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共謀罪は民主主義を窒息させる!

2017年06月05日 01時08分56秒 | 政治経済論・メモ
共謀罪。「テロ等組織犯罪準備罪」の略称だが、このブログで批判してきたが国際社会から批判の声が上がっている。


国連人権委員会のプライバシー問題の報告者から「国際標準の民主主義たりえていない」と批判された、アメリカの専門家からも疑義が呈されている。国内世論は共謀罪反対の世論が過半数になった。だが批判の声が大きくなるペースは緩慢だ。なぜかマスメディアがほとんど報道しないからだ。


 このマスメディアについても国際的な批判が上がっている。「マスメディアの自由度は70位以下」だが、加えて国連人権委員会の別の報告者から助言があった。内容を二つ上げると「記者クラブの廃止」「放送法が『政治的公平性』を求めている条文を廃止」という内容だ。


 記者クラブは「国会の記者クラブ」に所属していないと記者会見に参加できないなど取材の方法が制限される。記者クラブの記者は政権と接触する機会が多い。政権との親疎が取材範囲を制限する。当然記者は政権と親しくなろうとする。首相や閣僚の番記者は私的に接待されたりもする。これでは政権に批判的な事件は報道されにくい。


 放送法の「政治的中立」の項目。これはマスメディアが自主的な倫理規定を持つなら問題ない。だが国家がこれを報道の前提として規制するのは本来おかしいのだ。


 このマスメディアの問題点は今に始まったことではない。ではなぜ今の時期か。それは最初の「プライバシー問題」の報告者の報告を、日本政府が「私的なもの」と一蹴しようとしたことだ。「国連の特別報告者」は私的立場で個人的な意見をいっているのではない。特別報告者は国連人権委員会から任命され人権問題の専門家として委員会に問題を報告する。その報告は人権委員会にかけられ採択されれば国連決議となる。


 首相が訪米したとき国連事務総長と会見して、特別報告者の報告は国連の総意ではないと外務省が発表した。マスメディアはこぞってこれをそのまま報道した。しかし事務総長の発言の英訳を見ると、「私的」「非公式」という文言はない。「人権問題の専門家として独立して調査している」と発言されている。特別報告者の報告は人権問題の専門家としての公式な報告だ。「独立して」というのは「特定の国の利害から独立して」と言う意味で「私的、非公式」ということではない。


 こういう国際的観点から言うと、「共謀罪がテロ対策」というのも怪しくなる。外務省ホームページには「テロ対策に必要な国際条約」が13本明記されている。これを日本はすべて批准して国内法も整備された。共謀罪制定の立法事実「法律を制定する理由」がないのだ。


 しかも参議院の審議で明らかになったのは、人権団体、環境団体、消費者団体が、監視、共謀罪の適用範囲にはいると明確になったのだ。そこでアムネスティインターナショナル日本、グリンピースジャパン、ピースボート、日本消費者連盟なども共謀罪反対の意思を表明し、「共謀罪ノー実行委員会、戦争させない総がかり行動実行委員会、などと日比谷野外音楽堂での「共謀罪反対の集会」を共催している。


 共謀罪は、人権を侵害し、「国際基準の民主主義」を破壊するものと断定してよいだろう。



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