江戸人情噺が4作からなる短編集。
「蝋梅」
後妻に入った家で姑にいじめられて飛び出して一人で生きていたおしな。
男に騙され、色々有ったものの結局は元のさやに納まるという良くあるパターンの話だけれど、構成やストーリ展開が上手くできていて一気読み。
ただ、最後の展開がお手軽過ぎて、ちょっと薄っぺらい印象。
タイトルは、庭の蝋梅の咲くところを見たい・・・。
「木いちご」
一人前の職人になった秀次のところに幼馴染の仙太郎がやって来て、有り金を持って行ってしまう。
一緒になるつもりのやはり幼馴染のおさきと所帯を持つためのお金だった。
落ちてしまった仙太郎を疑いながらも見捨てられなかった秀次。。。
これも最後の詰めがちょっと甘い感じで、物足りなさが・・・。
「蝋梅」に続いて、本当は良い人だったんだよと言う話。
タイトルは、幼い頃に3人で摘んだ木いちごから。
「藪椿」
「木いちご」に続いて、同じく一人前の職人になった新次郎が主人公。
良くできた奥さんが全部知ってて黙って旦那の為に尽くすお話。
ちょっと怖い・・・。
タイトルは新次郎が軒下で育てている花で、何も言わない奥さんの恨みの象徴となる。
「恋の櫛」
表題作はちょっと毛色が違う話だけど、やっぱり職人のお話。
飾り櫛の職人と大店の娘とのラブストーリ。
この作者は初めて読むけど、これはシリーズになってるらしい。
他も読んでみようかな。。