【ダラムサラ(インド北部)=永田和男】インドに亡命しているチベット人民間活動団体(NGO)5団体の代表者が17日、ダラムサラで記者会見 し、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が北京五輪開催を支持していることに「失望している」と明言し、ダライ・ラマが唱える中国との対話路線につ いても「修正が望ましい」との考えを示した。
ダライ・ラマに、亡命チベット人有力者が苦言を示すのは異例。各NGO代表者は、チベット自治区内住民との接触も踏まえて、ダライ・ラマの意見が 政治面では必ずしもチベット人大多数を代表していないと指摘した。ダライ・ラマの影響力にかげりが見られるようなら、チベット問題の一層の複雑化は必至 だ。
会見した5団体はいずれも中国からのチベット独立を主張しており、10日にダラムサラを徒歩出発して北京五輪に抗議しながらラサを目指すデモ行進を企画するなど、活発な反中国活動を繰り広げている。
北京五輪についてNGO「チベット青年会議」のツゥエワン・リグジン議長は、開催決定の2001年以降、チベット自治区内の人権状況はかえって悪 化の一途をたどっているとして、「人権を尊重しない中国に開催資格がないのは明白だ」と語って、開催支持を繰り返すダライ・ラマに反論した。
リグジン氏は、ダライ・ラマが「独立」でなく「高度の自治」を求めて中国側と02年以来円卓会議を重ねていることについても、「中国側に誠意がな いのは明らか。若い世代にはいらだちが募っている」と、亡命チベット人社会の雰囲気を紹介した。また、「ダライ・ラマは今も我々の指導者」と語ったが、 01年に亡命政府の民主選挙が実施されて以降は「半ば引退の身だ」とも指摘した。
CNET Asiaで中国の現地情報をレポートするRick Martinによると、YouTube.comへのアクセスがブロックされたとの報告が中国全土から上がっているという。チベット自治区で起きた暴動に対する中国政府の取り締まりと関係している可能性がある。
Martinはブログに「ここからもサイトにサクセスできない。ネットワークをpingしても、100%のパケットロスが発生することから、アクセスの遮断が実施されているように思われる」と記している。Martinはこのときのコンピュータのスクリーンショットも掲載している。
<newselement> </newselement>「抗議デモのビデオがすでにYouTubeにアップロードされていたが、今回の措置は、動画をもっとアップロードしようという人々にとって妨害と なる。とはいえ、慎重に扱うべきこの手のコンテンツを検閲していると言われている中国版YouTubeは今も稼働していて、本稿執筆中も動いている」 (Martin)
Dalai Lama 14世は現地時間3月16日、暴動が拡大し他の地域に拡大する中、国際社会に対し、弾圧の事態究明を求めた。ここ数日間で死者数が80名以上に達したとされている。
米国からはYouTubeに通常通りアクセスでき、同サイトで検索すると、最近アップロードされたと見られる、暴動の様子を映したアマチュアビデオが何十件と見られる。
Google傘下のYouTubeは、過去に地域の問題が原因のアクセス遮断に見舞われた。2月は、パキスタン政府が国民の同サイトへのアクセス 遮断しようしたことが原因で(YouTubeに多くのイスラム教徒を怒らせる内容の、預言者ムハンマドの漫画がYouTubeに掲載された)、世界的なア クセス障害が発生した。その後、世界中のほとんどの地域でサービスは復旧したが、パキスタンからのアクセスが許可されるまでには数日かかった。