政治の私物化の問題点。
政治の私物化の問題の中心は、「法の支配」ではなく「人の支配」になることだ。民主主義、立憲主義に反するのは言うまでもない。
森友問題。
すでに記事にしたが、大阪の森友学園が、安倍総理や昭恵夫人との、特別な関係を利用し、国有地を不当に安く入手したこと、公文書が改竄されたこと。この二つの問題がある。公文書の改竄のは総理の意向が働いていた、とも言われる。「忖度」という言葉でこれが表現される。官僚が総理の意向をおもんばかって、公文書を改竄したということ。総理個人の意向で行政がゆがめられる。「人の支配」の典型だ。
次に、加計問題。
加計学園グループの岡山理科大学の獣医学部の新設をめぐって、加計幸太郎氏と、安倍総理、萩生田現文科大臣の特別な関係で、獣医学部の新設が許可されたという疑惑。全国で獣医は余っており、獣医学部の新設が許可される条件はない。ところが認可された。安倍総理の関与を裏付ける文書が出てきて、加計幸太郎、安倍総理、萩生田氏、が親しくバーべキュウに興じる写真も公開されている。安倍総理は「家計幸太郎氏と面識はない」と主張していたにも関わらず。
最後に、桜を見る会の問題。
公費で開催される「総理と桜を見る会」に6000人以上(参加者の半数以上)、総理と与党議員の支援者だった。公明党の支持者も多く参加している。「与党の議員枠があった」と萩生田氏の発言があった。安倍事務所が桜を見る会の参加者を直接募集していたのも明らかになっている。これは公職選挙法違反の買収と饗応に当たる可能性が高い。
桜を見る会の前日のホテルでの安倍晋三後援会主催のパーティー(前夜祭)の収支が政治資金収支報告書に記載されていない。これは政治資金規正法違反に当たる。
またマルチ商法で利益を上げていたジャパンライフの社長が、桜を見る会に招待され参加。その事実を広告に利用し、詐欺被害の拡大を招いた。総理枠であることも内閣府の資料で明らかになっている。これは、詐欺罪の幇助に当たる可能性がある。
ほかにも反社会的勢力、暴力団が、桜を見る会に招待され参加している、などの問題がある。
総理個人に近い人間が公費で無料の飲み食いをする。「政治の私物化」「人の支配」を絵にかいたような構図。これは野党が追及本部を立ち上げ「法規部会」がどんな罪状に当たるかを共同で調査している。「下関ルート部会」は総理の地元下関で聞き取り調査をしている。
この問題は「政治の私物化」「人の支配」の問題以外に、「票を金品で買う」というべつの問題でもある。
これだけの問題があるのに、内閣総辞職につながらないのは与党が「予算委員会の集中審議」を拒否し、安倍総理自身を直接追求する機会を設けないことに主因がある。予算委員会が開催されそうになると、安倍総理が外遊する。都合が悪ければ、議員の三分の一以上の要請があっても、予算委員会、臨時国会を開かない。
日本の議会制民主主義の危機だ。与党からは「逃げ切った」という声が聞こえる。これは犯罪者が発する言葉だ。