Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

篦棒(ヘラヤガラ)

2021-08-31 19:49:18 | ヘラヤガラ科

凪のコンディションが続いているやんばるです。

いわゆる夏の季節風とは少し違うようですが、十分に緩~い風で、半島の北側も南側も凪。

まだ数日はこのコンディションが続くようです。

風は東~北東。晴れ。

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『べらんめえ』

時代劇のセリフなんかでよく登場する言葉。江戸っ子が威勢よくまくしたてるときに口にする印象です。

この言葉は『べらぼうめ』がくずれた言い方なのだそうで、『べらぼう』は漢字では『篦棒』と書くのだそう。

程度が甚だしいこと、普通では考えられないこと、人を罵って言う語、なのだとか。

『篦棒』は寛文年間(江戸時代)の見世物小屋で評判になった奇人に由来するのだそう。

その奇人は全身が真っ黒で頭が尖り、目は赤くて丸く、あごは猿に似た容貌で、愚鈍な仕草で客を笑わせていたのだとか。

この人気を博した奇人の名の『便乱坊(べらんぼう)』が語源なのだそう。

つまり『ばか』や『たわけ』という意味で流行したのが最初で、のちに今の意味として使われるようになったのだとか。

では漢字の『篦棒』、つまり『篦』と『棒』が『便乱坊』にどう繋がるのかというと、そこに繋がりはなく、『篦棒』は当て字なのだとか。

しかし別の説によると、『べらぼう』は穀物を潰す『へら棒』が語源で、穀潰しの意味もあるのだそう。

この説だと『篦棒』という漢字にも繋がりますけど…。

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ところで、篦と棒といえば…

〈ヘラヤガラ科ヘラヤガラ属ヘラヤガラ Aulostomus chinensis 21年6月24日 沖縄島安和〉

学名種小名は『中国の』の意。

ヘラヤガラは漢字では『篦矢柄』と表記します。

ヤガラに近い種で篦(へら)のように平たいことに因んでこの和名が付けられたのだそう。

『矢柄』は矢から鏃(やじり)と矢羽根を覗いた幹の部分。

つまり棒…ですよね…。

 

 

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しのぶれど…(シノビイロウミウシ属の1種)

2021-08-24 19:31:51 | ウミウシ

台風12号は、沖縄島からはかなり距離を取ったコースを北上してくれたおかげで、大きな影響はありませんでした。

少し風が強まったかな…って感じだけ。まあ、空模様は不安定でしたけど。

今日には十分に風は弱まり、明日以降もこんな感じの真夏日が続きそうです。

風は南。晴れ。

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『しのぶれど 色に出にけり わが恋は ものや思うと 人の問うまで』

平兼盛の和歌。百人一首の中で、僕がパッと口に出来る数少ない歌の一つです。

まあ、だいたい分かると思いますけど恋の歌です。

『胸にしっかりと秘めた恋だと思っていたのに、恋しているんだねと友人に指摘されるくらい顔に出てしまっていたようだ』

って感じの歌ですね。

この歌は、960年に村上天皇が開いた『天徳内裏歌合(てんとくだいりうたあわせ)』で詠まれたのだとか。

この歌合は文学史に残る盛大なものだったそう。

歌合とは、歌人を左右二組にわけ、その詠んだ歌を一番ごとに比べて優劣を争うイベント。

歌合戦みたいな感じに思えたりもしますが、平安期には歌の優劣が出世にもかかわる重大事だったのだそう。

ということはコンペティションの意味合いの方が強かったのでしょうか。あるいはラップバトル的な…。

ちなみにこの歌は『天徳内裏歌合』で勝利しています。

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しのぶ、色、といえば…

〈イロウミウシ科シノビイロウミウシ属の1種 Thorunna sp. 21年6月18日 沖縄島新里〉

クチバイロウミウシに似ていますが、外套膜最外周を縁取る橙色の帯が、触覚前方で途切れないことで区別できます。

 

 

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綱引きの一番後ろの人(ボンボリイソハゼ)

2021-08-17 19:33:48 | ハゼ科

空模様も良好、海況も良好な感じになってるやんばるです。

熱中症には相変わらず厳重注意な日が続いてます。

グアム付近で熱帯低気圧が出来たり消えたりしてますが、今後の予報もよく解りません。

週末に先島諸島に接近する予報もあるのですが、このまま消滅する感じの予報もあったり…。

今後の情報に注意が必要なようです。

風は南西。晴れ時々曇。

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『アンカレッジ(Anchorage)』

アメリカ合衆国アラスカ州にある都市で、北米を代表する港湾都市の一つです。

1914年にこの地にアラスカ鉄道建設のための拠点として、資材搬入のための港湾や作業員宿舎が造られたのだとか。

そのとき、この臨時の投錨地を地図に記載するのに、投錨地という意味の一般名詞である『anchorage』とするべきところを『Anchorage』と誤記してしまい、固有名詞として定着してしまったのが都市名の由来なのだそう。

ちょっと面白い由来ですよね。

アンカレッジのアンカー、すなわち『いかり』には、『碇』と『錨』の二つの漢字がありますね。

確認されている最も古い『いかり』は、紀元前2500~2000年頃のもので、重りとなる石にロープをくくりつけてその重さで船を留めておく仕組みだったのだとか。

その後この石に複数の穴を開け、木の棒などをはめて爪の役割を持たせるものが使用されるようになり、さらに時代が進むと鉄製ものが使用されるようになったのだそう。

つまり『いかり』は石製のものから金属製のものへと変わっていったというわけですね。

で、日本では石製のものを『碇』、金属製のものを『錨』と使い分けることになったのだとか。

今はたぶん『錨』ばかりが使用されているのでしょうね。

ところで陸上競技の最終走者のことを『アンカー』と呼びますよね。この『アンカー』も、『いかり』が由来なのだそう。

その昔、『綱引き』がオリンピックの陸上競技の正式種目だったとき、一番後ろの人のことを『アンカーマン』あるいは『アンカー』と呼んだのだとか。

その言葉が綱引きがなくなった後も、他の競技で使われ続けているのだそうです。

石や金属のようにずっしりと重い人が、一番後ろの役割を担っていたということなのでしょうか。

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さて…

〈ハゼ科ハゼ亜科イソハゼ属ボンボリイソハゼ Eviota ancora 21年6月7日 沖縄島新里〉

学名種小名は『フック状に曲がった、錨』の意。

以前本種を紹介したときに、学名種小名の意味で『碇』の方の漢字を使ってしまってましたけど、石はフック状に曲げられないのでこの子の場合は『錨』の方ですね…。

 

 

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日本発祥の図記号(カスリヘビギンポ)

2021-08-10 12:40:42 | ヘビギンポ科

周辺の台風や熱帯低気圧の全てが過ぎ去り、まずまずのコンディションになっているやんばるです。

今日は早朝は雨交じりでしたけど、後半は鋭い日差したっぷりな空模様になりました。

今週は明日以降も鋭い日差しの日が続きそう。

熱中症情報が連日厳重注意な感じになりそうです。

風は南~南西。雨のち曇、のち晴れ。

■■

オリンピック、閉幕しましたね。開催の是非や運営方法などに様々な意見がありましたが、それはまあ取り敢えず置いといて。

競技や競技以外のことでも連日いろいろな話題が報道されていました。

開会式のピクトグラムのパフォーマンスもその一つ。

全50種の競技の再現が、海外メディアに「ピクトグラムが人気をさらった」と報じられたのだとか。

現在型のピクトグラム(図記号)が世に広まったのは1964年以降のことなのだそう。つまりそれは前回の東京オリンピックの年。そう、そのオリンピックでピクトグラムが登場したのです。つまり現在型のピクトグラムは日本発祥なのです。

当時の日本人の英語力では日本に来た外国人と十分なコミュニケーションをとれる状態ではなかったため、「誰が見てもわかるマークを作ろう」と考案されたのだとか。

今では当たり前のトイレや非常口の図記号も、この流れから普及していったのだそうです。

ところで開会式の後、オリジナルのピクトグラムが多くの人に作られて、SNSに紹介されたりしてましたね。

『家事あるある』のピクトグラムや、『会社員あるある』、『子育てあるある』等々、ユーモラスで印象的な図柄のピクトグラムが盛り上がってました。

様々な人が身近なあるあるをすぐ図柄に出来てしまうのは、やっぱりマンガの国だからでしょうか…。

オリンピック、どんなことが印象に残りました?

僕的にはBBCがガンダムをトランスフォーマーと間違ってたことかな…。

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図柄といえば…

〈ヘビギンポ科カスリヘビギンポ属カスリヘビギンポ Ucla xenogrammus 21年6月1日 沖縄島安和〉

画像は幼魚。

学名種小名は『見知らぬ図柄の』の意。

〈同種別個体 21年6月7日 沖縄島新里〉

こちらも幼魚。

絣柄を纏っていない幼魚は、頭頂部のカラフルな模様が目立ちます。

個体によって微妙に違うところがフォトジェニックだったり…。

 

 

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薄衣(ウスギヌウミウシ)

2021-08-03 19:24:06 | ウミウシ

鋭い日差し、と思っていたらザッと一雨。という真夏の空模様が続いてますやんばるです。

近海にはポコポコと、本当にポコポコという感じで熱帯低気圧が発生しています。

明日以降近づいてくる熱低が一つ。こちらはまあそんなに危惧するほどでもなさそうですが…。

もう一つ、南シナ海の熱帯低気圧が24時間以内に台風9号になりそう。

今のところ、来週沖縄島の西側を北上しそうな予報です。

風は南東。晴れ時々雨。

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『かの薄衣は、小袿のいとなつかしき人香に染めるを、身近くならして見ゐたまえし』

源氏物語第三帖『空蝉』の一文です。

『あの薄衣(うすぎぬ)は、小袿(こうちぎ)でとても心惹かれる人の香りが染みこんでいるので、身近に置いてご覧になるのだった』

って感じのこと。

薄衣の持ち主、つまり心惹かれる人とは空蝉のことで、身近においてその香りを感じながら眺めているのが光源氏です。

この空蝉のエピソードは以前にも書いたような気がしますが、大好きなので…。

光源氏17歳の夏、空蝉という女性に夜這いをかけるのですが、着物だけを残して逃げられ、それを持ち帰るという感じのお話。

もっとも、ちゃっかり他の女の子といたしてたりしますけど…。

ハートブレイクの若き光源氏が、薄衣を抱えて恋しい人の香りをクンクンしてるようなイメージが浮かんで、そのちょっとあぶない感じがよかったり。

またこのエピーソードが夏っていうのもいいなぁと思えたりします。幼く苦い恋の思い出は、夏が相応しく思えません?

光源氏が無敵のプレイボーイになる前夜の物語です。

まあ、光源氏は無敵とは言いがたい恋愛をこの後も結構していますけど…。

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さて…

〈キヌハダウミウシ科キヌハダウミウシ属ウスギヌウミウシ Gymnodoris subflava 21年5月24日 沖縄島新里〉

学名種小名は『黄金色の下(に)』って感じの意。

体色を表しているのでしょうか。

ところで『うすぎぬ』には『薄絹』と書く言葉もあります。

『薄絹』は生地の薄い絹のこと。またはそれを思わせるもの。

『薄衣』の方は、うすごろものこと。またはそれを思わせるもの。

似ていて微妙に違う二つの言葉。この子はどちらでしょう? どちらにも思えますが…。

 

 

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