Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

リン酸化(ハナグロイソハゼ)

2019-10-29 20:18:40 | ハゼ科

早朝というか未明に前線が通過したようですが、朝には雨は上がり、日中は気持ちの良い晴れ空だった本日のやんばるです。

風も朝には北寄りになっていて、涼風。まあそれでも夏日にはなりましたけど。

今週も週間予報には雨アイコンは見当たらず、夏日が続きそうな予報です。

風は概ね北。晴れ。

■■

ときどきふと思ったりします…。

例えば1錠飲めば、1時間眠っただけで7時間眠ったのと同じくらい脳と体が休まる、そんな薬ってできないものかなぁ…、なんて。

自他ともに認めるロングスリーパーの僕は、毎日7~8時間眠らないとすぐ寝不足になってしまったりするのです。これが1時間で済むのなら、残りの時間を別のことに使えるのに。まあ、遊ぶことに使うんですけど…。

人間のみならず、多くの動物が睡眠をとりますね。犬猫や鳥や魚や、クラゲや線虫までも。しかしなぜ動物が睡眠を必要としているのか、今の科学ではまだはっきりと解っていないのだとか。

特に人の睡眠にはほかの動物にはない特徴があって、それは睡眠をまとめてとること。眠っている間は意識を失い、危険に即座に対応できない状態になるのにも関わらず。脳の巨大化と長く深い眠りは『共進化』したとする説もあるそうですが、推測の域を出ていないのだそう。

睡眠・覚醒は二つの仕組みによって制御されているのだとか。一つは『体内時計』。遺伝子から物質、細胞、臓器、個体レベルで解明が進み、時計遺伝子の発見に対しては、2017年のノーベル生理学・医学賞が授与されています。

もう一つは『睡眠恒常性』。これは要するに起きていると眠気がたまっていき、眠るとそれが解消されるという日常的に感じている仕組みのこと。最近の研究によると、これは脳のシナプスに局在しているタンパク質のリン酸化が進むことによって睡眠欲求が増し、眠ることによってリン酸化が阻害され睡眠欲求も減るのだそう。

つまり『眠気』の正体は、脳のシナプスのリン酸化ということのよう。そしてこれは、大事な記憶と些末な記憶の振り分けに関係しているのだそうです。

こういういろいろなことが解り始めているようですが、それでもまだ、『我々は何のために眠るのか』の答えに辿り着いてはいないのだとか。

もっと睡眠に関する詳細が解明されれば、前述のような薬が出来たりもしますかねぇ…。

■■

さて…

〈ハゼ科ハゼ亜科イソハゼ属ハナグロイソハゼ Eviota shimadai 19年9月12日 沖縄島安和〉

リン酸化が進行しているのかも…。

もっともあくびの作用は覚醒作用だけではありませんが。

魚の場合は、オス同士で争う前やケンカ中にあくびをしていると報告されています。

強いストレスや不安をもたらす行動の前にあくびをしているのだそうです。

 

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背中に烏帽子(ツマグロサンカクハゼ)

2019-10-22 21:30:50 | ハゼ科

前半は雨交じり、後半は晴れベースだった本日のやんばるです。

台風が置いていったうねりがまだ少し残っている感じです。まあ、少しですけど。

数日間北寄りの風が続いてましたが、明日からは南寄りの風になるようで、気温もその分上昇するみたい。

明日からの空模様は晴れ時々曇りで、このアイコンがズラ~と一週間並んでいる週間天気予報になってます。

明日あたり新たな熱帯低気圧が発生しそうですが、今のところこれは台風にはならない予想です。

風は北東。曇のち雨、のち晴れ間。

■■

『エボシ岩が遠くにみえる 涙あふれてかすんでる』

とこれは『チャコの海岸物語』の歌詞。1982年1月21日リリースの、サザンオールスターズの14枚目のシングルです。

当時僕は中学生でしたが、この歌で初めて『エボシ』という言葉を覚えたような気がします。まあそれまでにも『エボシ』という言葉を耳にはしていたでしょうけど、まったく印象には残っていなかったわけです。

神奈川県茅ケ崎市の沖合1200m付近に姥島という無人の岩礁群があるのだそう。この中の最大の岩礁が『エボシ岩』すなわち『烏帽子岩』と呼ばれています。もちろんその岩礁が『烏帽子』の形をしているからです。

烏帽子とは、平安時代から近代にかけて和装での礼服着装の際に成人男性が被った帽子のこと。ただし例外的に白拍子などの女性が被ることも。

衣装の格式や着装者の身分によっていくつかの種類があり、厳格に使い分けられたのだとか。

因みに『烏帽子岩』の『烏帽子』は『立烏帽子』。時代劇なんかでお公家さんが被っているようなのですね。『烏帽子』の中では最も格式が高いのだそうです。

■■

さて…

〈ハゼ科ハゼ亜科サンカクハゼ属ツマグロサンカクハゼ Fusigobius melacron 19年8月28日 沖縄島安和〉

画像はまだ幼い個体。

ヒレフリサンカクハゼと近縁で、姿もよく似た本種ですが、第1背鰭が烏帽子形なのが特徴。

学名種小名は『黒い先端』の意。

烏帽子形の背鰭の上半分が黒いところからでしょう。この烏帽子も立烏帽子ですね。

ところで烏帽子は『えぼうし』の音変化で、烏塗(くろぬり)の帽子の意味なのだとか。

つまり第1背鰭は形だけではなくて色も烏帽子。学名にも黒が入ってますし、『エボシサンカクハゼ』なんて名前でもよかったのでは…、とか思えたりも…。

 

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助数詞は子(ゴイシギンポ)

2019-10-15 20:24:59 | イソギンポ科

北寄りの風が強めで、涼しかった本日のやんばるです。

前半はやや曇りがちでしたけど、後半は気持ちのいい青空も見られました。

なかなか消えてくれないうねり。一応明日にはおさまる予報になってますが…。

風は概ね北。曇のち晴れ。

■■

「白黒をつける」という慣用句がありますよね。

物事の是非、善悪、真偽などを決める。決着をつける。という意味なんだとか。

これ、『白黒』でないとだめなのかな、『黒白』じゃだめなのかな、とか思ってたのですが、「黒白をつける」という言い方もあるのだそう。もちろん同じ意味で。

ただしこれ、『くろしろをつける』とは読まないで、『こくびゃくをつける』と読むのだそう。カッコいいけど、何だか言いにくく思えたり。きっとこれからも「白黒をつける」の方しか使わないだろうな…。

で、この「白黒をつける」の『白黒』は、碁石のこと。もちろん囲碁に使う碁石のことです。

碁石には3種類の素材があるのだとかで、その素材によって価格が違うのだそう。最も安いのはプラスチックで、1000円~2000円くらい。次に安いのは硬質ガラスで、3000円~5000円くらい。そして最も高級なのが那智黒の黒石と蛤の白石なのだとか。そのお値段は1万円~25万円くらいまであるのだそう。その重みや打ったときの響きが気持ちの良い石なのだそうですが…。

それぞれの素材に価格の幅があるのは、碁石にはいくつかの厚みがあるためなのだとか。サイズは22号~40号まであり、数字が増えるほどに分厚くなるのだそう。

同じ素材でも厚みがあるほど良い音が鳴り、打った手に存在感があるのだそうですが、その分重く持ちにくくもなるのだそう。囲碁をする方には、それぞれ自分の好みの素材や厚みの号数があったりするのでしょうか。

最近ではグリーン碁石なるものがあるのだとか。目に優しいとされる緑色の碁石で、黒石の代わりに濃い緑を、白石の代わりに薄い緑を用いるのだそう。

これだと、「濃緑薄緑をつける」になっちゃいますね。なんか決着つかなそう…。

目といえば、碁石の黒石は白石より若干大きいのだそう。膨張色の白は同じサイズだとやや大きく見えてしまうため、黒のサイズをやや大きくすることで人間の目にほぼ同じ大きさに見えるようにしてあるのだそうです。

碁石って色々と深いな…とか思えたり。まあ、僕は囲碁はしませんし、これからする予定もないですけど…。

ところで碁石の助数詞は『子』なのだとか。

助数詞というのはものを数えるときの単位。『本』とか『匹』とか『個』とかですね。

したがって碁石は1子2子3子と数えるのだそう。ただしこれ、『こ』と読まないで下さいね。『子』と書いて『もく』と読むのだそうです。

■■

さて…

〈イソギンポ科ニラミギンポ属ゴイシギンポ Ecsenius oculus 19年8月28日 沖縄島安和〉

画像は幼魚。

学名種小名は『目』の意。

体側に対をなして並ぶ黒い円形斑からなのでしょうね。

和名はこれを碁石に見立てたのでしょうね。

 

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カエサル様に敬礼(トゲチョウチョウウオ)

2019-10-08 19:17:59 | チョウチョウウオ科

今日は二十四節気の寒露。暦の上では本格的な秋の始まり。そのせいか、風が涼しくて心地よかった本日のやんばるです。

台風19号は予想進路が徐々に東へとずれてくれて、沖縄島は強風域にも入らないような感じの予報になってます。

あとはうねりがどこまで強まるのか、その辺りが気になりますが…。

風は北東~北。晴れ。

■■

ドイツには、『アベ・カエサル』というボードゲームがあるのだとか。

戦車競走をモチーフにしたゲームなのだそうですが、戦車といっても大口径火砲を搭載した『Tank(タンク)』のことではありません。

古代の戦争に用いられた戦闘用馬車の『Chariot(チャリオット)』のことです。

手札のカードを使って、ボード上のコースで駒を進め、コースを3周して一番にゴールしたプレイヤーが勝ちになるゲームのようですが、その3周の間に「アベ・カエサル」と叫びながらボード上の迎賓席のカエサルに敬礼しないといけないのだそう。もしそれを忘れると、不敬罪として死刑(つまりゴールしても失格)になるのだとか。

とまあ、日本人がやるとなんか微妙な空気になりそうな気もするゲームです。

「アベ・カエサル」とは、『カエサル様に敬礼』という意味なのだそう。というのも、このゲームはローマ帝国時代の戦車競走をゲームにしたもので、カエサルとはもちろんローマ皇帝のことです。

ローマ帝国において、戦車競走は大変人気のあるスポーツだったのだそうで、その御者や馬にとって、重傷を負ったり死に至ったりすることも珍しくない危険な競技であったのだとか。

現在におけるモータースポーツみたいな感じだったのでしょうか。

財政支援を行うグループごとにチームがあり、優秀な御者をめぐって争いもあったのだそう。強いチームには熱烈なファンがいて、ファン同士で争いが起こることもこともあったのだとか。

モータースポーツの最高峰、F1のような競技だったのでしょうか。

実は大好きなんです、F1。特定のチームの熱烈なファンというわけではありませんが。

というわけで、台風19号の進路がすごく気になってます。この週末は鈴鹿GPですから…。

■■

さて…

〈チョウチョウウオ科チョウチョウウオ属トゲチョウチョウウオ Chaetodon auriga 19年8月18日 沖縄島安和グスク〉

画像は幼魚。

学名種小名は『御者、戦車競走の御者』の意。

和名のほうは、背鰭の第5・6軟条が糸状にのびる成魚の特徴からでしょうけど、この学名はどこからなのでしょうか。

戦車競技の御者で画像検索すると、房飾りのついたヘルメット(兜?)を被っている画像が多いのですが、そういうのと関係あるのでしょうか。

 

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不足の美(ノコギリダイ)

2019-10-01 12:43:02 | フエフキダイ科

台風18号は東シナ海を北上中ですが、沖縄島は強風域にも入ることなくこのまま去ってくれそうです。

さすがに海は凪というわけにはいきませんが、荒れ模様という感じでもなく…。

むしろ明日の方がうねりが少し強まるのではないか、とも思えたりしますが…。

陸上は台風感はなく、日差しタップリな感じ。

秋に鳴く蝉の声が、夏の蝉のそれを上回り始めてるこの頃です。

■■

時は15世紀の室町時代のこと。将軍足利義政がとても大事にしていた青磁茶碗にひび割れが生じてしまいました。この茶碗はもともと12世紀に平重盛が中国人から贈られたものでした。そこでこの茶碗を中国に送り、同じような茶碗を求めたところ、中国ではもうこのような優れた青磁茶碗はないとのことで、その茶碗のひび割れを鎹(かすがい)で止めて送り返してきました。

というようなことがあったのだとか。

しかし戻ってきた茶碗を目にした足利義政は、それが醜い姿だと感じたために職人に良い修復方法を探らせたのだそう。そして生まれた技法が『金継ぎ』あるいは『金繕い』と呼ばれる修復技法なのだとか。

これは割れや欠け、ひびなどの陶磁器の破損部分を漆によって接着し、金などの金属粉で装飾して仕上げる修復技法。

漆で破損部分を修復したという痕跡は縄文土器にも見られるそうですが、それに室町時代以降の蒔絵の工芸技術が加わり、さらには茶道精神の普及により、金継ぎに芸術的な価値が見いだされるようになったのだそう。

室町時代、お茶の世界では器の金継ぎをした箇所のことを『景色』と呼んで、愛でて楽しんだのだとか。『景色』とは、鑑賞の対象としての自然界の眺めという意味ですから、破損そのものを、人知を越えた自然現象による芸術作品と捉えたのかもしれませんね。

そして金継ぎには、『わび・さび(侘・寂)』という『不足の美』を愛でる日本文化が根底にあるのだそうです。

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さて…

〈フエフキダイ科ノコギリダイ属ノコギリダイ Gnathodentex aureolineatus 19年8月7日 沖縄島安和グスク〉

学名種小名は『金色の線条のある』の意。

体側に数条の鮮黄色縦帯を纏っています。

 

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