福原麻希さんの『「定員割れなのに不合格」全国公立高で延べ1631人「定時制や2次募集」でも合格させない理由とは』という記事が、アクセスランキング1位!!だそうです。
私も少しだけ取材協力した記事です。
よかったら、アクセスして読んでみてください。
福原麻希 東洋経済オンライン
2023/05/30 6:00
【定員内不合格が起こる一番の障壁】
舩後議員はこう話す。
「定員内不合格が起こる一番の障壁は、現場の校長や教員が高校生としてあるべき姿にとらわれ、もっとも教育を必要とする落ちこぼされてきた生徒や点数の取れない生徒、コミュニケーションを取りにくい生徒などを『高校に入学する資格がない』と拒もうとする意識です。地域や学校からその子たちを排除することにもつながります」
元高校教員で、 千葉県で障害のある生徒の高校進学を支援している「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」代表の佐藤陽一さん(63)は、多様性のある生徒が高校へ進学することの重要性をこう指摘する。
「経済的な理由で学力が低い、親から虐待されている、障害があるという理由で高校に入学できない生徒を長年指導してきました。そういう子どもたちは同年代の人と過ごす経験値が足りなくなるため、その後の人生を自信を持って生きることが難しくなり、自己否定や劣等感を抱くことにつながる傾向が見られます。人生で大切なことは居場所があることと、社会とどうつながりを築いていくかです」
障害のある生徒が地域の公立小中高校へ進学するための支援団体は、千葉県以外でもあり、1980年代から教育委員会と団体交渉してきた。当時から、障害のある生徒が定員内不合格になる事例が少なくなかったからだ。
この団体交渉の成果として、全国の教育委員会の考え方が変わってきたという歴史的経緯もある。
入学を認めない理由の1つに「高校を卒業できない可能性が高い」という点があったが、一方、 中退者を出さないよう、授業のカリキュラムを工夫している高校もある。
大阪府では、2015年から府内の一部の高校を「エンパワメント(生徒の力を引き出す)スクール」に指定している。前述の箕面東高校もその1つで、中学校までの主要教科の学びが不十分でも、習熟度別の少人数制授業で学び直しができる。
このほか、生徒の興味関心に合った職業選択につながるよう、パソコンでの作曲や一眼レフカメラで撮影法を学ぶなどの選択授業もある。取り組みの成果として、中学校では不登校でも高校3年間は皆勤だった生徒も多い。
【将来の進路や職業の幅を広げる】
「高校入試で定員内不合格がなくなると、勉強する動機がなくなる」という意見も見聞きする。しかし、私たちが勉強している目的は高校に入学することだけではなく、その先の将来の進路や就きたい職業の幅を広げるためだ。
大人が子どもにできることは、視野を広げて人生の選択肢を増やす環境づくりにすぎない。
そう考えれば、前述の歴史を振り返って、中学時代に学習した学力を知るためのテストは必要であっても、少子化の時代では高校に入学するための「入学者を選抜するための試験」は、もはや不要ではないか。高校進学希望者は全員入学を基本とする、あるいは、高校義務教育化を検討すべき時期に来ている。