星座α23号が刊行されました。選者としての作品批評です。
【今だから心を落ち着かせて】
今回の詠草を一読してやや乱調気味か、と感じた。秀作がある一方で、毎号よい作品を出詠していた作者作品が軽くなっていたり、日常報告的になっていたり。それ故、選んだ歌数にバラツキが出てしまった。添削を希望しない作者の作品にも手を入れた。ご了承願いたい。
乱調はコロナで生活が落ち着かないせいかと思うが、こういう時だからこそ心を落ち着かせたいもの。
・故郷が消えるように梅雨に入る歌
四句までが比喩。、間伸びしやすい歌の構造だが、言葉の情感が重いので、それを感じさせない。
・体温を測られて劇場にはいる歌
最近のカラオケもライブハウスもそうだが、額の部分に機器をかざされて体温を測る。コロナの症状が出ていないかの確認だが上手いこと作品化した。コロナ=自粛ではなく、切り込み方がなかなかようい。
・父母ありし家を訪ねる歌
・不器用に生きる歌
内容は違うが、世に対する異議申し立てと見た。社会詠というほどではないが、世の中と自分の有り様(ありよう)をしっかりと見詰めている。
・白き帽子の女学生の歌
・天声人語を読むようになった歌
・夕餉にビールを飲まなかった歌
一首目。美しくさわやかな光景が浮かぶ。2首目。自粛のなかでの新生活。3首目。孤独感が印象的。
ほかにも「岡井隆の訃報」など紹介したい作品があったが、紙数の関係で割愛した。