岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

平和を訴える歌2・(九条歌人の会の作品集から)

2019年12月12日 22時25分40秒 | 私が選んだ近現代の短歌
「九条歌人の会」作品集「憲法を詠む」から。


・事あらば先ずは兵戈と愚かにもホルムズ海峡血に染める気か(奈良達夫)

 兵戈は(へいか)と読む。兵は軍隊、戈は武器の一種である。軍隊に頼った安全保障を「へいか」と断ずる。下の句に臨場感がある。



・あの時なら止められたんだ この次の元号の世の子らが言わんか(石本一美)

 ここ十数年は「歴史の転換点」だったと・のちの世に言われるだろう。戦前の十数年のように。歴史の審判に耐えうる、言動や行動が必要だろう。



・ゆるぎない事実をつきつけたっている原爆ドームは世紀をこえて(大川史香)


 「ゆるぎない事実」とは、戦争による被ばくである。サラリとした表現だが、重いテーマの作品化に成功している。



・手を引かれ火の粉くぐりし空襲の記憶あたらし夏がまた来る(長勝昭)


 空襲体験の歌である。70年以上前だが、忘れ得ぬ体験なのであろう。「夏がまた来る」と言う表現は何気ないものだが、切実感がある。



・戦争になだれゆく日が目に浮かぶ憲法九条壊れたるのち(北川泰三)

 日本はどこへ行くのか。考えねばならぬことだろう。




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