角川賀詞交換会 1月27日 パレスホテル東京
この賀詞交換会は短歌、俳句に携わるものの新年会でもある。ここ何年も出席しているが今年は少し趣きが変わっていた。例年なら名刺を配るのだが名刺を忘れたこともあって大人しく会場の雰囲気を噛みしめた。
先ず角川短歌賞の受賞式。今年は鈴木加成太の「革靴とスニーカー」が受賞作だった。選考委員から選考経過が発表された。
「昨年の谷川電話もそうだが、職場を詠った作品だった。」選考委員は昨年との継続性を強調した。しかし僕はかなり違った印象を持った。去年の谷川電話の作品はペンネームが示すようにお笑い芸人の独り言のようなものだった。乾杯の音頭をとった馬場あき子から名指しでやんわりと批判されていた。
「俳句賞の方は人間が描けている。」今年の受賞作は人間が描けていた。作品の完成度に雲泥の違いがある。これは喜ばしいことだ。
変わって賀詞交換会。何人かの歌人と挨拶したが、食事に困った。胃のないものには食べられないものが多かったからだ。イカ、タコ、海老、蟹、海藻、カレー、蕎麦、パスタはダメ。肉、魚、ブロッコリーを探して会場をまわった。野菜の煮物がいいのだがほとんどなかった。
例によって噛む回数を数える。これでは話す余裕はない。来年から「私は胃がないので、噛む回数を数えています。私が口を動かしてきるときにはなしかけないでください」と書いた札でも下げようか。
だが収穫は幾つかあった。いつも助言を貰っている先輩の歌人から貴重なアドバイスを貰った。「安保法に反対する学者の会」のバッヂをつけていったが、社会詠を詠む歌人とその関係の話をした。角川『短歌』の編集長に歌集出版の進捗具合を聞いた。
「ゲラが届き次第『詩人の聲』にかけて作品を直すつもりだ。」と伝えた。ゲラが届いたのはこの2週間後だった。
まあ新年のよい出発点となったようだ。