岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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「星座α」23号:相聞10首(4)

2021年01月02日 01時31分22秒 | 岩田亨の作品紹介
「星座α」23号:相聞10首(抄)

 「星座α」23号に「相聞10首」を出詠したそのいくつかを紹介。

・やわらかき日差しを受けて静かなり二人ではいる汝(なれ)の仕事場

  彼女の仕事場は窓が大きく日差しが明るく差していた。仕事場全体が明るい印象。人間に対する配慮のようなものを感じた。

・手土産に民芸品を求めたり静香と揃いの紙の人形

 二人組の紙人形を2セットかった。彼女が買ってくれたので、僕も買った。同じようなものを2セットとは味気なかった。少し違ったものを買うべきだった。彼女はセットの一つを僕にくれた。僕は自分でかったものを彼女に二つとも渡した。分け合ったほうがよかったかもしれない。

・三日とも静香は服を変えたれど気づかぬわれは鈍感なるぞ

 彼女と過ごした三日間は僕は、青のスーツ。静香は三日とも服を変えたが僕は気づかなかった。そこが鈍感なところ。

・夜おそくかの人よりのメールあり明日を案じて寝むられないと

 「星座α」では「明日を信じて」となっているが、これは誤植。この三日間の前後に何通かメールがあった。そこで仕事などの悩み事の相談があった。後日会って話したら、本人は覚えていないという。しかしそもそもの出会いが悩み事の相談だった。

 この一連には続きがある。作品は全部で50首。作品化する前に、尾崎主筆に相談したら「アララギにはいい相聞がないから頑張って」と言われた。この50首の中には「アララギ」で培われた語法がある。それは相手を「君」とは呼ばないことだ。「君」「汝(なれ)」「かの人」様々つかったが、歌会での評判は良くなかった。そこで最後に尾崎主筆に50首すべての作品をみてもらったときのいくつかのアドバイスの中に、二人称をどう呼ぶか、最終的に決定するものがあった。

 こういういきさつがあるだけに、愛着のある作品である。







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