神戸医科大学感染症内科の岩田健太郎教授が、横浜港に停泊中のダイヤモンド・プリンセス号に乗り込んだ。その顛末がYouTubeにアップされ、海外へも発信させられている。
その内容から見えてくる問題点をまとめてみた。
1、感染症が拡大している地域では、レッドゾーンとグリーンゾーンが設定される。エボラ出血熱の場合もサーズの場合も同じ。どこにウイルスがあり、どこでウイルスが発見されていないか。これを明示し医療従事者の安全をはかる。これが感染症対策のルールだ。しかしダイヤモンド・プリンセス号では、これがぐちゃぐちゃ。岩田教授は、エボラ出血熱のアフリカでもサーズの中国でも活動した経験があるが、自分が感染する危険を一度も感じたことがない、しかし、ダイヤモンド・プリンセス号では恐怖感に襲われたという。
2、こういう素人のやるようなことが何故起こったか。ダイヤモンド・プリンセス号には医療スタッフはいるが感染症の専門医はいない。いるらしいが常駐はしていない。また専門医の助言を受け入れることもない。岩田教授自身が提言したが、その直後検疫官から解任され下船させられた。二時間ほどの滞在だったが教授は、自分で自分を隔離して経過観察している。
3、感染症の専門医が対策に関わっていないのは、2020年2月19日から始まった、陰性反応の乗客の下船のしかたからもうかがえる。船内の検査で陰性でも、潜伏期間の14日は都市から離れたところで、経過観察するのが当然だ。しかし下船した乗客はそのまま、公共交通機関で帰宅した。帰宅後は外出もするだろう。もし感染していたらウイルスをまき散らすことになる。感染症の専門医が対策に関わっていればこんなことはしないだろう。
4、政府の対策本部に先日専門家が加わったという報道があった。だが医師はいても感染症の専門医がいるのだろうか。いれば、こんな下船の仕方はさせないはずだ。そもそも対策本部の結成メンバーに、感染症の専門医を入れないのがおかしい。
5、ダイヤモンド・プリンセス号の感染拡大の防止は失敗した。素人仕事の恥ずかしい失敗である。この失敗の様子は、この船から下船してアメリカへ帰国した医師も証言している。ダイヤモンド・プリンセス号の感染管理は失敗だが、失敗を隠すのはもっと失敗だと岩田健太郎教授は言う。
6、情報の出方.。サーズの時の中国政府より情報が出ないと岩田教授は語る。情報の隠蔽。モリカケ、桜を見る会、と共通の構造があるように見える。もしかしたら、全て「特定秘密」に指定されているのかもしれない。
だがこれは、この国に住むすべての人の命を危険にさらす隠蔽だと指摘しておきたい。
余程の圧力がかかったのだろうか。岩田教授の動画は、教授自身が削除した。しかし、これを機に、船内のスタッフがSNSで声をあげ始めた。