岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

2016年版『現代万葉集』より 3首自註

2016年10月25日 17時14分10秒 | 岩田亨の作品紹介
2016年版『現代万葉集』より NHK出版


1、薄明の部屋の空気の淀み居て不意に湧ききる心の夢幻



2、遠き世の王の権威の大きさを示すさんほどに墳丘しずか



3、真夜中に般若心経筆写するひとつの記憶を忘れえぬわれは



 1、深夜に起きることがある。たいていは夢を見ていた。それがいやにリアルだったりする。今見たのは夢か幻か。「夢幻」という漢語で表現した。こういうのはいい気分ではない。まるで空気がよどんでいるようだ。



 2、古墳に行ったことがある。写真でも見た。かなりの大きさの古墳だ。古代の王の権威は絶大だったに違いない。権威あるものの重量感のようなものを感じた。




 3、心に大きな迷いを感じて、どうしようもなかったことがある。『聖書』『仏陀の言葉』『コーラン』のほか高僧の伝記などを読み漁った。般若心経もそのひとつ。「色即是空、空即是色」。「形あるものは空で、空なるものには形がある」こういう哲学的な記述を味わいながら筆写してたが心は晴れなかった。



  定価本体2857円+税


今年は『運河』に出詠したものを選んだ。








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