Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

未来の海の王者(リュウキュウウミシダ)

2019-03-26 19:19:07 | 水中生物

風はヒンヤリでしたが、空模様はまずまずの青空だった本日のやんばるです。

ウエットスーツのまま器材を洗っていても寒ないくらいにはポカポカしていました。

明日は南寄りの風。週の真ん中頃は夏日になりそうな予報です。

風は北西~北、のち北~北東。概ね晴れ。

■■

〈クシウミシダ科リュウキュウウミシダ属リュウキュウウミシダ Oxycomanthus bennetti 18年5月17日 沖縄島安和〉

画像はまだ幼い個体。

ウミシダはヒトデと同じ棘皮動物ですが、その姿はかなり違いますね。2億年前から生存し、生きた化石と考えられているのだとか。

その生息域はめっぽう広いのだそう。赤道付近から北極域まで、あるいは逆に南極地方までにも。そして浅海から深海までにも分布しているのだとか。どこにでもいる感じですね。まあ、当地でもどこにでもいます。

そのウミシダ、未来の浅瀬の王者になるかもしれないのだそうです。

ウミシダの腕は切れた場合にもゆるやかに、そして無限に再生するのだそう。海水温の上昇でサンゴが大きなダメージを受けたりしている昨今ですが、この海水温の上昇がウミシダには有利にはたらくと考えられているのだとか。海水温が上がると、ウミシダの再生能力は高まるのだそうで、逆にウミシダの幼体を食べる生物は海水温の上昇によって打撃を受けるみたいで…。

つまりウミシダが生き残りやすくなり、捕食者に腕を切られても再生しやすくなるというわけ。

しかもサンゴがダメージを受けても、ウミシダの個体数には影響を及ぼさないと考えられているのだそうです。

海は着実に温暖化しているようで、ウミシダが浅海に君臨する日が近づいているのかもしれません。

〈同種別個体 19年2月12日 沖縄島安和〉

こちらの画像はかなり幼体。

生き残りやすくなるのであれば、この子にとっては嬉しい変化なのかもしれませんが…。

ところでウミシダの寿命はよく解らないようで、不死なのではと考える研究者もいるそうです。

するとこの子も王者になるときまで生き続けるのでしょうか…。

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魂か、風に吹き上げられるドレス(カタアシクラゲ)

2019-01-21 18:24:56 | 水中生物

昨日の雨の後から、急激に寒~くなったやんばるです。

空もドンヨリ…。

今夜はスーパームーンなのですけど…。

週の半ばには、寒さはやわらぎそうです。

風は北。曇。

■■

『魂』を意味するスペイン語は、『alma(アルマ)』というのだそう。

そしてこの名を持つ電波望遠鏡が、チリ・アタカマ砂漠にあります。正式名称は『アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計』というのだそうで、その英語表記を略すと『ALMA』になるのだとか。

望遠鏡といっても、筒型の形を思い浮かべてはいけません。それは光学望遠鏡で、アルマは電波望遠鏡ですから、その姿はいわゆるパラボラアンテナです。

東アジア・北米・ヨーロッパの共同プロジェクトで、アンデス山脈の標高約5000mのアタカマ砂漠に日本製の16台を含む66台のパラボラアンテナを設置し、その全体を一つの電波望遠鏡として機能させています。

ミリ波サブミリ波領域では分解度・解像度ともに世界一の性能なのだそう。

銀河の形成、星と惑星系の形成、宇宙における物質進化などの解明が主目的ですが、天文学や惑星学の分野で汎用の装置として活用されているのだとか。実際に次々と観測成果を上げているようです。

名前が『魂』だけに、魂を有するような知的生命体の棲む恒星系を見つけ出したりしないかなぁ…、とか考えてみたり…。

「Ooo, do you feel the breeze from the subway?」

これは1955年の映画『七年目の浮気』での、マリリン・モンローの台詞。

マリリン・モンローを知らないなんてことはないですよね。女優でモデルで、伝説のセックスシンボル。

左右のヒールの高さを約6mm変えることでセクシーさを強調する独特の歩き方をしてみたり、「夜は何を着て寝るのですか?」という記者の質問に「シャネルの5番よ」と答えるなど、エピソードをあげると枚挙に暇がない女性です。

その彼女の最も有名なシーンが前述の台詞のシーン。

「あら、地下鉄から風が吹いているのね?」

と言いながら、風を吹き上げる地下鉄の通風口の上で白いドレスのスカートをはためかせるこのシーンは、アイコンとなって、世界中で今でも見かけることがあるのではないでしょうか。

20世紀映画史に残る名シーンですよね。

■■

さて…

〈オオウミヒドラ科カタアシクラゲ属カタアシクラゲ Euphysora bigelowi 18年12月6日 沖縄島安和〉

パラボラアンテナのように見えるこの子はクラゲです。

といってもポリプです。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

揺らめく姿が、白いドレスのスカートを連想してしまったりしたわけです…。

 

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三毛猫の三色…(イボベッコウタマガイ)

2018-08-17 20:28:27 | 水中生物

強烈な日差しだった本日のやんばるです。

スコール系の雨に出会うこともなく、一日中晴れ渡ってました。

次々と台風が発生していますね。12日から16日まで5日連続で発生したのだとか。

これは1951年の統計開始以来初めてのことなのだそう。

過去記事をチェックしてみると、去年は8月の下旬に15号、9月の中旬に18号のことに触れてます。

今年はすでに19号ですから、かなりのハイペースで発生している感じですね…。

風は南東。晴天。

■■

三毛猫を見つけたら、雌だと思ってほぼ間違いないのだとか。

これは三毛猫の特徴である三色の体毛を生み出すために、X染色体が二つ必要なため。

ご存じかもしれませんが、X染色体は性染色体。性染色体にはXとYがあり、XXだと雌に、XYだと雄になります。

というわけで、Xが二つ必要な三毛猫は雌になるというわけ。

では三毛猫に雄はいないのかと言うとそうではなく、クラインフェルター症候群なんかで過剰にXを持つ雄、つまりXXYの雄が三万分の一の確率で生まれるのだそう。

そういう雄の三毛猫を船に乗せると福を呼び船が遭難しない、という言い伝えがあるのだとか。

日本の第一次南極観測隊の船にも雄の三毛猫が乗せられ、そのまま南極の昭和基地で隊員たちと一緒に越冬したそうです。

ところで、三毛猫は英語で"tortoiseshell"と言うのだそうです。

この言葉、"tortoise"は亀、"shell"は甲、つまりそもそもは鼈甲のこと。

三毛猫の三色模様と鼈甲の模様が似ているということでしょうか。

似てますかねぇ…。僕的には微妙な気もしますが…。

あと鼈甲ってタイマイの甲羅ですよね。タイマイはウミガメなのにその甲羅の加工品である鼈甲が"tortoiseshell"っていうところも少し違和感を感じたり…。

■■

さて…

〈ハナヅトガイ科Coriocella属イボベッコウタマガイ Coriocella nigra 18年7月12日 沖縄島新里〉

画像は幼体。

見た目は非常にウミウシっぽい貝。貝殻は完全に隠されていて、露出することはないのだそう。

学名種小名は『黒い』の意。

画像の個体だと見た目そのままの学名のように思えますが、真っ黒な体色だけではないようです。

もう一つ…

『鼈甲』という漢字ですが、『鼈』という字はスッポンのことですよね。

すると字のそのままの意味だと、スッポンの甲羅のことになってしまいますよね。

これは江戸時代に、細工物にタイマイの甲の使用が禁止されたためにスッポンの『鼈』の字を借りたのだとか。

字を借りてでも工芸品や装飾品に重用されるほど、鼈甲は加工し易い材料だったのだそうです。

 

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美しき赤色巨星(ワモンクモヒトデ)

2018-06-08 19:55:19 | 水中生物

陽光たっぷり、真夏日ですが心地よい風が吹いていた本日のやんばるです。

台風五号が接近するようです。

今のところ大東島の東側を北上していきそうな予報です。

明日中には強風域に入りそうな感じですが、今日のところは気持ちのいい凪でした。

風は東。晴天。

■■

北斗七星と共に春の夜空の頭上高くに見える星座に『りょうけん座』があります。

この星座、元々おおくま座の一部だったのですが、1687年頃に新しく設定されたのだとか。

星座って分割されることがあるんだ…ということに驚き、さらに1687年が新しいという天文学的感覚にも驚いたり。

アステリオンとカーラという二匹の猟犬を表す星座なのだそうですが、新しい星座なので神話を持たないのだとか。そういう星座もあるのですね。

この星座を構成する主な天体の中に、『りょうけん座Y星』という恒星があります。

半規則型変光星で、つまり周期的に光度が変化する恒星で、160日周期で変光しているのだそう。

この星は全天で最も赤く見える星の一つでもあります。

それはこの星が、寿命が近づいている赤色巨星だからなのだとか。

この星は『ラ・スパーバ(La Superba)』という固有名を持っています。

19世紀イタリアの天文学者が、この星の美しさに感激し、『壮麗なもの』を意味するこの名前をつけたのだそうです。

■■

さて…

〈Ophiolepidinae科Ophiolepis属ワモンクモヒトデ Ophiolepis superba 18年4月23日 沖縄島安和〉

美しい赤色巨星と同じ名前を持つクモヒトデです。

壮麗さを感じるかといわれれば……。

どうでしょう。感じます?

 

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端境(ムネボヤ&…)

2018-05-21 19:56:24 | 水中生物

今日はようやく梅雨を感じられる空模様だったやんばるです。

ただし午前中だけ。

午後は気持ちいい青空でした。

本日は二十四節気の小満。

ここから次の節気である芒種までを、当地では『スーマンボースー』といいまして、梅雨のことをさします。

が…、明日からの一週間の予報で雨マークが1日しかないという…。

空梅雨ですかねぇ。

風は南西のち西。雨のち晴れ。

■■

『端境』とかいて『はざかい』と読みます。これ、大和言葉です。

何のことか解りますか。これは結界のことです。

結界とはそもそもは仏教用語で、ある空間領域を設定することをいうのだとか。

すなわち聖なる領域と俗なる領域を分け、秩序を維持するために区域を限るという意味あいなのだそう。日本では神道にも同じ概念があるのだとか。

神社や寺院の鳥居や注連縄も結界の一つで、こういうものは領域の境界線を視覚化する役割もあるよう。あるいは茶道で、茶室に入るための躙口(にじりぐち:体を屈めないと入れないほど小さな入口)も、茶室を非日常空間にするための結界なのだそう。

複数の領域、つまり複数の世『界』を『結』びつけるので、『結界』というわけです。

実は日本建築には結界がたくさん見られて、『襖(ふすま)』、『障子(しょうじ)』、『衝立(ついたて)』、『縁側(えんがわ)』と、これらは皆広義の意味で結界なのだそう。

結界って意外と身近な存在なのですね…と書きたかったのですが、襖や障子や衝立や縁側って身近にありますかね? 我が家には一つもありませんでした。

身近な結界は、失われていっているのでしょうか。

■■

さて…

〈ユウレイボヤ科ムネボヤ属ムネボヤ Rhopalaea circulata 18年4月10日 沖縄島安和〉

学名種小名は『幅のある輪』って感じかな、自信ないけど。

透明な体にブルーの輪模様を複数纏います。容易に見られますが、綺麗なホヤです。

ところで〈ムネ〉って何でしょう?

胸? 棟? 旨?

それはともかく、このホヤの中を覗いてみると…

〈端脚目(ヨコエビ目)の一種 Amphipoda sp. 18年4月10日 沖縄島安和〉

この透明さ、あるいは輪模様が、なんだか結界のように思えて…。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

この子にとっては、このホヤの内部は聖なる領域なのかも…とか思ってみたり…。

 

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快適な壺(チャツボボヤ)

2018-03-27 18:39:18 | 水中生物

気持ちのいい陽光が降りそそいだ本日のやんばるです。

気温もほぼ夏日。

この先もこんな感じで、夏日あるいはほぼ夏日な日が続きそうです。

台風3号が発生しました。

北上はするようですが、今のところ沖縄島への接近はなさそうです。

風は東。概ね晴れ。

■■

江戸時代には、現在の京都府宇治市から宇治茶を徳川将軍家に献上するために、茶壺を運ぶ行列が行われたのだそう。

東海道や中山道を江戸に向かうこの行列は、『茶壺道中』と呼ばれました。

僕の出身地はこの宇治市から遠くないところでして、お茶の生産が盛んです。お茶屋さん(と言っても会社ですが)も複数社あり、僕の実家も茶畑を持ってました。まあ、ごく小さな畑でしたけど。

この『茶壺道中』は非常に権威があり、たとえ御三家の行列であっても道を譲らなければならなかったとか。ましてや庶民は、田植え禁止、たこ揚げ禁止、煮炊きの煙も禁止、さらには葬式さえ禁止されたのだそう。というわけで『茶壺道中』が通過するまで、沿道の庶民は家の中に閉じこもったのだそうです。

この様子を歌にしたのが、童謡『ずいずいずっころばし』ですね。

「ずいずいずっころばし ごまみそずい

 茶壺に追われて とっぴんしゃん

 抜けたら どんどこしょ

 俵のねずみが米食ってちゅう ちゅうちゅうちゅう

 おっとさんがよんでも おっかさんがよんでも 行きっこなしよ

 井戸のまわりで お茶碗欠いたのだぁれ」

つまり、家の外で胡麻味噌を摩っていたら、『茶壺道中』の行列が来たので慌てて家に入って戸をピシャリと閉めて(とっぴんしゃん)、息を潜めてやり過ごすみたいな感じでしょうか。で、行き過ぎたらやれやれ(どんどこしょ)的な感じかな。

ところで童謡の歌詞には一見した意味とは別のホラーチックな意味があったりしますが(例えば『かごめかごめ』とか)、この『ずいずいずっころばし』にも別の意味があるという説が。

しかしそれはホラーチックな意味ではないようで…

なんでも性的な意味があるのだとか。それによると『茶壺』は『女性』を意味するのだそうで、『ずいずいずっころばし』や『ごまみそずい』や『俵のねずみが米食ってちゅう』にも性的な意味があるのだそう。

『茶壺』は解りますが、『ずいずいずっころばし』とかにいったいどんな性的な意味が……?

■■

さて…

〈ウスボヤ科ウスボヤ属チャツボボヤ Didemnum molle 18年2月23日 沖縄島安和〉

学名種小名は『快適な』の意。

何が快適なのでしょう。

このホヤに住むエビ(例えばペリクリメナエウス・ストォルチイ)がいますけど、やっぱり快適だからなのでしょうか。

内部の緑色は共生藻類によるものですが、彼らも快適に感じていたりするのでしょうか。

 

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Respectful condolences(コハナガタサンゴ)

2018-03-16 19:36:43 | 水中生物

日中に雨交じりの空模様だった本日のやんばるです。

それでも気温は高いまま推移。特に前半は心地よいムシムシ感でした。

後半は風が変わって少しヒンヤリ。

記録されてる気温は下がってないのですが…。

明日からはまた気持ちよく晴れそうです。

風は南~南西、のち北西。曇ときどき雨。

■■

何故、宇宙は存在するのでしょう。

「もしその答えを見つけたなら、人類の理性による究極の偉業になるだろう。神の心を知るわけだから」

これは世界的な名著、『ホーキング、宇宙を語る』でのホーキング博士の言葉です。

彼はまごうことなき天才科学者で、『車椅子の天才物理学者』として知られた、世界で最も有名な物理学者ではなかったでしょうか。

また僕のような一般のサイエンスフリークにとっては、サイエンスライターとして親しみのある存在でもありました。

ブラックホールの専門家というイメージのホーキング博士ですが、過去のインタビューで、人生についてこんな風に語っています。

「まず、星を見上げて、自分の足を見ないようにすること。次に仕事をあきらめないこと。仕事はあなたに意義と目的を与えてくれ、それがなくては人生は空っぽになるからだ。3番目に、運よく愛を見つけられたなら、愛がそこにあると忘れず、投げ捨てたりしないこと」

名言ですね…。

■■

〈オオトゲサンゴ科コハナガタサンゴ属コハナガタサンゴ Cynarina lacrymalis 18年2月9日 沖縄島安和〉

学名種小名は『涙の』の意。

 

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4色問題(サンゴイソギンチャク)

2018-03-02 18:33:03 | 水中生物

心地よい日差しがタップリだった本日のやんばるです。

風もごく緩やか。風向がよく解らなくなるくらいに…。

週末から週明けにかけては少しぐずつきそうですが、気温は高く夏日が続く予報です。

風は北東~南東。晴れ。

■■

「平面上のいかなる地図も、隣接する領域が異なる色になるように塗り分けるには4色あれば十分である」

これは数学の『4色定理』と呼ばれるもの。

因みに厳密には「境界線によって囲まれたいくつかの領域からなる平面図形があり、境界線の一部を共有する領域は異なった色で塗らなければならない、としたとき、4色あれば十分である」となるらしい。う~ん、長くてよく解らない。

グラフ理論でとらえるとぐっと短くすることが出来て…

「平面グラフは4彩色可能である」となるのだとか。短くなっても全く解りません。

まあ要は、例えば日本地図でもアメリカ合衆国地図でも、4色で都道府県や州を塗り分けられる、という感じです。

かつては『4色問題』と呼ばれ、問題提起から一応の決着まで一世紀半程かかったのだそう。

一応のというのは、問題の証明にコンピュータ・プログラムが使われ、ゴリ押しで解かれたから。

この証明方法に多くの数学者が、美しくないと落胆したのだとか。そして未だ手計算で証明を完成させた人はいないのだそう。

しかし逆に、コンピュータってすごい装置だなぁ…とか思えたりも。

まあ、無粋だとは思いますけどね…。

■■

さて…

〈ハタゴイソギンチャク科Entacmaea属サンゴイソギンチャク Entacmaea quadricolor 18年1月25日 沖縄島安和〉

学名種小名は『4色の』の意。

この学名の種は、〈ウスカワイソギンチャク〉という和名で呼ばれていましたが、Entacmaea属の4種、〈ウスカワイソギンチャク E.quadricolor 〉、〈サンゴイソギンチャク E.actinostoloides 〉、〈オオサンゴイソギンチャク E.maxima 〉、〈タマイタダキイソギンチャク E.ramsayi 〉は、E.quadricolor のシノニム(同物異名)とされ、標準和名はサンゴイソギンチャクにされているようです。

学名と和名の組み合わせが変わってしまって、日本人にはややこしいような…。

もっとも、本属の分類には複数の見解があり、さらなる検討が必要なようです。

『4色問題』ならぬ『4種問題』といったところでしょうか…。

 

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ブルース・リーにヌンチャク(フトトゲヒトデ)

2018-02-23 18:36:23 | 水中生物

前半は雨交じり、後半は青空もチラホラ…、という空模様だった本日のやんばるです。

この週末もぐずついた天気が続きそうです。

水中ではクジラの『ソング』が、かなり賑やかに響き渡ってました。

風は北~北東。曇ときどき雨、のち曇ときどき晴れ間。

■■

原始時代から現在に至るまで使用されている武器に『棍棒』があります。

武器としては非常に単純で、基本的なものの一つ。猿人や原人が手にした木ぎれや骨がその発祥なのだとか。

それが時代と共に加工・強化されて発展し、メイスのような武器になったのだそう。ギリシャ神話に登場する英雄ヘラクレスが使う棍棒も、先端に三つの突起を持つメイスで、これがトランプのクラブ(クローバー)という名称の由来だという説もあるのだとか。

現在使われている棍棒といえば『警棒』で、護身用や警備用、あるいは捕縛用などに広く使用されているのだそう。

ところで僕は最初、『棍棒』というもののイメージで、鬼が持っているようなバットからスパイクがたくさん生えているようなものを思い浮かべたりしたのですが、あれは金棒でしたね。

金棒は正確には『金砕棒』というのだそうで、ざっくりとした僕の理解では棍棒とは用途や長さが違うよう。

それと棍棒には少し変わったタイプのものもあって、その一つが両節棍。

いわゆる、『ヌンチャク』のことです。ブルース・リーが映画で使用した武器ですね。

この前、インターバルにブルース・リーの映画の話をしたら、僕以外の誰一人(20代~30代のメンバー)ブルース・リーの映画を見たことのある人がいなくて、かなりのショックを感じたりしたのですが…。

ブルース・リーの映画、見たことありますか?

■■

さて…

〈フトトゲヒトデ科Mithrodia属フトトゲヒトデ Mithrodia clavigea 18年1月22日 沖縄島安和〉

学名種小名は『棍棒を有する』の意。

腕に規則的に並ぶ太い棘のことなのでしょうね。もちろん和名もここから。

しかし相当な数の棍棒を持ってますね。

これだけ棍棒を持っていれば、『鬼に金棒』あるいは『ブルース・リーにヌンチャク』並みに強いのでは…とか思えたり。

 

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ホワイトドラゴン(コンシボリガイ)

2018-02-16 19:37:52 | 水中生物

後半雨交じりだった本日のやんばるです。

といっても雨は午後遅くだったので、雨に降られた気分にはなりませんでしたけど。

風は南寄りで、心地よい一日でした。

いい感じのお正月ですね。

そうそう、今日は旧暦の1月1日ですよ。

週末から来週にかけても、寒そうな日は見当たらない週間予報になってます。

風は南~南西。晴れときどき曇、のち雨。

■■

原産地はメキシコまたは中南米の熱帯雨林。その栽培現場では「ピタジャ」とか「ピタージャ」とか呼ばれ、中国語名は火龍果。

分類的にはサボテン科ヒモサボテン属の果実。

この果実は、日本ではピタヤと呼ばれたり表記されたりすることもあるそうですが、しかし一般的に知られている名前は…

『ドラゴンフルーツ』

断然、こちらの名前の方がなじみがありますよね。

もちろんこの名前は、中国名をそのまま英語にしたもの。

初めてこの果物を見たとき、『龍のタマゴみたい…』とか思ってしまいました。

まあ、龍のタマゴの実物を見たことはありませんが。いやその前に龍自体の実物を見たことがなかったりもしますが…。

ところで、ドラゴンフルーツとは厳密にはヒモサボテン属の一品種 Hylocereus undatus の果実につけられた商品名なのだとか。

この品種の果肉は白いので、厳密にはドラゴンフルーツの果肉は白色なのだそう。

しかしドラゴンフルーツには、この白肉種以外にも赤肉種や黄皮白肉種等があり、それぞれホワイトドラゴン、レッドドラゴン、イエロードラゴンなどと呼ばれているのだそうです。

当地では夏にあちこちで目にしますが、全国的にはどうなのでしょう。

マイナーなフルーツなのでしょうか…。

■■

さて…

〈ミスガイ科コンシボリガイ属コンシボリガイ Micromelo undatus 18年1月18日 沖縄島安和〉

学名種小名は『波動した、鈍波形の』の意。

ホワイトドラゴンと同じ種小名です。

ホワイトドラゴンの方は、その葉の縁が尖っていない波形状、つまりは鈍波形。

本種の方は、貝殻の模様。茶色の螺帯が3本入り、この間に弓状に曲がった縦線(つまり鈍波形の線)が入るところからでしょうか。

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

貝なのか、後鰓類なのか、境界線上にいる生物です。

 

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乗り越える、乗り越えられる(クロテナマコ+…)

2018-01-12 18:26:50 | 水中生物

間違いなくこの冬一番の寒さになった本日のやんばるです。

久しぶりに自分の吐く息が白いのを目にしてびっくり…。

本日記録されたやんばるの最高気温が13℃…って寒すぎる。

明日は、ビーチに魚が打ちあげられてる光景が見られるかも…。

風は北西。曇時々晴れ、のち雨。

■■

陸上で最大の生物はアフリカゾウで、その体長は6~7.5m、肩高は3~3.9m。

もし生まれて初めてアフリカゾウを見たという人がいて、ゾウがじっとして動かなければ、その人はアフリカゾウを動物だと思うでしょうか。それとも、奇妙な形の岩だとか思ったりするでしょうか。

たぶん、大きな生物だと思うような気がします。

陸上に限定しなければ、最も大きい動物はシロナガスクジラで、体長は20~34m。

もし生まれて初めてシロナガスクジラを見た人がいて、クジラがじっとして動かなければ、その人はシロナガスクジラを動物だと思うでしょうか。それとも、大きな岩か丘のような地形の一部だと思うでしょうか。

たぶん生物だとわかると思うのですが、こちらは微妙なような気もします。

体格差が非常に大きくて、そして動かなければ、目の前にいる動物に気づかないことはありうるのでしょうか。

人間と比べてそこまで巨大な動物がいないので、僕たちにはそういう体験は出来ませんけど。

■■

でも、水中では…

〈クロナマコ科クロエリナマコ属クロテナマコ Personohunia graeffei & ヤドカリ科未同定種 17年12月4日 沖縄島安和〉

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

〈同種同個体 同日 同ポイント〉

ご覧の通り、ヤドカリがクロテナマコの幼体を何のためらいもなく乗り越え、普通に去っていった、という4コマです。

こういうシーンに出会うと、乗り越えた方と乗り越えられた方は、いったいどのくらい相手のことを認識しているのだろうと、考えずにはいられません。

 

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多機能アイテム(イバラカンザシ)

2017-12-25 18:11:33 | 水中生物

昨日は26年ぶりに夏日のイブだった沖縄島ですが、今日は一転、北風ビュービューな感じになりました。

まあ、寒い方がクリスマス感は増しますけど…。

風は強めの北。晴天。

■■

簪(かんざし)とは、女性が髪を結うときに使う伝統的な装身具。

日本髪には欠かせない装飾品ですね。

しかしながらその起源である縄文時代では、それは魔を払うアイテムだったよう。古代日本では、一本の細い棒に呪力が宿ると信じられていたため、それを髪に挿して効果を得ようということのよう。またこれが櫛の原型なのだとか。

平安時代から安土桃山時代へと進むにつれて、髪飾りとして用いられるようになったそう。

さらには江戸時代に入ると、本来の用途に加えて、緊急時の防御ため、すなわち護身用具としても用いられたと伝えられているのだそうです。

魔除けから武器まで、簪って意外と多機能なアイテムだったんですね。

■■

さて…

〈カンザシゴカイ科イバラカンザシ属イバラカンザシ Spirobranchus giganteus 17年9月25日 沖縄島安和〉

学名種小名は『巨大な』の意。

本属の中では大きいのでしょうね。

その属名は『螺旋状の鰓』の意味。

〈同種別個体 同日 同ポイント〉

本種の特徴である二本の傘のようなものは、頭部の一部分が鰓として発達した鰓冠(さいかん)と呼ばれる器官で、その属名の通り螺旋状になっています。

〈同種別個体 同日 同ポイント〉

その鰓冠が簪のように見えることが和名の由来。

色彩変異に富み、二色以上の体色を持つものも多いところも簪のようですね。

また鰓冠は呼吸に使われるだけではなく、これで浮遊生物を捕らえて口に運ぶ役割もあるようで、本家の簪同様多機能といえるかもしれません。

〈同種別個体 同日 同ポイント〉

刺激を受けると鰓冠を素早く引っ込めるのも本種の特徴。その際には殻蓋を閉じます。その蓋にイバラのような突起がついていることも和名の由来になっています。この画像の下の方がそれ。

■■

ところで…

イバラカンザシの英名は「クリスマスツリー・ワーム」

本日はクリスマスですので、ツリーを並べてみました。

メリークリスマス…。

 

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傲慢さのシンボル(テングヘビギンポ・テングカワハギ)

2017-09-29 19:42:12 | 水中生物

気持ちのいい青空だった本日のやんばるです。

風は北寄りの乾いた風。

日中の気温は真夏日まで上がりましたけど、この風のおかげで心地よい一日でした。

秋を感じたり…。

風は北~北東。晴天。

■■

〈天狗〉という妖怪というか伝説上の生物というか…、の起源は中国の火球にあることは以前に書きました。

でも僕らが〈天狗〉といわれてパッと浮かぶイメージは、赤い顔に高い鼻ですよね。

これは〈鼻高天狗〉という天狗なのだそうで、密教が日本に伝わった後に、山岳信仰がらみで生まれたのだとか。

山伏みたいな格好をしてますしね。

あの高い鼻は傲慢さを表しているのだそうで、現世において知識だけを追い求めて精神的な修行を怠った者が〈天狗〉に変化してしまうのだそうです。そして〈天狗道〉といういわゆる〈外道〉へと墜ちてしまうのだそうですよ。

まあ、これらは仏教的概念ですね。

しかし傲慢さのシンボルが、何故『高い鼻』なのでしょうね。

飛び出た目とか尖った耳とかではなくて…。

知識って、目や耳からインプットするじゃないですか。

だから知識ばかりに固執する者の特徴なら、目や耳に大きく現れてもよさそうに思えたりするのですが。

〈伎楽面〉という鎌倉時代初期まで行われていた仮面音楽劇では、〈鼻高天狗〉に似た面が用いられていたのだそう。

これは古代西方世界人、つまり昔の外国人(白人)がモデルで、赤い顔や高い鼻という特徴もそこからだったのだとか。

大昔に日本人が出会った外国人はかなり傲慢な印象だったのでしょうか…。

■■

さて…

〈ヘビギンポ科クロマスク属テングヘビギンポ Helocogramma rhinoceros 17年8月14日 沖縄島安和〉

学名種小名は『サイ(犀)』の意。

一目で納得ですよね…。

〈カワハギ科テングカワハギ属テングカワハギ Oxymonacanthus longirostris 17年8月22日 新里〉

学名種小名は『長い嘴の』の意。

こちらも特徴そのままですね。

そしてそう、どちらの〈天狗〉も突き出ているのは鼻ではなく口(吻)…。

というか、〈テング〉のつく魚のほとんどがそうじゃないでしょうか。

でも違和感を感じるかといわれれば、全然感じてなかったり。

どうしてでしょう。

この感覚、ちょっと不思議に思えたり…。

 

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神の枕詞(チハヤニセツノヒラムシ)

2017-09-19 19:45:00 | 水中生物

台風18号の影響も消え、雲のない青空になった本日のやんばるです。

朝晩は涼しく秋めいてきましたけど、日中はまだ色の濃い夏という感じ…。

こんな感じの日が、当分続きそうです。

風は弱~い南。晴れ。

■■

『ちはやふる 神代も聞かず 竜田川 からくれないに 水くくるとは』

百人一首の一句。在原業平の句です。

『竜田川が(紅葉で)こんなに美しい紅色に染まることを、ちはやふる神々の時代でさえも聞いたことがない』

という感じの意味なのだとか。

といってもこの在原業平という人物は、当代きってのプレーボーイとして有名な男性なのだそう。

だからこの句も、今は人妻になっているモトカノに、「まだ熱烈に好きだ」という気持ちをほのめかしているものなのだとか。

和歌ってホントこのパターンが多いように思えたり…。

ところで神の前に〈ちはやふる〉という言葉がありますよね。

これは、『激しい勢いで、素早く振る舞う』という意味で、神を修飾する枕詞なのだとか。

まあ、神ってる様子を表す言葉って感じですかね…。

〈ちはや(千早)〉だけだと、神事の際に主に女性が着用した衣装のことなのだそう。

神に憑依され神のように振る舞うために、つまり『ちはやふる』ために纏った衣装ということなのでしょうか。

神事を行う、例えば卑弥呼のような女性が、神のお告げを荒々しい口調で叫んでいるようなイメージが浮かんだり…。

■■

さて…

〈ニセツノヒラムシ科ニセツノヒラムシ属チハヤニセツノヒラムシ Pseudoceros imperatus 17年8月8日 沖縄島新里〉

画像はまだ幼い個体。

学名種小名は『管理する・統制する』の意。

何となくこれも神に繋がる言葉のように思えたりも…。

 

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群れて咲く…(アカトゲクモヒトデ)

2017-08-28 20:05:43 | 水中生物

台風15号が発生したようですが、そのままただちに北上しそうな予報です。

沖縄島には全然近寄る気配もなく、影響もなさそうです。

って、同じようなことばかり書いてるような気も…。

風は北寄りですが、まったくもって灼熱です。

スコールにも出会わず、暑~い日が続いてますやんばるです。

風は北東。晴れ。

■■

『あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る』

万葉集の額田王の句です。

この句の『君』とは大海人皇子のことです。

二人は夫婦でしたが、この句が詠まれたときにはすでに破局してたのだとか。

しかしこの句は、すごくザックリ言うと『別れた大海人皇子が今も私にスキスキ光線を放ってくる』という感じの句です。

しかもこのとき額田王はすでに天智天皇という新恋人がいました。

『紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑに我恋ひめやも』

額田王の句に対する、大海人皇子の句です。

こちらもすごくザックリ言うと『人妻であるあなたのことを、今でも好きすぎて好きすぎてたまりません』みたいな感じ。

不倫系ですね…。しかも新恋人の天智天皇は大海人皇子のお兄さんですから、ドロドロ系かも…。

とか思っていたら、これらの句は三者がそろっている宴会の席で詠まれたネタなのだそう。

つまり今彼の前で元彼との恋バナネタで盛り上げた…という感じ。

万葉の頃も今とそんなに変わらないなぁ……とか思えたり。

■■

さて…

〈クモヒトデ科トゲクモヒトデ属Acanthophiothrix亜属アカトゲクモヒトデ Ophiothrix(Acanthophiohrix)purpurea 17年7月20日 沖縄島安和〉

学名種小名は『紫色の』の意。

■■

紫色は、〈ムラサキ〉という植物から抽出された染料。

その〈ムラサキ〉は、一説によると群れて咲くことがその名の由来なのだとか。

前述の句でも、ムラサキが野原を埋め尽くすように咲いていたのかもしれませんね。

 

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