前日の「星座10周年記念会」に続いて、11月27日に鎌倉市の浄妙寺境内の石窯ガーデンテラス2階で、「星座α」創刊記念歌会が開かれた。事前に送られてきていた詠草60首を6人の選者団が批評し尾崎主筆がまとめる、という方法でおこなわれた。
僕は選者団のひとりとして、60名近い参加者に対面するかたちで座った。参加者は非常に熱心で食い入るように前を見ているので、逆にこちらが「品定め」されているようで緊張した。
つまり、「この選者何を言うのだろうか」と興味深々と見られ、その発言を吟味されるような気持に包まれた。緊張に押しつぶされることはなかったが、それだけに参加者全員の熱気が伝わってくるようだった。そして、前日の「星座」10周年記念会に引き続き、表現を錬る、言葉を磨くということを真剣に考えた。
午前中に1時間半。午後にも1時間半。かなりハードだったが全員が意欲満々だっただけに、こちらも真剣勝負。だが手ごたえは、こちらがへとへとになるほど十分だった。
・歌会午前の部
主な論点:「ひとつひとつの言葉の意味は明瞭だが、つながりがしっくり来ない」「命という言葉がささいなことに使われ過ぎてはいないか」「マスコミ用語の是非」「時間の推移を表現するのは難しい」「瞬間を切り取れ」「細かいところをよく見ている歌のいいところ」「大きな世界を詠っている歌のいいところ」「頭の中で整理してしまっては主観的になり過ぎる」「古風に過ぎはしないか」「比喩が平凡ではつまらない」「焦点がふらふらしてはいないか」「5W1Hのうちの1Hをきちんと捉えているか」「固有名詞によりかかってはいないか」など。
・昼食
「鉢の木」という店の仕出し弁当。名がゆかしいのみならず料理のセンスも際立っていた。二段重ねの重箱の蓋ひとつひとつに、「風のひびき/こころの響き」という尾崎主宰の書を書いたものが載せられていたのがこころにくかった。
・歌会午後の部
主な論点:「作者の感動が直接強く詠われているか」「他人ごとを詠まず、まず自分の感動を詠め」「事実は伝わるが、自分の感動の表現が希薄では困る」「事実を連ねただけでは詩にならない」「比喩や使役は表現が遠回りになり、自分の感動がダイレクトに表現されない」など。選者団6人の作品も容赦なく、俎上に挙げられた。僕の批評と表現のアドバイス(添削の案)が尾崎主宰から「上手い」と言われたが、そこは自戒。「上手い歌と佳い歌は違う」。「星座」誌上でも繰り返し強調されて来たことである。
・まとめ:
60人の作品だけに、論点は多岐にわたった。大人数の歌会で全員の作品をとりあげることはめったにないが、それをかなりのボリュームで行えたのは参加者全員の糧となろう。歌会の最後に尾崎主宰の話。「星座α」創刊の経緯・これからの展望などが熱意をこめて語られた。
・短歌の基礎知識:短歌は一人称の文芸と呼ばれるが、「われ」の感動を深く強く表現できるように、感動の中心を絞り込む。定形で短いだけに、そこが作品の良し悪しを左右する。
・最後に鎌倉五山の第五位・浄妙寺の御住職の「歓迎の話」があった。浄妙寺やその中の石窯ガーデンのスタッフの全面的バックアップのもとで行われていることがわかり、一同感謝に堪えなかった。また雑誌の編集スタッフの紹介もあり、その労を参加者全員でねぎらった。
それに加え「石窯ガーデンテラス」の、パンを焼く責任者の方や、パテシエの挨拶とサプライズのプレゼント(「星座α」と大きく書かれた大型クッキー、60人分のスイーツ・60人分のケーキ)もあって、一同大いに盛り上がった。
まさに参加者・関係者全員で成功させた「歌会」だった。
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248-0003
神奈川県鎌倉市浄明寺3-8-31
浄妙寺石窯ガーデンテラス2F
「星座α事務局」