岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

2015年『現代万葉集』より 3首自註

2015年11月10日 10時28分17秒 | 岩田亨の作品紹介
『2015年版 現代万葉集』 日本歌人クラブ編 NHK出版刊



・戦いの予感のきざす曇り日におもおもとして窓は結露す


・戦場を映したりしという無惨静止画像におののくわれは


・亡者らがあまた居るべき戦跡にミズトラノオの紫ふかし




 安全保障法案(戦争法案)が国会で審議されようとしていた。国会には上程されていなかったが、出詠時によからぬ予感がしていた。国務大臣が「ナチスに学べ」「立憲主義はもはや古い」という。


 ここに戦争の予感を感じた人は多いだろう。『2015年版 現代万葉集』でも78人の歌人が戦争をテーマに出詠している。その全てが戦争へ批判的な見方をしている。「詩は社会への申し立てと言う面がありますから。」と言われる。戦前のように戦争を煽るような作品が詠まれることはないだろう。



 戦争法に反対する人は社会の多数だ。その世論は、日本中の弁護士、大多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、最高裁判事経験者、最高裁長官経験者が反対していることでも正当性が理解できるだろう。



 これをかたよっていると言うのは、一部の右翼、ネット上のネトウヨだと言っていい。「何となく安倍政権を支持している人と、少し立ち入った話をすると大抵は驚く。テレビと新聞特に読売新聞、サンケイ新聞だけを読んで情報を得ている人はそれに気づかない場合が多い。



 出詠作には「ガザ」「憲法改正」「ベトナム」「ひめゆりの塔」などを作品に詠みこんだののも多かったが、僕はそういう詠み方はしない。個別具体的なものを捨象することで一首を仕上げたいと思う。




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