「みっけ」という。
相手に敬意をみつけることを、
「みっけ」という。
相手のなかに敬意をみつけること、
それは自分の中の敬意を思い出すこと。
だから、一度も敬意をはらわれたことのない人は、
他の人にそれをみつけることは難しい。
子どもの中に敬意をみつけること、
それは子どものころの自分の敬意をみつけること。
子どものころに一度も敬意をはらわれなかったおとなは、
子どもに敬意をみつけることが難しい。
その人は、敬意の代わりにしつけとか教育をつかう。
だから、子どもに敬意を払うという意味が、さっぱり分からない。
子どもは、しつけるもの。
子どもは未熟で間違うもの。
子どものいうことを真に受けてはいけない。
そう、信じているらしい。
子どもには、矯正、服従、従順が必要なのであって、
敬意とか人権とかといって甘やかしてはいけない。
そんなふうに言う人は無数にいる。
障害のある子が一年生になるとき、
「いじめられますよ」という校長先生がいる。
30年前も、いまも、変わらずにいる。
その人は、どんな一年生だったんだろうと思う。
どんな先生たちに教育されてきたのだろう。
どんな大人たちと出会ってきたのだろう。
私の同級生も何人か校長になっている。
あいつなら、私が出会った6才の子どもに何て言うだろう。
なんて声をかけてくれるだろう。
校長や教員になった同級生の顔を何人か、思い浮かべると…。
やっぱり生徒会長とか、学級委員とか、とにかく成績がいいやつの顔が浮かぶ。
何より、みんな、先生たちに気に入られていた。
先生に嫌われて、ふつう学級から追い出されそうになった私とはちがう。
そんなことを考えていたら、先日の相談会で、Jくんの小学校のころの教頭が、私の高校の同級生だったと発覚。
あいつは、どんなやつだっけ?
どんなふうに、最重度の障害の子に向き合うんだろう。
ちょっとドキドキした。
「いい先生だったのよ」とJ君の母親がいう。
学校とも教育委員会とも話が通じず一番大変だった時期に、たった一人、J君を抱っこしてくれたのが、その先生だったという。
へーーーと思った。
ただ、顔と名前と野球部だったことくらいしか覚えていないけど、ちょっとだけうれしかった。
他の先生は誰も近づかないのに、どうして抱っこしてくれたのかと聞くと、わたしの学校の子どもだから、と答えたとか。
へーーー、あいつも、ちゃんとJ君を「みっけ」て、出会ってくれていたんだとうれしくなる。
「普通学級だといじめられますよ」という校長が、全国でかなりの確率でいるなか、同級生がそうじゃないのは、やっぱりちょっとうれしい。
故郷が人情に篤い、あたたかい町だったと思い出せる。
そう、あいつもおれも、特別なことを学んできた訳じゃない。
子どものころ、特別な配慮や知識などなかった。
差別も偏見もいっぱいあった。
でも、ありふれた親切のいっぱいある町だったと思い出せる。
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