TPPは自由貿易を担保するものだと言われる。だが自由貿易どころか多国籍企業の管理独占貿易であることはすでに述べた。そのうえTPPは日本の裁判所や国会の意思、制定された法律さえも覆すことが可能だ。事実、自由貿易協定と銘打ったFTAでエジプトは最低賃金の引き上げを断念し、最高裁判所の判決が覆されている。
だからTPPは国家の主権を多国籍企業に売り渡すと批判されている。これもすでに書いた。
TPPは参議院で採決可決された。だが批准と同時に即発行するわけではない。合意から二年以内に、合意した国の総GDPの85パーセント以上、6カ国以上が批准しなければ、白紙撤回される。アメリカのトランプ次期大統領は「TPPからの撤退」を表明している。
アメリカが批准しなければTPPは発効しない。また今国会で成立した関連法ではTPPに対応できない。労働基準法の改正などがやまずみだ。
またTPPが日米の二国間FTAと姿を変えて現れる可能性が大きい。だから「自由貿易」という名の「多国籍企業の管理独占貿易」を食い止めるのはむしろこれからが本番だ。
それを心に留めておきたい。
TPPは国内産業に壊滅的な打撃を与える。
TPPは医療、国民皆保険を崩壊させる。
TPPは国内の賃金を下げ雇用を失わさせる。
TPPは世界の勤労者市民の生活を破壊する。
これはFTAでも同じだ。「自由貿易協定」のもとアメリカの労働者、メキシコの農民、韓国の畜産農家、ボリビアの市民、エジプトの労働者、イギリスの漁民の生活が破壊された。
これを肝に銘じたい。