Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

ネックレスから錨まで(クサリミノウミウシ)

2021-01-26 20:03:55 | ウミウシ

気持ちよく晴れた空模様だった本日のやんばるです。

とくに前半は風も弱く、インターバルでもポカポカな感じでした。

海もいい感じの凪。クジラのソングを聴きながらウミウシを眺めてるこの頃です。

週の後半は一旦冷え込みそうですが、その後はまた暖かな日が続きそうです。

風は北東~北。晴れ。

■■

『私は私が見なかったもの、もしくは信ずべき人々から実際に聞かなかったもの、全てを叙述から除きました』

これは、1550年にゲオルク・アグリコラによって書かれたラテン語の技術書『デ・レ・メタリカ』の序文です。

『デ・レ・メタリカ』は『金属について』という意味なのだとか。

この書物の中には、物を吊る道具、水を汲む道具、物を運ぶ道具を構成する部品として様々なチェーン、すなわち鎖の使用例が版画で表現されているのだそう。

小さなものならネックレス、大きなものなら船舶の投錨用と、鎖は僕たちの身近なところに様々な形で存在していますね。

その起源は古く、紀元前から存在したのだとか。少なくとも紀元前225年以降、金属製のチェーンが使用されていたのだそう。

ギリシャ・ローマ時代には、地中海の港で外敵の侵入を拒むために港口を封鎖するのに鎖が使用されたのだそうです。

あるいはこれは逆ですか。鎖を使用したから『封鎖』や『閉鎖』という言葉になったのかもしれません…。

8世紀から12世紀にかけてのヴァイキングの時代に、アンカーチェーンとして鎖が使用されるようになったのだそう。つまりヴァイキングが歴史上初めて鎖を船の係留用に用いたということ。彼らは金属加工に長けており、鉄を鍛え、焼き入れする技術を持っていたようです。

鎖はその形状的な特徴から、『連続する様子』の喩えとして使われたりしますね。『連鎖反応』、『食物連鎖』、『チェーン店』、『チェーンメール』などなど。

また連結され鎖を形成している個々の素子のことを『鎖素子』というのだとか。これは英語では『link(リンク)』といい、『接続するもの』という意味を指すようにもなりました。

インターネットのページとページを繋ぐ『リンク』の語源です。

■■

さて…

〈オオミノウミウシ科 Limenandra 属クサリミノウミウシ Limenandra rosanae 20年12月8日 沖縄島崎本部〉

学名種小名は献名です。

最初の標本を作成した Michael Schrödl 氏の妻の Rosana Carvalho Schrödl さんへの献名なのだそうです。

 

 

 


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