赤ちゃん扱いと自尊感情(その4)
今月はずっと「赤ちゃん扱い」について考えていて、あらためて分かってきたことがあります。
それは、私の生きてきた社会(文化)は、やはり赤ちゃん(子ども)に対する敬意が足りない社会だった、ということです。
「赤ちゃん扱い」。
言葉通りに意味を取れば、「赤ちゃんのように無条件に愛され、大事に大事にされること」という意味でもいいはずです。
でも、「赤ちゃん扱い」という言葉は、そういう意味では使われません。
・・・ここでふと気になって、言葉の意味を改めて調べてみました。
ところが、ネット辞書で検索しても、「赤ちゃん扱い」はありませんでした。
で、「子ども扱い」を調べてみると、次の二つが出てきました。
【こども‐あつかい】
《1 大人を子供のように軽く見くびって扱うこと。子供あしらい。》
(デジタル大辞泉)
《大人を子供のように軽く扱うこと。軽くあしらうこと。》
(大辞林 第三版)
この辞書の意味は、やっぱり変です。
「大人を、子どものように、大事に丁寧にあつかうこと」ではなく、どちらも「子どものように軽く扱うこと」とあるのです。
私たちは、子どもや赤ちゃんを、「軽く扱っている」のがふつうでしょうか?
「軽く扱うこと」「あしらうこと」「相手に対する敬意が足りない態度」を表すのに、「子ども・扱い」とか「赤ちゃん・扱い」という「日常語」しか持たない社会は、貧しい社会なのだと思います。
そして、それらの言葉が、老人介護の世界や、医療、福祉の世界で、よく使われるということは、そこで「扱われる」人間への敬意が足りない、ということを表しているのでしょう。
(つづく)
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