日本国憲法。これが戦後最大の危機を迎えている。自民党の改憲案をみればそれがわかる。このブログにも投稿した『憲法を変えて戦争のボタンを押しますか?』(高文社刊)の書評にある通り憲法の基本的人権の部分がごっそり削られようとしている。
基本的人権。これは保証されて当然のように考えられている。戦後70年まさに空気のように定着してきた。自民党のHPを確認してほしい。先に挙げた本で改憲案の本文を読んでほしい。とくに緊急事態条項。国家緊急権とも言う。
これは憲法学者の間でも必要ないとされている。政府が緊急事態と判断して、緊急事態を宣言すれば、内閣が法律と同等の効力を持つ政令を発することができると言うもの。これは議会の停止を意味する。そして国民の基本的人権は制限される。軍事政権の戒厳令と同じだ。
首相はこれについて重要な偽りを国会で述べている。
1、どこの国にでも緊急事態令はある。
2、大規模災害に対応するため緊急事態令が必要だ。
この二つは大きな間違いだ。ありていに言えばウソだ。
1、について。アメリカ、イギリスに国家緊急権や緊急事態令はない。フランスにはあるが、戦後の一時期に使われただけで、その後は使われず、今は廃止の議論がされている。国家が基本的人権を制限するなどあってはならないからだ。ドイツにはあるが連邦国家の事情から、裁判所の厳密な監視のもとで運用される。
2、について。大規模災害の場合は国家に権限を集中するより、地方自治体に権限を委譲してきめの細かい災害復興をしたほうがいい。何より国家緊急権、戒厳令は、軍隊の出動とセットで使われるものだ。
緊急事態令や戒厳令があるのは、北朝鮮のような国や、ミャンマーのような最近まで軍事独裁政権があった国だ。
歴史をみても、イタリアのムッソリーニは緊急事態令によって独裁権をにぎり、ナチスドイツのヒットラーは議会の停止による全権委任法で独裁権を確立した。
だから自民党は憲法が選挙の争点になりのを避けたがっている。だが自民党の本音は、憲法改正だ。その本音があからさまなのは、「創成日本」という市民団体での政府高官の発言だ。元安倍総理も出席しているこの団体の演壇で政府の高官、与党の幹部が、耳を疑う発言をしている。
「とうとう憲法改正ができる時がやってきた。自民党の改憲案には不満だ。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を堅持するとあるからだ。こんなものがあるから腰が引けてしまう。」
このままでは日本はどこかの独裁国家のようになってしまう。
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