観測にまつわる問題

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醜い参議院と不確かな日本

2011-01-09 11:36:02 | 政治システム・理論
参議院選前に野党が言った言葉を覚えているだろうか?

自分としては自民党議員の「ブレーキをかけさせてください」が印象に残っている。

いずれにせよ、今の野党がやろうとしている審議拒否だとか予算否決を直接聞いた人は多分少ないのではないか。野党が勝った後も、喜ぶ自民党執行部が自民党若手に「民主党が自滅しただけで、我々が勝ったわけではない」などと批判される報道があったりしたぐらいで、日本人は基本的に謙虚な態度を好んでいるからだ。

しかし今、参院は見紛う事なき政局の府と化している。尖閣での失態が大きいが、現行憲法を参院(ねじれた時は野党が多数を占めている)に最大限都合よく解釈すると、事実上の参議院の優越状態を創り出すことが出来るのだ。政府与党に何かさせておいて、後出しで世論に極力訴える因縁をつけ、問責決議案を可決して、予算や法案を人質にとって、大臣の辞任を迫り、大臣が辞任をしたら(複数が望ましい)、首相の任命責任に持っていき、解散を迫る。総辞職したら、次ぎの政権も同じ目にあわせる。解散するまで延々とそれをやり続けるのだ。要するに合法的な悪党の追い込み以外の何ものでもない。

その追い込みが結果的に国民の利益になるならまだいい(例えば企業の利益を追求する経済活動は基本的には経済を良くして国民の利益となる)。要はねじれが解消すれば、その場しのぎ以外の何ものでもないが、とりあえずは落ち着く。しかし解散に繋がらなければ、野党が国を引っ掻き回して足を引っ張り国益を損ねたという事実しか残らない。実際に民主党はそうやって足を引っ張っておきながら失敗をあげつらうというマッチポンプな邪まそのものの手法で政権を獲ったのだ。そして今、同じ事を野党にやられている。

これは結局、欠陥憲法を改正しない限り、安定的な解決には繋がらない。自民と民主が合意すれば(その他の政党も巻き込んだ方が望ましい)、この部分だけでも改正は可能であり、民主党の過去を考え解散を条件にすれば、合意は不可能ではないと考える。そうやって基本的に衆院選だけで、政権運営を決めるように変更するのだ。とりあえずそういう話し合いもないようだから、これ以上詳しくは論じないが、自分はこの策がベストだと確信している。

では、現状で憲法改正がないとすると、どうなるだろうか。これは何通りもパターンがあって、先行き不透明であり、一度落ち着いても、また問題が再発しかねない下策に過ぎないが、言ってもしょうがないので、検討する。

民主党政権がギリギリまで引っ張ることは、とりあえず今必要ないので、ここでは想定しない。突発的な政界再編に期待することもしない。何度も浮かんでは消えてきた話であり、当事者でもない国民が論じてもほとんど意味がないテーマであり、問題がそれで解決するかも怪しい不確かな話でもあるからだ。以下、仮に民主党が解散に追い込まれたと仮定して論じる。

その場合、ねじれ問題を考えれば、有利なのは民主党だ。参院で106議席抑えているからだ。自民党は大連立以外で安定的に政権を獲る術は事実上ないし、他の政党はみんなの党も含め論外だ。菅政権が解散するのではないかという観測も、菅政権が本気で小沢氏を切らないのも、小沢氏が出て行かないのも、これに起因する。民主党は仮に衆院でそれなりの議席をとれれば、公明党と連携できたら、あるいは大連立・その他小党の寄せ集めができれば、安定的に政権を運営できる。たらればで安定するというのも大いなる矛盾なのだが。

しかし今、政党支持率で上回っているのは自民党だ。民主党が衆院選で順当に敗北すれば、大連立ぐらいしか手はないだろう。机上の計算ではそれで憲法改正もできるのだが、大連立が浮上しては消えている話であることを考えると、ひと波乱あってもおかしくはない。

鍵を握っているのは公明党で、大連立になったら埋もれかねないので、口では何と言っても民主党にどこかの時点でくっついてしまうという選択肢を捨てることはないだろう。民主党も今の支持率なら解散よりその方がいい。

かように不確かで政治家次第で日本の運命が決まるのが日本の現状だ。日本国民が自分が選んだ政府との認識が薄いのも致し方ないとは言える(そうして借金は山ほど積みあがった)。それもこれも欠陥憲法による一般国民には分りづらい参議院にまつわる政治の裏事情が大きな原因となっていることは否めない。