テーマⅢ
《普通学級にいるとどうして『本当の自信』が育つのか》
このテーマを書こうとすると、まず子どもたちの顔が浮かぶ。
言葉より先に、子どもたちの顔が浮かぶ。
まなちゃんの5才の顔と14才、15才、20才の顔が同時に浮かぶ。
知ちゃんの4才と18才と30才…
天くんの6才と16才…
こうちゃんの6才と16才30才…
やっちゃんの8才と19才…
なっちの6才と16才…
ゆうきの6才と14才…
ひでの6才と31才…
なつみちゃんの12才と20才…
かずちゃんの6才と18才と22才……
……ストップと言わないと止まらないルーレットみたいに、その時々の表情の違いが浮かぶ。
きっと言葉では伝えられないもの。
だからせめて、伝えようとする言葉を探してみようとおもう。
たとえば、最初にまなちゃんの5,14,15,20をあげた。
「5」は、初めて相談会で会ったときの笑顔と、泣いているお母さんを気遣う不安げな顏。
「14」は、高校をあきらめますと言い出した時の顔。
「15」は、高校生はたのしいと自信にあふれる笑顔。
「20」は、最初の給料で私にごちそうしてくれた時の大人の顔。
わたしが見ているのは、その子のふつうの生活、ふつうの人生、ふつうの成長だ。
誰の人生にもある、不安や、自信や、成長の姿なのだとおもう。
ただ、他の人と私が違うのは、「ふつう学級・ふつう高校」に関わる「不安と葛藤」「達成と自信」のときだけ、その子たちと会って話していることだ。
その不安な顏は、「ふつう学級」という本人の不安であり、親の不安を引き受けた表情であり、
その笑顔は、「ふつう学級」という自信と安心に包まれた笑顔であり、
信じてくれて支えてくれ守ってくれた親への表情だった。
そうした顏が時を超えて同時に見える、という「超能力」を、私は与えられたのだとおもう。
で、ここから本題。
メモ(a)
ふつう学級は、その子の障害に係る行動を、「直す」ことに焦点を当てるのが一番ではなかった。
「直す」ことがその子の一番の課題だと、みんなが思っている場所ではなかった。
それが、何より「ふつう学級」の特徴の一つであり、その子の自信の源流の一つだった。
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