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書評:詩集『丘の上の非常口』(岩崎迪子詩集)思潮社刊

2014年10月17日 23時59分59秒 | 書評(文学)
「丘の上の非常口」(岩崎迪子詩集) 思潮社刊


 この詩集は2部立てだ。第1部には13篇、第2部には12編の作品が収録されている。

 いずれも独特の世界を表現している。独特のユーモア、独特の抒情だ。作品には軽快なリズムがあるが、表現された内容は決して軽くはない。作者の真面目な生き方が作品化されている。

 卑近な例で申し訳ないが、ドラえもんの「どこでもドア」で、異世界に誘われた感覚がする。「詩人の聲」のプロジェクトに参加しているだけに、作品の音楽性が高い。読んでいてリズムが心地よい。まるで定型詩と見まごうほどだ。

 リフレインの多用、脚韻、などが自在に使われている。

 言葉を巧みに配置し、人間の生と死を直接表現した作品、暗示した作品と様々だが、作者の感受がストレートにはいってくる詩篇だ。

 作品には、時折人を驚かす言葉が出て来る。それが不自然に感じられないのは、高い音楽性と、無駄な言葉がないこと、作者が言葉を飾っていないことに起因するのだろう。


 集録作品の表題を、紹介しよう。

 第1部。

 「こんにちわ」「他人のそら耳」「馬」「けころけころし考」「国会図書館」「ベランダ」

 「コトリ」「みどりの五月」「センチメンタルホスピタル」「夕暮れ時」「雨の理由」

 「家のなかの碧い空」「うしろののれん」

 第2部。

「果てしない冬の朝」「月に曳かれて」「収穫」「今夜の羊」「にぎやかな月」「衣かつぎ」

「おとこの腕」「逃げ水」「ゆび」「手紙は必ずあて先へ届く」「遺伝子のお告げ」

「カチカチ山の非常口」


 「詩人の聲」に参加しながら制作された詩集だ。詩歌は音声の文学としみじみ思う。

作者にとっては15年ぶりの詩集だ。以前の詩集と比べて.言葉使いがしなやかだ。そしてリズミカルだ。「詩人の聲」で聲を出しながら制作されたためだろう。以前の詩集と比べて読むと.それがよくわかる。




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