Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

軽い扉(ベニヒロハオウギガニ)

2023-10-01 19:55:10 | エビ・カニ類

9月の末日に滑り込むように台風14号が発生し、9月の台風発生数の最低値更新にはなりませんでした。

14号は、今のところ沖縄島には大きな影響はない予報進路になっています。

適度にうねりが入って掻き回されるような感じならいいのですが……。

台風の発生数は更新されませんでしたけど、9月の平均気温はこれまで最高だった2012年を上回り、観測史上最も熱い9月になったのだとか。

当地も日中はまだまだ真夏感がたっぷりある感じ。

ただオオシマゼミ(秋のセミ)の声も聞こえだして、まあ、季節はそれなりに進んでいるのかなって感じもしたり……。

風は北東。雨のち晴天。

■■

『扇』

あおいで風を出す折りたたみ式の道具。儀式・舞などにも使う道具。

『おうぎ』という言葉は、『あおぐ』という動詞が名詞化したものなのだとか。

『扇』という漢字は、本来『軽い扉』を意味するのだそう。羽のように軽い戸(扉)ということでしょうか。

それが転じて『うちわ』のことを言うようになったのだとか。

扉を開閉して風をおこすようなイメージでしょうか……。

日本においては『万葉集』や『続日本紀』に『扇』とい言葉が記載されているのだそうですが、これは中国式の団扇のことなのだそう。

つまり折りたためないやつですね。

折りたたみ式の扇の起源は諸説あるようですが、平安時代前期にはすでに現在のような扇が存在していたのだとか。

一説によると第14代仲哀天皇の皇后である神功皇后が、朝鮮出征のときに蝙蝠を見てその羽にならったとする逸話があるのだそう。

なんにしても室町時代には大衆化し、江戸時代には能や茶道などの芸術を通して、社会的・世俗的そして宗教的な分野にまで用いられるようになったようです。

まだまだ暑い毎日。鞄に扇を忍ばせておくのも良いのではないでしょうか。

まあ、今はポータブルファンやネッククーラーなんでしょうけど……。

■■

さて、扇といえば……

〈オウギガニ科ヒロハオウギガニ属ベニヒロハオウギガニ Lophozozymus pulchellus 23年6月8日 沖縄島安和〉

学名種小名は『かわいい、愛らしい』の意。

小さくて愛らしいカニです。

 

 

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小さな面(ヒメメンコヒシガニ)

2023-01-10 19:09:52 | エビ・カニ類

ぽかぽか陽気で、海はベタ凪……。

気持ちのいいコンディションだった本日のやんばるです。

この後風は南に寄りになりそうで、週の後半には夏日近くまで暖かくなりそうな予報です。

風は北東。晴れ。

■■

『面子(めんこ)』

日本の子供遊びに使われる玩具。現在もっともよく知られる形態は、紙製の紙めんこ。

語源は『小さな面』という意味なのだそう。

その起源は古く、平安時代の遊戯にあるとされているのだとか。

ただ史料に現れる遙か昔から、貝殻や木の実、石などを遊具として用いていたと考えられているのだそう。

それが江戸期の泥めんこ、明治初期の鉛めんこを経て、明治10年代に紙めんこが登場したのだとか。

僕が幼少の頃は普通に玩具として普及していましたけど、今はどうなのでしょう?

と思って調べてみたら、めんこは21世紀なっても細々と受け継がれているのだとか。

玩具メーカーのタカラトミーからは今も販売されていたり、2014年には『超爆裂異次元メンコバトル ギガントシューター つかさ』というアニメも放送されていたのだそうです。

ところで……

同じ漢字で『面子(めんつ)』という言葉もありますよね。

『面子を立てる』とかの『面子』ですね。

こちらは中国語由来の『体面・顔』を意味する言葉で、玩具の方とは直接的な関係はないようです……。

■■

さてめんこといえば……

〈ヒシガニ科メンコヒシガニ亜科メンコヒシガニ属ヒメメンコヒシガニ Aethra edentat 22年11月7日 沖縄島安和〉

学名種小名は『ほとんど、または全く歯のない』の意。

まさにめんこそのものな形のカニです。

 

 

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歯と嘴(リュウキュウウミシダエビ)

2022-12-27 19:38:08 | エビ・カニ類

風が弱まり、日中は比較的過ごしやすかった本日のやんばるです。

年末年始の週間予報は曇で雨交じり……な日が続きそう。

う~ん……って感じですが、気温は高めで推移しそうです。

風の強さで体感温度が大きく変わってくるので、暖かく感じるかは風しだいかな……。

今日の風はゆるやかな北~北東。概ね曇。

■■

『嘴』

鳥類の採食器官。上下の顎が突出し、一繋がりの角質の板によって硬くなったもの。

早い話が鳥の口ですよね。

しかし前肢を持たない鳥類にとっては、嘴は採餌の他にも、毛づくろいや物をつまんだり。

あるいは他の動物に対する殺傷の武器であったり、求愛行為や雛への給餌など、実に多様な機能を有しています。

でもこの『嘴』、食べ物を噛むことは出来ません。というのも、歯がないからです。だから咀嚼は出来ないのだとか。

鳥の祖先を遡れば、それは獣脚類の恐竜。当然その頃には鋭い歯を持っていました。

進化の過程で歯を失ったわけですが、研究によると嘴の発達と歯の喪失は同時期に始まったのだそう。

では何故歯を失ったのでしょう?

有力となっている説は『孵化期間の短縮説』なのだとか。

かつての恐竜たちは、孵化までに約3~6ヶ月かかっていたのだそう。

これは卵の中で歯の形成に時間がかかっていたからなのだとか。

鳥類は歯を捨てることで孵化までの期間を平均11~85日に短縮し、雛の生存率を高めたと考えられるのだそうです。

ちなみにヒヨコには歯があるのだとか。

卵歯と呼ばれる歯で、孵化するときに卵の殻を中から割るためのものなのだそうです。恐竜時代の名残でしょうか……。

■■

さて歯と嘴といえば……

〈テナガエビ科カクレエビ亜科リュウキュウウミシダエビ属リュウキュウウミシダエビ Araiopontonia odontorhyncha 22年10月24日 沖縄島安和〉

学名種小名は『歯+嘴』の意。

細長い額角の上縁に6~7歯、下縁に1歯あることが特徴の一つです。

ウミシダ類と共生し、体色は宿主に合わせて変異します。

 

 

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老女物(コマチガニ)

2022-09-27 20:28:51 | エビ・カニ類

気持ちのいい空模様、心地いい風、凪の海……。

三拍子揃った本日のやんばるです。

南の海上で熱帯低気圧が発生して、週の半ばから後半にかけて接近しそうな気配。

でもそれまでは良いコンディションが続きそうです。

風は東~北東。概ね晴れ。

■■

『卒塔婆(そとば)』

サンスクリット語ではストゥーパ。もとは釈迦の遺骨を納めた聖なる塚のこと。

仏教の広まった各地で、後に墓標、死者を供養する塔として用いられるようになったのだとか。

お墓参りでよく見かける細長い木板のものが一般的なイメージでしょうか。

あるいは日本のお寺でよく見る五重塔も、元を辿ればストゥーパなのだそう。

また卒塔婆には聖地への道しるべとして建てられているものもあるのだとか。

その道しるべとしての卒塔婆が登場する能の演目に『卒塔婆小町』というのがあります。

この小町は『小野小町』のこと。あの世界三大美人の小町です。

高野山の僧が都に向かう途中、卒塔婆に腰掛けている乞食のような老婆に出会います。

無学な老婆が卒塔婆のことを知らないのだろうと僧は説教を始めますが、逆に理路整然とした老婆の言葉に僧は言い負かされてしまいます。

この老婆こそ、かつての絶世の美女にして歌人の小野小町だったという話。

『老女物』というカテゴリーに入るこの曲は、後半には深草少将の霊に取り憑かれたりしておどろおどろしくなりますが、前半部分の僧との問答が僕は好きなんです。

かつての美女が年を重ねて叡智を身につけたのだと感じさせる印象的な場面です。

初めてこの能を観たとき、人を見た目で判断して偉そうな態度を取ってはいけないなと思ったりした記憶があります……。

■■

さて小町といえば……

〈ゴカクガニ科コマチガニ属コマチガニ Harrovia japonica 22年8月29日 沖縄島安和〉

画像はまだ幼い個体。

学名種小名は『日本の』の意。

能の老女物は五曲あるそうですが、いずれも『老い』をテーマにした哲学的、宗教的な深い内容なのだそうです。

まあ、僕は卒塔婆小町しか知りませんけど……。

 

 

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愛と美の女神(ニセアカホシカクレエビ)

2022-09-20 20:14:51 | エビ・カニ類

空模様は少し不安定。海はまだうねり残り。台風14号が去っても、そんなコンディションが続いているやんばるです。

風向は悪くなく、むしろ良い感じの風なんですけど……。

まあ、明日は取り敢えず気持ちのいい空模様になりそうです。

週の後半はまた不安定な感じの予報ですけど……。

風は北~北東。曇一時雨、のち晴れ。

■■

『アフロディテ』

ギリシャ神話の愛と美の女神。オリュンポス十二神の一柱で、美の最高女神であり戦いの神でもあるのだとか。

神話によると、最高神ゼウスの父クロノスが切り落としたウラヌスの性器から湧き上がった泡から生まれたのだそう。

彼女に魅せられた西風が彼女をキプロス島に運び、彼女が島に着くと島に愛と美が生まれたのだとか。

オリュンポスの神々は彼女の美しさを称賛して仲間に加えたのだそう。

彼女を運んだ西風は、ギリシャ神話の西風神で英語名をゼファー(Zephyr)といいます。

カワサキに同じ名前のバイクがありましたね(今もあるのかな?)。実は僕乗ってました……。

因みにスペイン語のセフィーロも同義。こちらはヤマハのバイク名。まあ、バイクと風はセットになってる感ありますから……。

それはともかくギリシャ文明から数百年後のローマの時代、ギリシャ神話はローマ神話に取り入れられたのだとか。

ローマ神話におけるアフロディテ的な女神は、『ウェヌス』。でも僕たちはこんな名前では記憶していません。

ウェヌスはラテン語で、僕らがよく知っているのは英語名。ウェヌスの英語名は、『ヴィーナス』です。

ほら、よく知ってるでしょう?

彫刻の『ミロのヴィーナス』や絵画の『ヴィーナスの誕生』などを何度も目にして、姿もイメージ出来るのではないでしょうか。

■■

さてヴィーナスといえば……

〈テナガエビ科カクレエビ亜科ホンカクレエビ属ニセアカホシカクレエビ Periclimenes venustus 22年8月29日 沖縄島安和〉

学名種小名は『ヴィーナス』の意。

絵画のヴィーナスは貝殻に乗っかってますが、こちらのヴィーナスはイソギンチャクに乗っかってます……。

 

 

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夏と秘密基地(イソギンチャクモドキカクレエビ)

2022-08-09 17:39:36 | エビ・カニ類

朝から灼熱……、でも何度もスコールに出会ってその度に少しだけ涼しさを感じられたり……。

まあすぐにムシムシとした暑さが戻ってきて、灼熱……になりますけど。

立秋を過ぎ、暦の上では秋なはずなんですけど、実際の秋はどこにも見当たらないやんばるです。

台風7号が発生しましたね。沖縄島には影響ないですけど……。

数日間は晴れときどきスコールの空模様が続きそうです。

風は東~南東。晴れときどき強雨。

■■

前述の通り暦の上では秋が始まっていますけど、実際には夏。いや真夏。

夏と言えば秘密基地ですね。

あれ? これは僕だけのイメージですか?

『嬉しくって 楽しくって 冒険もいろいろしたね 二人の秘密の基地の中~♪』

secret baseっていう歌の一節ですが、もちろん夏の歌で、夏になるとふと思い出してしまう歌なんですよね。

この歌詞の秘密基地は子供たちの秘密の遊び場のことですが、世界には実際に沢山の秘密基地なるものが存在するのだとか。

地形を利用したりカモフラージュを施したりして建設する大がかりなものから、普通のアパートの一室まで、秘密基地には様々な規模があるのだそう。

軍事組織や諜報機関、過激派組織などの秘密の活動拠点で、『アジト』なんて表現されたりもします。

現実世界だけでなくフィクションの世界にも様々な秘密基地が登場しますよね。アニメや特撮で悪の組織なんかがよく秘密基地で世界征服の計画を練っていたり。

もちろんヒーロー側も秘密基地を持っているパターンもあり、昔見た映画のスーパーマンは確か南極に秘密基地を持っていたように記憶しています。

でもヒーローの秘密基地としてもっとも有名なのは、やっぱり『トレーシー島』ですよね。

ご存じないですか? 国際救助隊、通称『サンダーバード』の秘密基地です。

サンダーバード1号から4号の発進シークエンスでの島のギミックがとてもカッコ良くて、幼い頃の僕はテレビを見てシビれてました。

たぶんヒーローの秘密基地の元祖ではないでしょうか……。

■■

さて、秘密といえば……

〈テナガエビ科イソギンチャクモドキカクレエビ属イソギンチャクモドキカクレエビ Pliopontonia furtiva 22年6月13日 沖縄島新里〉

学名種小名は『秘密の・秘された・密やかな』の意。

オオイソギンチャクモドキを秘密基地にしています。

 

 

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忍者の小道具(コブヒシガニ)

2022-06-14 19:43:44 | エビ・カニ類

昨日の日中から鋭い日差しが降り注いでいるやんばるです。

風は南寄りで、たっぷりと湿気を孕んでいます。

本日もそのまま気持ちよく蒸し暑い一日になりました。

もう梅雨開けてるんじゃないのかなぁ…、なんて思えたり。

週間予報によると来週の週明け辺りに梅雨明けしそうなのだそうです。

いやもう開けてるんじゃないのかなぁ…。

風は南~南西。概ね晴れ。

■■

時代劇にありがちなワンシーンで…

どこかの武家屋敷に忍び込んだ忍者が見つかり、追われる途中で金属製の撒菱(まきびし)をばら撒いて追手を足止めし、まんまと逃げ切る…。

なんていうのがありますよね。

あの撒菱、鉄製のものは鉄菱と呼ばれているのだとか。他にも木製の木菱などもあるのだそう。

つまりこの撒菱には、もともとは天然の菱(ヒシ)の実が使われていたというとなのだとか。

菱とはミソハギ科(あるいはヒシ科)の水草で、池沼に生え、葉が水面に浮く浮葉植物。

この葉と実の形が菱形の語源なのだそう。

ヒシの近縁種として、日本にはオニビシとヒメビシがあり、ヒシの果実のトゲが2本であるのに対し、オニビシとヒメビシの果実のそれは4本なのだとか。

で、忍者の撒菱にはオニビシとヒメビシの果実が使われたのだそうです。しかもこれらは長時間潜伏するときの非常食にもなったのだとか。

というようなことが、江戸時代の忍術伝書『万川集海』にも記されているのだそう。

ただし実際に使用されたという記録はないのだそうですが…。

■■

さて、ヒシの果実と言えば…

〈ヒシガニ科ヒシガニ亜科ヒメコブヒシガニ属コブヒシガニ Pseudolambrus beaumonti 22年4月21日 沖縄島安和〉

学名種小名は献名でしょうね。

この画像を撮影したとき、この子は忍者みたいに気配を殺していたので、最初は小石かと思いました…。

前述の通り菱の果実は菱形の語源ですが、その実際の形は菱形と言われて僕らがパッとイメージするトランプのダイヤマークのような形ではないのだとか。

実際の菱の実はコウモリが羽を広げたような形なのだそうです。

 

 

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輝く石(フシウデサンゴモエビ)

2022-01-25 19:36:43 | エビ・カニ類

日中は日差したっぷりで心地良かった本日のやんばるです。

明日以降週末直前まではこんな感じの空模様が続きそう。

週末はなんだか雨交じりになりそうですが、まあ気温は高めで推移するみたいです。

風は北東~北。晴れのち曇。

■■

『大理石』

石灰岩が変成作用を受けてできた粗粒の方解石やドロマイトなどの岩石のこと。

英語では『marble(マーブル)』

もともとは古代ギリシャで『marmaros(マルマロス)』呼ばれており、これは古代ギリシャ語で『輝く石』という意味なのだとか。

それが古代ローマのラテン語で借用され『marmor』となり、ラテン語の方言から生まれた古フランス語で『marbre(マルブル)』となり、さらにそれが中世英語に移入されて『marble(マーブル)』となったのだそう。

また漢字表現の『大理石』は、9世紀から12世紀にかけて存在した国家である『大理国』で産出する石材であったことに由来するのだとか。

そう、大理石は建築材料や彫刻の材料として身近な石ですね。

世界的建築物ならパルテノン神殿やタージ・マハル、彫刻作品ならミケランジェロのダビデ像やサモトラケのニケなどが大理石でできています。

大理石は産地ごとに様々な色彩や模様のものがあり、その産地は世界中にあります。

もちろん日本にもいくつもの産地県があり、産地別の石種として名付けられたりしているよう。

山口県は特に多く、例えば『薄雲』、『鶉(うずら)』、『山吹』、『吉野桜』、『黒霞』、『白鷹』等々。

いろんな模様がイメージできるラインナップに思えたり…。

前述した石種は全て国会議事堂の建材として使用されているのだそうです。

ちなみに当地の『琉球大理石』も国会議事堂に使用されてたりします…。

■■

さて大理石といえば…

〈モエビ科サンゴモエビ属フシウデサンゴモエビ Saron marmoratus 21年11月15日 沖縄島安和〉

学名種小名は『大理石状の』の意。

借用された『marmor』が入っています。

マーブル模様ということでしょうか…。

 

 

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色の方ではなく…(トラフシャコ属の1種)

2021-12-14 19:14:14 | エビ・カニ類

気持ちのいい青空が見られた本日のやんばるです。

風もゆるやか~で、数字以上にポカポカ感が高かった一日でした。

そのまま綺麗なサンセットが見られたりも…。

明日もこんな感じになりそうで、明後日には夏日になりそうな感じです。

風は北~北東。晴れ。

■■

生物が持つ派手な体色に『警告色』というものがあります。

主に有毒の生物に見られる色彩で、あえて目立ちやすい体色や模様を持つことにより、自身に手を出すと危険が及ぶぞと警告を発し、安全を確保するものと考えられているのだとか。

有毒な種が複数いて、それらが共通した派手な色や模様を持っている場合、これらを『ミュラー型擬態』と呼びますが、このときの色や模様も警告色。

また有毒でないものが有毒なものの色や模様を纏って身を守る場合、これを『ベイツ型擬態』と呼びますが、このときの色や模様も警告色。

警告色と擬態は深い関係があります。

因みに前者はアシナガバチとスズメバチの黄色と黒の縞模様。どちらの種も有毒ですね。後者はハナアブで、習性や外見がミツバチと似ています。

黄色と黒の警告色は人間にも有効で、踏切や工事現場、あるいは工場で危険な機械が作動しているエリアなどで、危険区域であることを示すために用いられていますよね。

黄色と黒といえば『虎斑』が思い浮かびます。

トラの体色・模様のことで『虎毛』ともいうのだそう。

あの黄色と黒は、誰に対して警告を発しているのでしょうか。なんて思ったりしたのですが、あの黄色と黒という色には特に意味はないのだとか。

意味があるのは縞模様の方で、それはもちろん茂みに隠れて獲物に近寄るため。つまり警告色ではなくカモフラージュ模様なのだそう。

というのも、トラの獲物である草食獣の目には、色覚がないのだとか。だから何色の組み合わせでも良く、たまたま黄色と黒に進化したのだそうです。

■■

さて…

〈トラフシャコ科トラフシャコ属の1種 Lysiosquillina sp. 21年10月18日 沖縄島崎本部〉

警告色は前述のように安全色彩として人間工学に取り入れられています。

JISが規定してる安全色によると、オレンジは『危険・明示』を意味しているのだそう。

確かに不用意に近づくと強烈なシャコパンチを食らうことに…。

おっと、この子はトラフシャコ属ですから、たぶんパンチではありませんね…。

 

 

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小袖と鎧と将軍の駕籠(コシジロテッポウエビ)

2021-11-02 20:09:33 | エビ・カニ類

早朝はドンヨリしてましたけど、日中は気持ちよい青空が広がった本日のやんばるです。

風は北寄りですが、陽光たっぷりで夏日になりました。

次の週末には雨交じりになりそうな気配ですが、それまでは心地よい日差しの日が続きそうです。

風は北東~北。曇のち晴れ。

■■

『腰白(こしじろ)』

字面を見る限り、腰が白い何かなのだろうな…っていう感じですね。

調べてみると三つの意味がありました。

その一…、小袖の一種。腰のあたりを白地のままにし、肩と裾を色で染めて、刺繍などを加えたりすることもある小袖。

小袖とは、現在の和服のもととなった袖口の小さく縫いつまっている衣服のことなのだとか。

当然大袖というのもありまして、これは礼服で、小袖はその下に着る衣服なのだそう。背広の中に着るシャツみたいな感じですかね。あるいはこれからの季節に活躍するヒートテックみたいな感じ?…、違うか…。

その二…、鎧、腹巻きの類いの威(おどし)の一種。色威で胴のあたりを白威としたもの。

威とは鎧を連結する糸と革のことなのだとか。平安時代以降の鎧は小札(こざね)という小板を繋ぎ合わせた物だったようで、その連結素材ですね。ステッチみたいなものをイメージすれば良いのでしょうか? まあもっと頑丈なものでしょうけど。

その三…、近世の駕籠、なかでも乗物の一種。駕籠と乗物の違いは分かりますでしょうか。時代劇なんかで商人が乗っているのが駕籠。武士やお姫様が乗っているのが乗物なのだとか。

つまり駕籠のなかでも引き戸付きで装飾が施された高級なものを乗物と呼ぶのだそう。

網代(あじろ)で張り包んで溜塗(ためぬり)とし、腰の部分を胡粉(ごふん)で白くしたものが腰白なのだとか。うーん…全くイメージ出来ません…。

とにかく公家や将軍クラスが利用する高級な駕籠のことのようです。

ありふれた字面の言葉にいろいろな意味があって、ちょっと驚きだったり…。

■■

さて三つの意味の『腰白』ですが…

〈テッポウエビ科テッポウエビ属コシジロテッポウエビ Alpheus sp. 21年9月19日 沖縄島安和〉

ダテハゼ属やオニハゼ属と共生する、相利共生の代表格である本種。

第1腹節の白い帯状斑紋が特徴です。

どの『腰白』でしょうか。

体表を見るかぎり和服のようにも思えますし、甲殻類ですから鎧にも思えたり。

まあ、駕籠ではなさそうですね…。

 

 

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皇太子の島々(バブルコーラルシュリンプ)

2021-10-19 19:53:27 | エビ・カニ類

大陸からの高気圧の張り出しで、寒気の南下に伴い新北風(ミーニシ)が吹き始めたやんばるです。

今日は高気圧周辺部のぐずついた空模様。降る雨もヒンヤリとした感じで、季節が確実にワンステップ進んだのを感じられたり…。

このまま週末まですっきりしない空模様が続きそうな感じです。

風は概ね北。曇のち雨。

■■

『フィリピン』

東南アジアに位置する国の名前で、日本語表記の正式名称はフィリピン共和国。

国の公用語はタガログ語と英語だそうで、タガログ語の正式な国名は『Republika ng Pilipinas(レプブリカ ナン ピリピーナス)』で、英語だと『Republic of the Philippines(リパブリック オブ ザ フィリピーンズ)』になるのだとか。

この国名は17世紀の旧宗主国のスペイン皇太子フェリペ(後のフェリペ2世国王)の名前から命名され、『フェリペの島々』という意味なのだそう。

このような歴史背景から、国名変更論もあるのだとか。

例えば国民的英雄と見なされる独立運動家のアンドレス・ボニファシオは、『タガログ人の国家』を意味する『カタガルガン』を推していたのだとか。

あるいは第10代大統領のフェルディナンド・マルコスは、サンスクリット語に由来し『気高く誕生した』を意味するとされる『マハルリカ』に変更しようとしたのだそう。

これにはロドリゴ・ドゥテルテ現大統領も共感を表明しているのだそうです。

僕個人的にも『マハルリカ』の方が響きがいいのではと…とか思えたり…。

まあ、完全に部外者ですが…。

■■

フィリピン、名前と言えば…

〈テナガエビ科カクレエビ亜科イソカクレエビ属バブルコーラルシュリンプ Vir philippinesis 21年9月1日 沖縄島安和〉

画像は抱卵個体。

学名種小名は『フィリピンの』の意。

バブルコーラルシュリンプは通称で、和名はまだついていないよう。

ミズタマサンゴに暮らしているのが特徴ですからミズタマサンゴエビでいいのでは…とか以前は思っていたりしましたけど、『マハルリカエビ』なんて言うのもいいかも…と今は思えたりも。

気高い感じがしますし…。

ミズタマサンゴが出す粘液やそれにくっつく小さなものを食べて暮らしているそうで、サンゴは住処を提供し、エビはそのメンテナンスを担当しているのでしょうか。

つまり相利共生なのだろうと思えたり。

 

 

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ワークワーク(コマチガニ)

2021-10-05 20:06:56 | エビ・カニ類

相変わらず真夏日が続いているやんばるです。

沖縄周辺海域における今年9月の平均海面温度が統計開始以降、9月として最も高くなったのだそう。今月1日に沖縄気象台が発表してました。

どうりで水温が下がらないはずだわ…。太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多く、また平年と比べて風が弱かったことが要因なのだとか。

気象台によると向こう1ヶ月の海面水温も東シナ海南部と沖縄の南で平年よりかなり高くなる見通しなのだそうです。

本日も気持ちの良い青空でした。

風は東。晴れ。

■■

『JAPAN(ジャパン)』

もちろん英語で日本を意味する言葉。

マルコ・ポーロの『東方見聞録』に登場する『黄金の国ジパング』がその語源とされているのだとか。マルコ・ポーロの辿り着いた元で日本のことをそう呼んでいたのだそう。

複数の国語辞典でもこの『ジパング』から転じて『ジャパン』となった、としているそうですが、その根拠は明確ではないのだとか。

当然異説もあるわけで、例えば東アジアに来航したポルトガル人が『日本』の中国音(広東音)を聞いて記録したものであり、『ジパング』とは関係がないという意見もあるのだそう。

因みに現代中国語の標準語(いわゆる北京語)では、『日本』と書いて『ジ(ー)パン』のような発音になるのだとか。

国際的には日本はやっぱりジャパンと認識されているのでしょうね。一部ではニッポン(NIPPON)の表記を広めようという意見もあるようですが、すでにジャパン(JAPAN)が広く受け入れられていますから難しいかも…。

個人的には『ワークワーク』もいいと思うのですが…。

これ、イスラーム世界において古代日本を表していたとされる言葉。日本の旧称『倭国』に由来するのだとか。まあ、一説ですけど…。

濁音がなくやわらかい響きで良いなぁ…とか思えたり。

■■

日本を表す言葉と言えば…

〈ゴカクガニ科コマチガニ属コマチガニ Harrovia japonica 21年8月27日 沖縄島安和〉

学名種小名は『日本の』の意。

ラテン語の名詞には男性名詞、女性名詞、中性名詞があります。本種の属名を表す名詞は女性名詞。

それに付く形容詞、つまりは種小名も属名に合わせて変化します。

japoncaは女性名詞に付く形容詞。

和名の小町と親和しているように思えたり…。

 

 

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朝は福、夜は盗人(クモガニ)

2021-09-28 19:48:59 | エビ・カニ類

わずかにうねりが入ってるかな…、いや気のせいかな…、って感じだった本日のやんばるです。

AFNのウェザーフォーキャストでは西海岸はコーションになってましたけど、少なくとも半島南側はそんな感じは見受けられませんでした。

予報によると明日の後半から明後日の前半にかけてうねりが強まりそうなのですが…。

空模様は陽光サンサンな日が続いてます。

風は北東。晴れ。

■■

『朝蜘蛛は殺すな、夜蜘蛛は殺せ』

あるいは、『朝の蜘蛛は福が来る。夜の蜘蛛は盗人が来る』

とかいう迷信というか言い伝えがあるのだとか。

詰まるところは、朝の蜘蛛は縁起が良いけど、夜の蜘蛛は縁起が悪いということのよう。

その由来は色々とあるようで、例えば蜘蛛は晴天の日にしか巣を張らないのだそうで、『朝蜘蛛=晴天=縁起が良い』という発想だったり。

蜘蛛はお釈迦様の使いといわれていて、縁起の善し悪しを図る象徴という認識からだったり。

さらには陰陽論からだったりとかも…。

日本書紀にも蜘蛛によって吉凶を図るエピソードがあるそうで、昔から日本人はそういう兆しを蜘蛛から見いだしていたのかもしれません。まあ、それほど蜘蛛は身近な虫だということでしょうか。

近年では姿や印象から蜘蛛を嫌う人が増えているのだとか。それで『不快害虫』にカテゴライズされてしまうこともあるのだそう。

しかし蜘蛛は紛れもない『益虫』です。いわゆる衛生害虫(ハエ、蚊、ダニ、ゴキブリなど)を捕食してくれます。

我が家でも時々ハエトリグモを見かけたりします。見れば見るほど可愛い蜘蛛です。

■■

この子はクモではなくカニなのですが…

〈クモガニ科クモガニ属クモガニ Oncinopus aranea 21年8月19日 沖縄島安和〉

学名種小名は『クモ』の意。

この画像を撮影したのは朝だったから、縁起の良い兆しかも…。

 

 

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Mutualism(アカシマシラヒゲエビ)

2021-09-21 19:25:31 | エビ・カニ類

台風14号の影響が消えてから凪の海が続いているやんばるです。

日中は鋭い日差しの真夏日続き。今日は午後の遅くにザッと一雨降ったりして、まだ真夏感たっぷりの日々です。

さすがに朝晩はそれなりにヒンヤリするようになってますけど…。

明日は前線通過で真夏日にはわずかに届かないようですが、その後はまた真夏日続きになりそうな週間予報です。

風は南東~南西。晴れ一時雨。

■■

影響し合う2種の生物の種間関係は、捕食・被食関係と競争関係が主流だと以前はされていたのだとか。

いわゆる弱肉強食的な関係ですね。

しかしその後理解が進むにつれ、寄生を含む共生も普遍的な現象であり、生態系を形成する基本的で重要な種間関係の一つであることが認識されてきたのだそう。

水中世界で言うなら、クマノミとイソギンチャクの関係や、サンゴと褐虫藻の関係、あるいはソメンヤドカリやキンチャクガニとイソギンチャクの関係などがよく知られていますね。

共生はざっくり4つのタイプがあり、双方が利益を得る場合は『相利共生』、片方のみが利益を得る場合は『片利共生』、片方のみが害を被る場合は『片害共生』、片方のみが利益を得て片方のみが害を被る場合は『寄生』と呼ばれるのだとか。

ところがこれらのタイプの間には明確な境界がなく、同じ生物の組み合わせなのに時間的に利害関係が変化したり、環境の影響を受けて関係が変化したりすることもあり、単純にこの4タイプにあてはめることは難しいのだそう。

どこか人間関係にも似てるなぁ…、とか思えたりも…。

■■

さて、こちらの共生は…

〈モエビ科ヒゲナガモエビ属アカシマシラヒゲエビ Lysmata amboinensis 21年8月19日 沖縄島安和〉

学名種小名は『アンボン島の』の意。

タイプ産地であるモルッカ諸島アンボン島に因んでいます。

岩穴に住み、魚の体表を這って食べかすや寄生虫を食するクリーナーシュリンプ。

魚もこの子も利益を得ていますから、相利共生(Mutualism)ですね。

本種の特徴的な体色と白く長い触角を振り回す動作が、クリーナとしての標識の役割をしていると考えられています。

 

 

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ダイヤモンドの美意識(バサラカクレエビ)

2021-01-05 18:52:46 | エビ・カニ類

大晦日から元日にかけての冷え込みのあとは比較的暖かい日が続いているやんばるです。

本日の気温も数字的には暖かい方なのですが、雨交じりで北寄りの風が強く、体感的にははっきりと冬…な感じでした。

まあ、本日は二十四節気の小寒。寒の入りですからね。

明日以降は数字的にも寒~い日が、週末にかけて続きそうです。

風は北~北東。雨、ときどき曇。

■■

『ばさら』

奢侈で派手な振る舞いや、粋で華美な服装を好む美意識を表す言葉。

室町時代初期に流行した表現で、いわゆる流行語なのだとか。『婆娑羅』という漢字が当てられたりするのだそう。

語源はサンスクリット語で金剛石、すなわちダイヤモンドを意味する『vajra(バジャラ)』からなのだとか。

一説によると、『ダイヤモンドのような硬さで常識を打ち破る』というイメージで、平安時代に雅楽・舞楽の分野で伝統にとらわれない自由な演奏に対して婆娑羅と称するようになったのだそう。その後鎌倉時代末期以降、体制に反逆する人々の奔放で人目を引く振る舞いや、派手な格好で好き勝手に振る舞う者たちを指す言葉として定着したのだとか。

そして室町時代に流行し、こういう言動や行動をする大名が『ばさら大名』と呼ばれたのだそうです。

しかし流行語だけに、安土桃山時代以降は『かぶき者』という同じ様な意味の言葉に吸収されてしまい、『ばさら』という表現は使われなくなったようです。

ところで同じ音の言葉に『バサラ』があります。

この『バサラ』は仏教の守護善神である『十二神将』の一体、『伐折羅大将』のこと。

十二神将はそれぞれ十二の方角を守っていて、その方角には十二支が当てられています。

伐折羅大将が守る方角は『丑』、つまり十二支の丑を象徴する武神なのです。

丑年の今年最初のコラムに相応しいモチーフに思えたり…。

■■

さて…

〈テナガエビ科カクレエビ亜科ホンカクレエビ属バサラカクレエビ Periclimenes amboinensis 20年11月27日 沖縄島安和〉

学名種小名は『アンボン島の』の意。

インドネシアのアンボン島がタイプ産地なのでしょう。

和名は本種の模様を『婆娑羅』に見立てているのだそうです。

宿主に合わせた派手な色や斑紋を纏います。

 

 

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