Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

不細工な武士の舞(ブダイ)

2020-05-26 20:11:07 | ブダイ科

この二三日、梅雨の中休みだったやんばるです。

昨日までは北寄りの風でとても爽やかな感じだったのですが、本日は南寄りに変わり湿った感じの風が吹きました。

といってもゆるやかな風だったので、ムシムシ…という感じではなかったですけど。

明日は雨の予報。特に前半に前線が通過して激しく降りそうです。

風は東のち南。晴れ。

■■

『不細工』とは、細工が下手なこと。できばえが悪いこと。格好が悪いこと。容貌がととのっていないこと。

『武士』とは、昔、武芸をおさめ軍事にたずさわった身分の者。中世・近世には支配階級となった。さむらい。もののふ。

『舞』とは、日本の芸能における演者の動き方の一種。まわるの意で、元来は地をするような足づかいで巡り回る旋回動作をいい、跳躍動作をさす踊りと区別される。

不細工の『不』、武士の『武』、そして『舞』。全部音読みは『ブ』です。

『ブダイ』の『ブ』には、この三つの漢字があてはまるという諸説があるのだとか。すなわち『不鯛』と『武鯛』そして『舞鯛』が、ブダイというの名前の由来だといわれているのだそう。

『不鯛』は、マダイに比べて顔が不細工に見えるから。

『武鯛』は、大きな鱗が武士の鎧のように見えるからなんだとか。

『舞鯛』は舞うように泳ぐ姿からなのだそうです。

不細工な鎧武者が舞を舞う姿をイメージしてしまったり…。

ブダイ類はサンゴをガリガリと囓ることが知られています。サンゴに共生する褐虫藻や死サンゴに生える糸状藻類を食べるためです。

褐虫藻と糸状藻類はともに太陽光エネルギーを使って光合成をしますので、光をめぐる競争関係にあります。そのどちらか、あるいは両方を食べるブダイ類は、サンゴ礁生態系の維持になくてはならない存在なのだそうです。

■■

でもそんなに不細工じゃないですよね…

〈ブダイ科ブダイ属ブダイ Calotomus japonicus 20年3月18日 沖縄島安和〉

画像は幼魚。

学名種小名は『日本の』の意。

学名からすると、『武鯛』という漢字が似合いそうですね。

 

 

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旅は終わらない(リュウグウウミウシ)

2020-05-19 18:16:50 | ウミウシ

台風1号は沖縄島に接近する前に熱帯低気圧に変わり、特に問題なくあっさり去って行きました。

まあ強い雨を降らせはしましたけど、そもそも雨の季節だったので…。

むしろ通過後の強制晴れが気持ち良かったりしました。

で、本日はきっぱり梅雨…な空模様。

風が北寄りで、ひんやりとした雨の一日になったやんばるです。

風は北~北東。曇のち雨。

■■

このブログで何度も取り上げている小惑星探査機『はやぶさ2』のこと。

今月は『はやぶさ2』に関するニュースが2つ配信されています。

一つ目は7日に米科学誌サイエンスに発表されたもの。それによると小惑星『リュウグウ』に着陸した際に舞い上がった画像から、『リュウグウ』はかつて太陽にかなり近い軌道を回っていたらしいことがわかったのだとか。

昨年2月に着陸した際の画像を解析した結果、30万~800万年前の間に太陽にあぶられてできた微粒子をカメラが捉えていたのだそうで、『リュウグウ』はかつて水星よりも内側の軌道にいたのではないかと推測できるのだそうです。

『リュウグウ』は地球から3億キロメートルも離れた場所ですが、その過去の状態が推測できるってすごいなぁ…と思えたり。

二つ目は『はやぶさ2』自身のこと。12日にメインエンジンであるイオンエンジンに点火し、地球を目指す最後の加速を始めたのだとか。

機体は正常で、今年の11月~12月に『リュウグウ』のサンプルが入ったカプセルを地球に送り届ける予定なのだそう。

『はやぶさ2』のプロジェクトはすこぶる順調に進んでいるようで、今年の年末が楽しみです。

ただし、11月~12月に『はやぶさ2』が地球に帰還するわけではありません。実は帰還するのはカプセルのみ。では『はやぶさ2』はというと、その後別の小惑星を目指すのだとか。目的地として、2030年ごろに到着できる複数の候補が検討されているのだそうです。

『はやぶさ2』の旅はまだまだ終わらないようです。

次の旅でも、いくつもの宇宙の謎を解き明かしてくれるかもしれませんね。

■■

〈フジタウミウシ科クロスジリュウグウウミウシ亜科クロスジリュウグウウミウシ属リュウグウウミウシ Roboastra gracilis 20年3月18日 沖縄島安和〉

学名種小名は『細長い、繊細な』の意。

近縁種のイシガキリュウグウウミウシよりも体が細く、小さいのが特徴です。

 

 

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亡霊の織物(テンスモドキ)

2020-05-12 19:37:42 | ベラ科

昨日沖縄地方の梅雨入りが発表されました。平年より2日遅く、昨年より5日早い梅雨入りとなったそうです。

で、本日はいきなりの大雨。朝はまだ青空も見られたのですが、お昼前にはバケツをひっくり返したような激しい雨となりました。

明日は一日晴れ空のようですが、週末にかけては雨アイコンの方が多い感じ…。

梅雨っぽい印象の予報になってます。

風は南のち北東。強雨のち曇。

■■

西洋の『亡霊』であるゴーストは、白い布を被ったようなふわふわゆらゆらした感じの姿をしていますよね。

西洋ではその昔、白い布のようなものを着せて埋葬する習慣があったのだそう。それで、ゴーストはあのような姿をしているのだとか。

日本の幽霊も頭に三角形の布を着けていますよね。あれは天冠というそうで、これもなくなった方が着る死衣装の一部。

洋の東西を問わず、『亡霊』や幽霊には白い布がつきものなのかもしれません。まあ、世界中を探せばもっと奇態な姿の『亡霊』や幽霊がたくさんいそうですけど…。

宗教において、『影』は夢や想像に現れる死者のイメージであるのだとか。『影』はもちろん物理的自然現象ですが、文化的現象としてはそんな意味づけがされてきたようで、そういう意味では『影』は『亡霊』や幽霊と繋がる部分もあるのかも。

時間を少しだけ戻して、『布』について…。

糸を縦横に組み合わせて作った布地を『織物』といいますが、漢字では伝統的に植物繊維による織物を『布』というのだそう。絹織物の場合は帛というのだとか。

ここまで『』で示した四つのキーワード、『亡霊』と『影』、『織物』と『布』。

組み合わせると、『亡霊の織物』、『影の織物』、『亡霊の布』、『影の布』。

これらの言葉から、どんなものをイメージします?

■■

というのも…

〈ベラ科モチノウオ亜科テンスモドキ属テンスモドキ Xyrichtys sciistius 20年3月13日 沖縄島崎本部ゴリラチョップ〉

画像は幼魚。

学名種小名は『亡霊・影+織物・布』の意。

なんかもういろんなイメージが膨らんでしまう学名ですよね。

 

 

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色鯉(テヌウニシキウミウシ)

2020-05-05 19:00:11 | ウミウシ

気持ちのいい陽光、南からの湿った風、気温もぐんぐん上昇して夏日になった本日のやんばるです。

前線を伴う低気圧が接近中のようで、真夜中過ぎには強雨になり明日の午前中まで引きずりそうですが、週末にかけてそれ以外に雨アイコンは見当たりません。

そして夏日が続きそうな予報です。

風は南。晴れ。

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『紅白』、『大正三色』、『昭和三色』は御三家と言われ、その他にも『浅黄』、『秋翠』、『べっ甲』、『写り物』、『五色』、『黄金』、『孔雀』等々があるのだとか。

これ、錦鯉の品種です。錦鯉とは観賞用に改良したコイの総称ですね。色鮮やかな体色を錦にたとえています。様々な色糸を用いて織り出された絹織物のように美しいということなのでしょう。

『生きた宝石』、『泳ぐ芸術品』とも呼ばれたりするのだとか。

普通の黒色の鯉を真鯉、それ以外の鯉を色鯉と呼び、その中で赤い鯉を緋鯉、そして色彩や斑点などの体色を改良されたものが錦鯉で、約130種類の品種があるのだそう。

19世紀に新潟県から始まったとされる錦鯉は、1914年の東京博覧会でその関心が日本中に爆発的に広まったのだとか。その後輸送技術が進歩すると海外にも輸出されるようになったのだそう。香港や欧州に多く輸出されているのだそうです。

1匹2億円以上で取引されることもあるのだそうですよ…。

僕が幼少の頃、実家の庭の池にも錦鯉がいたけど、あれはいくらくらいだったのかなぁ…。

今日はこどもの日。いろんな場所で真鯉や緋鯉が泳いでいるのでしょうか。

■■

さて…

〈イロウミウシ科ニシキウミウシ属テヌウニシキウミウシ Ceratosoma tenue 20年3月6日 沖縄島安和〉

学名種小名は『薄い・細い』の意。

細長い本種の体型からでしょうか。

錦鯉みたいに本種の体色も変異に富み、様々な体色や模様の個体がいます。

画像の個体は錦鯉なら『黄金』という感じでしょうか。

 

 

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