「国会炎上」朝日新聞の2月10日の朝刊の1面に見出しが躍った。政権の使う言葉のまやかしが問題になっている。
稲田防衛大臣が南スーダンの状況を「武力衝突」と表現したが発端。派遣部隊の日誌には「戦闘」という言葉が使われている。稲田大臣は「戦闘状態と表現すると憲法9条の関係で問題になるから武力衝突と表現した。」と国会で答弁した。
だがこれは言葉のまやかしだ。言葉を言い換えたかえただけでごまかせるものではない。現政権の特徴の一つは言葉のトリックでまるで問題点がないような印象を与えることだ。官房長官の「問題ない」の常套句、首相の「それには当たらない」の常套句。これでは議論にならない。
さらに武器を「防衛装備品」、武器の輸出を「防衛装備品の移転」、共謀罪を「テロ等組織犯罪準備罪」、自衛官も地元も空母と呼んでいる艦船を「空母型護衛艦」。言葉の言い換えによるまやかしがまかり通っている。
昔「戦時中に『従軍慰安婦』という言葉はなかったから『従軍慰安婦』はいなかった。」と発言した閣僚がいたが、それがエスカレートしている。
大正デモクラシーの時代に吉野作造が「民本主義」を唱えた。「民本主義」は「民主主義」と言うと大日本帝国憲法違反がから「民本主義」と言い換えたのだ。言葉のトリックを使う政権だ。
「日本独自の表現は『民主主義』ではなく『民本主義』だ」と言いかねない。これが普及したときに日本の民主主義は窒息する。
すでに日本の民主主義は明治政府の出した「五箇条の御誓文」にあると一部で言われはじめている。「五箇条の御誓文」の「広く会議を起こし、万機公論に決すべし。」という文言は「公家や諸侯のよる列候会議」を指す。草案の研究で明らかになっている。
ここは要注意だろう。