | 読書日記
後書きによると、女性消防士・神谷夏美シリーズの第3作で最終作と言うことだけど、このシリーズを読むのははじめて。
前作を読んでいないと、登場人物が多いのに細かい説明が無いので最初はちょっと戸惑う。
もちろん、読んでいくうちに徐々に分かって来る。

命がけで周辺の人と街を守る消防士たちの行動には感激。
五十嵐貴久はいろんなタイプの小説を書く作家だけど、これもまた今までにはないパターン。

小型カメラと言う意味で「CCDカメラ」と書いているけれど、今のカメラの撮像センサはCMOSです。





祥伝社
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「浅草迄」 北野武

2020年12月01日 | 読書日記
小説かと思って読み始めたら著者の自叙伝。
(でも巻末に「*この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。」って書いてある・・・。)
北野武のことは別にファンでは無いし、特に興味もないから読むの辞めようかと思ったけれど、結構面白くて結局最後まで読んでしまった。

3部構成になっていて、最初は幼少期から大学に入学するまで。
かなりの悪ガキぶりだけど、この時代は程度の差は有るけれどみんなそんな感じだと思う。

次が高校から大学生時代の話で、高校時代の話は同じ話ばかり登場する。
明治大学のことをぼろくそに書いてるけど、明治出身の人が読んだら泣くかも・・・(笑)。

最後は浅草に有ったユニークな店の話。

構成がちゃんとしてなくて、思いつくまま書いた感じで話がどんどん脱線していき元に戻ってこない。
パラグラフの始まりが「まずビートルズの洗礼を受けた。」なのに、その後ビートルズの話は一切出でこなかったりする。



河出書房新社
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