岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

短歌研究が選んだ3首(相聞)

2021年11月23日 21時01分53秒 | 岩田亨の作品紹介
・夕暮れに汝(なれ)の家より帰りゆく散りし桜の敷積む道を

 北原白秋の「君帰す朝の敷道さくさくと雪よ林檎の香のごとく降れ」を意識した一首。相聞だが、アララギならこう詠むぞと、勢いて詠んだ一首。

・逃れ得ぬジレンマ重く抱えつつ爪切ることも忘るる日々よ

 心理詠である。だがこの一首は相聞と連動している。ジレンマがあるから恋をするのだ。そしてこれは相手と会う前日に詠んだ作品。

・湧きあがる雲には秋があると言う汝(なれ)の瞳は青く輝く
  
 相聞歌だ。これ以上の説明は無用だろう。相手が誰かは問題ではない。捨象の対象だ。

     【「短歌研究」2021年度版「短歌年鑑」より】





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