何度も書いてきた、ということは、うまく表現できていないと感じてきたからでした。
私が直接、頼りにした言葉は、石川先生と芹沢さんのものでした。
それを支えに、私が出会った子どもが誰一人こぼれ落ちない形で、同じ「自己肯定感」を手に入れるために…を、表現したかったのだと思います。
ただ、石川先生も、芹沢さんも、私も健常者、でした。
今回、はじめて、自閉症の人の本のなかで、「これ、これ、これ」「おなじ、おなじ」と思う言葉に出会いました。
◇
《褒められること》
自己肯定感は、褒められることで、必ずしも得られるものではないと思います。
それは、褒められるのは、人に評価されることであって、うまくいったかどうか、自分が感じる感覚とは別のものだからです。
…
僕が特別支援学校に通っていた頃、些細なことにも大げさに反応する先生たちに、とても違和感を持ちました。
いろいろな子供がいますから、そうすることが必要な生徒もいるでしょう。
しかし、僕よりしっかりしている生徒にも、一様に同じような指導をしていることに驚いたのです。
保護者も同じです。
些細なことや、普段できているようなことでも、みんなが僕たちを褒めてくれます。…
まるで、幼い子供しかいないような学校の雰囲気に、僕はだんだんと疲れてしまいました。
…僕は、小さな子が褒められるようなことで褒められるたび、自分には永遠に未来は訪れないような気分になりました。
教えてほしかったのは、障害のある僕がこの社会で生きる意味と、どうやれば自立できるかということです。
そんな難しいこと、わかるはずがないという人もいるでしょう。
言葉にすれば難しくなりますが、言葉にできないだけで、みんなそう考えていると、僕は思っています。
障害のある子供たちは、いつまでたっても幼く見えるかもしれませんが、感性や思いは、日々成長しています。
その子にわかる言葉で、どう生きるべきかを教えてあげてください。
(「自閉症の僕の七転び八起き」東田直樹 KADOKAWA )
◇
「言葉にできないだけで、
みんなそう考えていると、
僕は思っています。」
「言葉にできないだけで、
みんなそう考えていると、
僕は思っています。」
みんな、そう考えていると、わたしもそう思います。
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