先輩歌人に言われた。「いい音楽を聞き、いい絵画を見たまえ」。角川賀詞交換会でのことだった。数年前になる。そのときから意識して音楽を聞き、絵画を鑑賞するようになった。意識していても理屈では考えない。音楽なら聞いて感じるだけだ。これは「詩人の聲」で身についた聞き方。FBの友人にミュウジシャンも多い。
昨年の10月20日。横浜の「エルプエンテ」という店でライブを聞いた。「音の架け橋」と言う。全体の構成はFBの友人多田弘一が担当した。彼からのお誘いだった。
一晩では滅多に聞けない内容だった。出演者と演奏が豪華だ。書き出してみる。
CHIHIROのコラの弾き語り。コラは弦楽器で「アフリカンハープ」と呼ばれる。
きじとら龍一のギターの弾き語り。バンドではギターの演奏が主な役割のようだがこの夜は彼の原点。岡林信康の懐かしい曲が演奏された。
ひらげエレキテルのギターの弾き語り。コミックバンドを思わせる選曲。話を聞いていると人柄のユニークさも伝わってくる。
伊藤礼、吉田元のシタールとタブラの演奏。シタールはインドの弦楽器。タブラはインドのパーカッションだ。
多田弘一のギターの弾き語り。「愛の歌」などのアップテンポの曲を聞くのが多かったがこの夜はしみじみとした曲が演奏された。
これだけのメンバーだ。横浜とはいえ深夜バスの最終便に乗った。それほど内容があった。滅多に聞けない楽器の演奏もあった。「この楽器を作るのは日本で数えるほどしかいません」「この楽器が修理出来るのは関東に一人、岐阜に一人いるだけです」。こんな話も聞いた。
演奏者の生活も垣間見えた。地方で農業に従事して自給自足に近い生活をしている人もいた。さまざま苦労しながら、工夫しながら音楽活動をしている。歌人や詩人も同様なのだろう。
先日フラメンコライブを聞きに行ったが、フラメンコギターの音色がインドのシタールに似ているのに気が付いた。楽器の音色がにいているように感じられるのは演奏法に共通点があるからだろう。フラメンコはジプシーの音楽。ジプシーはヨーロッパで迫害され放浪の生活をした。インド音楽の影響もどこかで受けているのかも知れない。
この日FBの友人が一人増えた。歌手で社交ダンスを教えている。この人の紹介で最寄駅の三つ横浜寄りにヨルダン人の経営するパブにも行った。さしずめライヴハウスというところ。ここにも時々顔を出している。まあ様々な音楽の生演奏を楽しんで聞いていこう。短歌には音楽性がある。それは現代詩より根強いと思う。短歌は単に「うた」も呼ばれるからだ。聲を鍛えるために僕も大いに歌おうと思っている。
多田弘一の演奏の様子はユーチューブにもアップされている。お薦めしたい。
