日本ペンクラブ声明『米国の相次ぐ臨界前核実験に抗議する』
核兵器開発が危うい段階を迎えている。
先月末、米政府は今年2月にネバダ州の核実験場で臨界前核実験を行ったことを明らかにした。一昨年12月につづき、トランプ政権になって2度目の実験である。
一方、米政府は、ロシアが北極海で低出力の核実験を行っている可能性があると分析している。(ロシア側は否定)。
いずれにせよこれらが明らかにしているのは、核大国が「新冷戦」ともいわれるグローバルな覇権争いの下、核兵器の威力を技術的に管理し、「使える核兵器」にしようという動きである。
しかし、低出力であろうと、核兵器が無差別の非人道的・大量破壊兵器であることには変わりはない。何よりこの核兵器の「使える核兵器化」は、広島・長崎の被爆後、かろうじて人類が遠ざけて来た核戦争を現実のものとする危険があまりにも大きい。
私たち日本ペンクラブは、戦後の再出発に当たって、日本が周辺諸国と諸地域の人々にあたえてきた戦争の惨禍を深く反省するとともに、あらゆる核兵器の開発・実験に反対してきた。
私たちは相次ぐ米国の臨界前核実験に強く抗議すると同時に、核兵器を所有する諸国と諸国民がこれに追随することなく、核廃絶を求める国際的な動きに合流し、努力をされることを訴える。
2019年6月5日
一般社団法人日本ペンクラブ
会長 吉岡忍