岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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独りの喪・深い悲しみの歌:尾崎左永子の短歌

2022年08月20日 21時58分28秒 | 尾崎左永子(長澤一作・川島喜代詩)の短歌を読む
・冬の苺匙に圧(お)しをり別離よりつづきて永きわが独りの喪

 「さるびあ街」所収

 自己凝視の深い作品だ。「別離」は「作者の離婚」。「つづきて永き」から忘れ得ぬ悲しみを噛みしめている様子が読み取れる。「わが独りの喪」が作者の孤独を際立たせる。

 それを象徴しているのが「冬の苺」と「匙で圧(お)しをり」だ。「悲しみの心」を更に際立たせる。「冬の苺」の寂しさ・冷たさ。「匙で圧(お)しをり」悲しみをブツブツと嚙みしめている印象が深く刻まれる。

 どれを取っても、隙の無い語句選びだ。こういう徹底さに圧倒される。尾崎左永子の代表作のひとつだ。



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