秋晴れなのか残暑なのか…微妙な感じの沖縄島です。
まあとにかく晴天の日が続いてます。
海もまずまずのコンディション。
水温はゆるやか~に下がり始めてますが、インターバルで十分以上に熱を取り戻すことのできるこの頃です。
風は北東。晴天。
〈ハタ科ハナダイ亜科ナガハナダイ属ハナゴイ(Pseudanthias pascalus) 12年8月12日 沖縄島崎山〉
画像は幼魚。
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「綺麗な紫ね」
僕の肩越しにモニターを覗き込み、彼女が言う。
「そう。鮮やかな、あるいは艶やかな紫だね」
画像を見つめたまま、僕は頷く。
斜めに上昇する一瞬を切り取られた魚は、何処を目指しているのだろう。
「この紫はパープルかしら? バイオレットかしら?」
「さあ…? どう違うの?」
「パープルは赤みの強い紫。京紫ともいう。バイオレットは青みの強い紫。江戸紫ともいわれるわ。あなたならどちらを選ぶ?」
「僕ならパープルかな…」
「どうして?」
「う~ん、何となく。この子は幼魚で、ハナダイ亜科は雌性先熟だからまず女の子になる。女の子から赤。あるいは艶やかな女の子→舞妓→京都→京紫→パープル、って感じかな」
「連想ゲームね。でも将来男になるかもしれないんでしょう?」
「まあ、そうだけど…。君は?」
「じゃあ、私はバイオレット」
「どうして?」
「この画像を見てると、上昇するこの子はこのあと放物線軌道を描きそうに思えるの。放物線軌道といえばニュートン力学。ニュートン力学といえばアイザック・ニュートン。アイザック・ニュートンは虹の7色を定義した人物でもあるの。そして虹の紫は、バイオレットだから」
「じゃあ君は、力学的にバイオレットを選ぶんだ?」
「そう、力学的にバイオレットを選ぶの。ところで、この魚は群れるの?」
「うん。幼魚も成魚も群れで泳ぐよ」
「それなら、どちらの紫であっても似合っているわ」
「どうして?」
「もともと紫は植物のこと。群生する植物で、その名前は『群れて咲く』が語源だといわれているわ」
「確かに…、水中で群れ泳ぐ姿は咲きほこる花のように思えたりするよ。紫を纏い踊る花やかな女の子達ってところかな」
「でもね、紫の花は白いの。紫色は根の色なのよ」
振り向くと、彼女はイタズラっぽく微笑んでいた。
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なんてね…。