岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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原子力災害の被害拡大の可能性があった

2012年03月21日 23時59分59秒 | 政治経済論・メモ
何かのはずみにあることすを思い出すというのはよくあること。

 不意に何かを思う。不意に何かを感じるというの日常生活ではよくあることだが、そうあっては困るのが原子力発電だ。

 朝日新聞に小さな記事があった。福島第一原発の4号炉が無事だったのは二重の偶然が重なったとの記事だ。

 福島第一原発には4つの原子炉がある。1号炉から3号炉までは、燃料が露出したのに何故4号炉のみ露出しなかったのだろうか。外部電源喪失時の電源なしの冷却のシステムは同じなのに。

 2011年5月26日の朝日新聞によれば、1号炉は3月11日のその日のうちに燃料露出、炉心損傷が始まり、翌12日にはメルトダウン、圧力容器破損、原子炉建屋が水素爆発した。

 2号炉は3月14日に燃料の露出、燃料損傷が始まり15日に水素爆発、メルトダウンが起こり、16日には圧力容器が破損した。

 3号炉は3月13日に燃料露出が始まり、14日にメルトダウン、圧力容器破損、水素爆発が立て続けに起こった。

 これら一連の「事故」で大量の放射性物質が大気中に拡散した。原子力安全保安院が「モニタリング・ポスト」での大きな測定値の変化はない、テレビニュースでも「いわゆるメルトダウンには至っていない」「なんらかの原因で水素が外部に漏れた」といっていた時の事だ。(そのときの、原子力安全保安院の審議官、NHKの科学文化部記者は顔を見なくなった。)

 そこで強調されたのは「4号炉は冷却状態にある」ということだった。どうも釈然としなかった。4号炉とて、外部電源喪失という条件は同じ。運転停止中でも冷却し続けなければならないのが原発。どうして4号炉だけが無事なのか。

 その謎が震災以来1年経って、つい最近明らかになった。(2012年3月7日朝日新聞)二つのアクシデント(偶然)が重なったからだという。工事の不手際と地震の揺れによる偶然の二つだ。

 偶然1。4号炉は定期点検のため、3月7日までに「原子炉ウェル」と呼ばれるプールから水を抜く予定だった。しかし作業の不手際のために3月11日の時点で水を張ったままにしていた。

 偶然2。地震の揺れのためか、地震後の燃料プールと隣の原子炉ウェルとの仕切り壁がずれて隙間が出来た。その結果、ウェルからプールに約1000トンの水が流れこみ、プールの燃料が露出するのをかろうじて防いだ。外部電源喪失にもかかわらず4号炉が冷温状態を保てた。これにより3月20日からの外部よりの放水開始まで時間的余裕が出来たのだという。

 この2つの偶然なかりせば、福島第二原発にも近づけないくらいの大量の放射性物質が放出され首都圏の住民まで避難の対象になる畏れさえあったと、新聞報道は伝えている。

 冒頭で僕が持った疑問は2つの偶然によって防がれたことになる。偶然により回避された最悪のシナリオ。これは考え時だと思うがどうだろう。



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