「星座」かまくら歌会 2015年4月 於)生涯学習センター
今回出席して驚いた。参加者が15人。出詠が同じく15首。これらの作品群が、作者の独自のものの見方、独自の表現領域を持っている。
素材も様々だった。心理詠あり、都市の叙景歌あり。主題も、作者それぞれの喜怒哀楽を、表現している。言葉の巧みさにとどまらない内容がある。自分を掘り下げた作品、父母への愛情を表現した作品、自分の繊細な感覚を活かした作品、言葉遣いにインパクトのあるもの、逆に言葉をしなやかに使ったものもあった。
着眼点、表現の内容、言葉の波動が、おのおの異なっている。この会は佐藤佐太郎に学びながら、短歌を創作する会員が集まっている。佐太郎は斎藤茂吉の弟子。写実派とか写生派と、呼ばれている。「写生」「写実」と言えば、客観主義オンリーと思われがちだが、そんなことはない。バラエティーに富んでいる。
尾崎左永子主筆が、「自由な発想で短歌を詠もう」「失敗を恐れずに実験作を歌会に持ってこよう」「短歌は定型の現代詩である」という主張が、会員に着実に伝わり、実を結びつつある。
なにより活気がある。参加者が忌憚なく批評をする。意見の割れることもあるが、険悪にはならない。却って自分の気づかなかったことを、学ぶことが多い。
尾崎主筆の講評も上級者むけになった。しかも会員一人一人の歌境に即した批評をする。こういう態度が、結果として参加者の歌境を進展させているのだろう。
「一読して読者に伝わるように」「情景を心理の表現に活かす」「起承転結は大事だが、それは初心者の場合、実力がついたらそれを壊した作品にも挑め」「感想文、単なる記録になるな」「自分の癖を見極めよ。消したほうがよい癖、消さない方がよい癖。」「写生はコツコツと言う考えは捨てよ」一つ一つの言葉に重みがある。
それが「詩人の聲」で聞く、天童大人の言葉と重なる場合が多い。尾崎左永子を知り、歌集を読み、合唱組曲の作詞もしていると知ったときこう思った。
「この歌人は、短歌を詩としてとらえ、詩としての短歌の創作を目指している」と感じたがそれに間違いはなかったと思う。
歌会のあと懇親会があったが、ここでは、俳句、俳諧、連句、についての話をした。先月のレポートに書いた吟行は、5月だった。改めて楽しみにしよう。
なお、「星座の会」は、この10月5日から8日に渡って、創刊15周年記念の全国集会を開催する。場所は横浜ホテル、モントレ。