気持ちのいい空模様、心地いい風、凪の海……。
三拍子揃った本日のやんばるです。
南の海上で熱帯低気圧が発生して、週の半ばから後半にかけて接近しそうな気配。
でもそれまでは良いコンディションが続きそうです。
風は東~北東。概ね晴れ。
■■
『卒塔婆(そとば)』
サンスクリット語ではストゥーパ。もとは釈迦の遺骨を納めた聖なる塚のこと。
仏教の広まった各地で、後に墓標、死者を供養する塔として用いられるようになったのだとか。
お墓参りでよく見かける細長い木板のものが一般的なイメージでしょうか。
あるいは日本のお寺でよく見る五重塔も、元を辿ればストゥーパなのだそう。
また卒塔婆には聖地への道しるべとして建てられているものもあるのだとか。
その道しるべとしての卒塔婆が登場する能の演目に『卒塔婆小町』というのがあります。
この小町は『小野小町』のこと。あの世界三大美人の小町です。
高野山の僧が都に向かう途中、卒塔婆に腰掛けている乞食のような老婆に出会います。
無学な老婆が卒塔婆のことを知らないのだろうと僧は説教を始めますが、逆に理路整然とした老婆の言葉に僧は言い負かされてしまいます。
この老婆こそ、かつての絶世の美女にして歌人の小野小町だったという話。
『老女物』というカテゴリーに入るこの曲は、後半には深草少将の霊に取り憑かれたりしておどろおどろしくなりますが、前半部分の僧との問答が僕は好きなんです。
かつての美女が年を重ねて叡智を身につけたのだと感じさせる印象的な場面です。
初めてこの能を観たとき、人を見た目で判断して偉そうな態度を取ってはいけないなと思ったりした記憶があります……。
■■
さて小町といえば……
〈ゴカクガニ科コマチガニ属コマチガニ Harrovia japonica 22年8月29日 沖縄島安和〉
画像はまだ幼い個体。
学名種小名は『日本の』の意。
能の老女物は五曲あるそうですが、いずれも『老い』をテーマにした哲学的、宗教的な深い内容なのだそうです。
まあ、僕は卒塔婆小町しか知りませんけど……。