Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

神を待つ(マツバギンポ)

2023-05-29 18:20:02 | イソギンポ科

台風2号は着実に近づいてはいるみたいですが、今のところとくに台風感はないやんばるです。

今日も日中は陽光サンサンな感じの一日でした。

明日以降は曇り空で、6月の1日~2日は暴風雨の予報になっていますが……。

台風2号の沖縄島への最接近は3日辺りになりそうです。

風は東~南東。曇のち晴れ。

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『松葉杖』

足の不自由な人が脇の下に入れて歩行の助けとする杖。

松の葉の形を連想させるのが、名称の由来なのだとか。

確かに、松の葉はV字型に細長い針状の葉っぱですね。いわゆる『針葉』、正確には『尋常葉』と呼ぶのだそう。

不思議な形の葉っぱですが、乾燥に強いとか、光を効率よく受けとめられるとか、諸説あるようです。

松(まつ)は古くから神聖な木と考えられていたようで、その名前は『神がこの木に天から降りてくるのを待つ』という由来なのだとか。

あるいは二股に分かれている葉の様子から、股(また)が転訛して松(まつ)になったという説もあるのだそう。

他にも『祀る』や『祭り』、さらには葉がまつ毛に似ているからとか、こちらも諸説あるようです。

東アジア圏では、冬でも青々とした葉をつける松は不老長寿の象徴とされているのだとか。

同じく冬でも青い竹、冬に花を咲かせる梅と合わせて、日本では『松竹梅』と呼ばれておめでたい樹とされていますよね。

また魔除けや神が降りてくる樹としても珍重され、正月に飾る『門松』には神を出迎えるという意味があるのだそうです。

やっぱり、神を待つ樹なのでしょうか。

■■

さて、松葉といえば……

〈イソギンポ科マツバギンポ属マツバギンポ Mimoblennius atrocinctus 23年4月13日 沖縄島安和〉

学名種小名は『黒い帯のある』の意。

松葉のような長い眼上皮弁が特徴の本種。

そのまつ毛がフォトジェニックな魚です。

 

 

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美しい前歯(ゾウゲイロウミウシ)

2023-05-19 20:26:45 | ウミウシ

梅雨明けが発表された翌日のやんばるは、日差しが心地良い一日になりました。

まあ、日付が変わった深夜頃には激しい雷雨が降っていたみたいですが。

明日も気持ちの良い晴れ空になりそう。

一週間予報でも雨アイコンが現れる日は一日だけなのですが……。

梅雨入り発表しちゃって良かったのでしょうか……。

風は西~北西。概ね晴れ。

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『象牙の塔』

研究者や芸術家が、現実社会から離れて疎遠になること。

そういう人たちを『世間知らず』だと皮肉る意味で、『象牙の塔の住人』という表現があるのだとか。

でも何故『象牙』なのでしょう?

19世紀のフランスの評論家サント・ブーヴが、現実逃避を推奨するロマン派を強く非難するときに使った言葉が、現在の意味に繋がる由来なのだそう。

でもそもそもの『象牙の塔』の意味は旧約聖書の一節、『汝の首は象牙の塔のごとし』で、美しい女性の首という意味なのだとか。

そこから女性全体の美しさを表す言葉として広がったのだそう。

すると『象牙』が美しさの象徴ということなのでしょうか。

透きとおるような肌……的な感じでしょうか。

『象牙』は字の通り象の牙。ワシントン条約締結までは、工芸品の素材や楽器の部品として広く流通していたのだとか。

日本はその一番の輸入大国であったのだそう。

江戸時代には象牙工芸は高度な発展を見せ、国内のみならず海外でも人気を博したのだとか。

また三味線の撥としては最高の素材で、いまだ象牙を越える素材は見つかっていないのだそうです。

ちなみに象の牙というと、象の犬歯をイメージしてしまいますが、象の牙は犬歯ではなく門歯、つまり前歯なのだそうです。

■■

さて、象牙といえば……

〈イロウミウシ科アオウミウシ属ゾウゲイロウミウシ Hypselodoris bullocki  23年3月8日 沖縄島安和〉

学名種小名は献名ですね。

美しい象牙色を纏ったウミウシです。

 

 

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春は霞、秋は霧(リュウキュウカスミミノウミウシ)

2023-04-29 15:35:26 | ウミウシ

お昼過ぎにザッと雨……。そこからはドンヨリ系の空模様になった本日のやんばるです。

コンディション的には悪くはなく、気温も夏日な感じの一日でした。

明日明後日辺りまで雨交じりのようですが、その後は雨アイコンは見当たらない一週間予報になっています。

沖縄地方の梅雨入りの平年値は5月10日ですが、今年はどうでしょう……。

夏鳥であるアカショウビンの涼しげな声が、早朝に聞こえるようになっているこの頃です。

風は南。晴れのち雨交じり。

■■

『霞(かすみ)』

空気中に浮かんでいる様々な細かい粒子のため、遠くまではっきりと見えない状態のこと。

『霧(きり)』

空気中に浮かんでいる様々な細かい粒子のため、遠くまではっきりと見えない状態のこと。

つまり『霞』と『霧』は同じ現象なのだとか。

ただし気象用語では『霧』の方しか使わないのだそう。

気象用語の『霧』は水平視程1キロメートル未満の場合をいうのだとか。ちなみに1キロメートル以上の場合は『靄(もや)』というのだそうです。

『霞』は文学的な表現に用いられる言葉で、平安時代から春は『霞』、秋は『霧』と使い分けられるようになったのだとか。

『霞を食べる』という慣用句があります。

浮世離れしていて、収入もなしに暮らすことのたとえで、『仙人は霞を食べて生きている』といわれることが由来の慣用句なのだとか。

でも中国の古い書物によると、仙人の『霞』は飲み物なのだそうで、正確には『霞を飲んで生きている』のだそう。

それは赤い飲み物なのだそうです。

■■

さて、霞といえば……

〈オオミノウミウシ科カスミミノウミウシ属リュウキュウカスミミノウミウシ Cerberilla affinis 23年2月27日 沖縄島安和〉

学名種小名は『酷似した、近似の』の意。

同じ現象でも『かすみ』という響きの方がどこか神秘的に感じてしまったり……。

 

 

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黒点のあるなし(ヒョウモンウミウシ)

2023-04-14 19:38:41 | ウミウシ

予報は晴れだったはずなのですが、ときどき霧雨が降ったりした本日のやんばるです。

まあ、南寄りの風は心地よく、晴れ間も十分で、気温もほぼ夏日でしたけど……。

明日ははっきりと雨が降るみたいですが、日曜から週明けにかけては晴れ、気温も夏日を超えそうです。

風は南東~南。晴れたり曇ったり、霧雨だったり。

■■

『豹紋』

ヒョウの毛皮の斑紋。またはそのような紋様。

ヒョウの身体は斑紋に覆われていますよね。特徴的な斑紋です。

『梅花紋』とも呼ばれるこの斑紋は、中心がオレンジ色っぽくなっていて、その周りを黒い花びらのような模様が囲んでいます。

梅の花のように見える模様というわけですね。

ヒョウと同じネコ科ヒョウ属のジャガーも『梅花紋』を纏っています。

でもこちらの方は、オレンジ色の部分の真ん中に、黒い点があるのが特徴なのだとか。

黒点のあるなしで二種は容易に見分けられるのだそうです。

ちなみに『梅花紋』といえば写実的に梅の花を表現した『梅紋』のことでもあるのだとか。

つまり家紋のことです。

梅の紋といえば天神様。祀られている菅原道真が梅をこよなく愛したことが縁起なのだそうで、各地の天神様の『社紋』には梅に関係した紋が使われているのだそうです。

■■

さて豹紋といえば……

〈イロウミウシ科コモンウミウシ属ヒョウモンウミウシ Chromodoris leopardus 23年2月16日 沖縄島崎本部〉

学名種小名は『豹』の意。

ヒョウ柄を纏っていると思うと大阪のおばちゃんっぽく感じますが、梅花紋を纏っていると思うと和装っぽく感じたりも……。

 

 

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ペガサスとドラゴン(ウミテング)

2023-03-27 20:01:29 | ウミテング科

雨交じりで風もヒンヤリしていた本日のやんばるです。

季節が少し足踏みしたような一日になりました。

今週は、週の前半はこんな感じが続きそう……。

でも週末から週明けにかけては、また夏日になりそうです。

風は北東。曇、ときどき雨。

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『ペガサス』

ギリシャ神話に登場する神馬。

『ドラゴン』

ヨーロッパや中東の民話に登場する生き物。

両方ともファンタジー文化において古くから描かれてきた架空の存在ですね。

ペガサスは、美しく優雅な白馬に翼が生えた姿で描かれ、空を自由自在に飛翔します。一方のドラゴンは、火を吐き、鋭い爪と鱗で覆われた巨大な爬虫類のような姿をしています。

また、ペガサスは美しさや優雅さを象徴する存在として、ロマンチックな物語や詩に登場することが多く、ドラゴンはその力強さや恐ろしさから、勇敢な冒険家たちの敵として描かれることが多いようです。

両者ともに多くのファンタジー作品に登場し、たくさんの人に馴染み深い存在ではないでしょうか。

そういう理由からか、アメリカの宇宙塵や隕石を調査する人工衛星のシリーズにペガサスの名が使用され、国際宇宙ステーションに物資輸送する無人宇宙船にはドラゴンの名が使用されています。

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ペガサス、そしてドラゴンといえば……

〈ウミテング科ウミテング属ウミテング Eurypegasus draconis 23年2月10日 沖縄島新里〉

画像はまだ幼い個体。

学名種小名は『ドラゴンの』の意。

そして学名の属の方に『ペガサス』を内包しています。

腹鰭を足のように使って海底をはうように移動する魚です。

 

 

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