降水確率0パーセントで、陽光が鋭かった本日のやんばるです。
南寄りの風は乾いていて心地よかったり。
太陽がサンサンだったので、久しぶりにウエットスーツで潜ってみたり、久しぶりに日焼け止めをベッタリ塗ってみたり…。
風向よろしく海も凪。
水深数十センチからマッタリと楽しめました。
風は南東。晴天。
〈フグ科キタマクラ属シマキンチャクフグ Canthigaster valentini 16年2月25日 沖縄島湾奥〉
ノコギリハギが擬態するモデルとして有名な本種。ベーツ型擬態ですね。
ベーツ型擬態という言葉は、今までにこのブログで何度も出てきてますが、まずはおさらいを…。
ベーツ型擬態とは、有毒・有害な生物の外見に似せることで、捕食を回避するという擬態。
キンチャクフグとノコギリハギの場合なら、キンチャクフグは有毒ですが、ノコギリハギは無毒です。
キンチャクフグを食べようとした捕食者は、その毒で強烈なダメージを被ります。そして、以後キンチャクフグを食べようとしなくなる。
その捕食者は、同時にキンチャクフグに似たノコギリハギも食べなくなる…という感じの解説が、あちこちの海辺でされている(と思う)のですが…。
少し疑問が……。
捕食者は、死んではいけないわけです。死なないけれど、二度と食べようとは思わないほどのダメージは受けないといけないわけです。
キンチャクフグの毒って、そんなに都合がいい強さなのでしょうか。
あと、一匹の捕食者が学習しても、それが仲間に伝わっていくわけではないですよね。ましてや捕食者は一種ではないでしょうから、種をまたいで伝わることなんて、さらにありそうにないと思えるのですが。
すると相当な個体数の捕食者に食べられそうにならなければいけないのでは。そんな種をモデルに擬態することが本当に有効なのでしょうか。
ベーツ型擬態を否定したいわけではないのですが、何かもっと別の理由もあるように思えて…。
例えば、遺伝形質。
遺伝形質とは、教育や体験によらず、親から子へと自動的に伝わる性質。
仮に、キンチャクフグを食べようとした捕食者は、ほとんど死んでしまうとしましょう。でもあの形や色・模様、その他の雰囲気でも何でもいいのですが、好みに合わなくて食べない捕食者がいたりして…。
その個体の性質が、子に孫にと伝わっていったとしましょう。
すると結果として、キンチャクフグを食べる捕食者は淘汰され(死んじゃいますから)、食べない捕食者が増えていくことになりますよね。
それなら擬態は有効ではないでしょうか。
繰り返しますが、ベーツ型擬態を否定したいわけではありません。
というのも、食べようとして死にかけたという捕食者の恐怖=後天的記憶は、エピジェネティクスという現象により、子や孫に伝わるのだそうです。つまりそういう体験をした捕食者の子孫には有効ということになります。
また、キンチャクフグの毒は皮下に集中していて、表皮から毒を分泌することもあるそうですから、捕食者に学習させるときの危険度が、キンチャクフグにとってはそんなに高くないのかも…とか思ったりもするのです。