土本さんの言葉を読んでから、
私のなかで繰り返されるのは、二つのことでした。
「小学校3年までは ふつう学級にいっていた…
4ねん に なったとき きょうから こっち といわれ…」
「自分たちの なかまたちの おおくは
こうとう ようごがっこうに いきます」
私はこのブログでも何度か書いているように、
小学校3年のとき、父親と二人で教育委員会に行きました。
「きょうからあっち」と言われることを
怯えて怯えて暮らした日々が、
私の中には確かにありました。
だから、わたしは土本さんの「なかま」だと、思いたいのですが、
残念ながら、わたしはやはり
「差別する側の心」を持ったまま成長しました。
「きょうからこっち」とは言われず、
ほっとして生きてきたからです。
「あっち」に行かされなくてよかったと思いながら、
必死で「こっち」にしがみついて生きてきたからです。
そのことをあらためて思い知らされたのが、
「自分たちのなかまたちのおおくは」という言葉です。
わたしは「自分たちのなかま」という言葉を
使ったことがありません。
そのことが、わたしの言葉の限界なのだと、
こういうときに分かります。
ただ、わたしと土本さんが共通しているのは、
小学校3、4年生のその出来事が、
自分の一生の生き方を決めたことです。
わたしは死ぬまでこのことを握りしめているでしょう。
わたしが、発達とか伸びるとかできるとか、
そんなことに関心が向かないのは、
「分けられること」の恐怖と痛みが一生続くと思うからです。
分けられた場所で、たとえ、字が書けるようになろうが、
計算ができるようになろうが、
そんなことは、成長とともに
日常のできることのなかに消えていきます。
でも、分けられたことは一生消えません。
自分がなぜ分けられなければならなかったのか。
土本さんも、わたしも、ずーっとそのことを
探しながら生きてきました。
しかも私は分けられなかったために、
分けられた人を差別することを身につけました。
なぜわたしは、分けられた人たちを
差別するような人間になってしまったのか。
自分だけが分けられなくて、あーよかったと、
そんなふうに喜ぶような人間になってしまったのはなぜだったのか。
わたしは、子どもたちに、
そうではない出会いをしてほしいと思うのです。
分けられなくてよかったと思った私のようではなく、
土本さんのようにわけられてしまうのではなく、
同じ地域で生まれ、同じ小学校で一緒に育った子どもたちみんなが、
「わたしたちのなかまは…」という言葉だけで、
子ども時代を語れるような環境を作りたいと願います。
「ぎむきょういくが おわると いまは
自分たちの なかまたちの おおくは
こうとう ようごがっこうに いきます。」
私が会で出会い、小学校、中学校と、
ずっとその成長を見守ってきた子どもたちちは、
義務教育が終わると、高校受験で不合格にされ、
定員が空いていても不合格にされ、
どこにも居場所がなくなります。
この状況を変えなくては。
分けられたことからの再生の物語を、
わたしはずっと探して生きてきました。
たぶん、土本さんもそうして、人と出会い、
自分を取り戻してきたのだと思います。
小学校3年までの自分も、分けられた後の自分も、
同じ大切な自分で、どっちの自分もかけがえのない
同じ自分だったのだと、多くの人との出会いの中で
取り戻してきたのでしょう。
土本さんの言葉を読んでいると、
そのことが心の底に降りてきます。
子どもたちが、分けられたことの意味を探すのに、
一生を費やす人生ではなく、
もっと別の自分自身の楽しみや悩みを生きられますように。
□ □ □
この春、養護学校から地域の普通学級に転校したHaruくん。
小学校2年生(^^)v
『初登校してきましたー。
一緒に登校する通学団の子どもたち8人が、
朝、家までお迎えに来てくれました。
「春紀くんのランドセル、みどりだー!いいなぁ」
と言ってくれる子や、
車椅子を押してくれる子がいました。
上級生の子がHを見て、
「かわいー」って言ってくれました。』
□ □ □
この出会いが、どこでも、高校でも、
当たり前になりますように(o|o)
□ □ □
4月2日の《ミーナわーるど》に載っている
みーなちゃんとお兄ちゃんの写真。
http://sweetpop-mina.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-1999.html
『夜、布団に入ってから、なかなか寝れない様子で
何度も起きてきていたお兄ちゃん。
そろそろ寝たかな?と思ってのぞいてみると…。
仲良く、手をつないで寝ていました(*^。^*) 』
小学校も中学校も高校も、
ふたりの居場所が、あっちとこっちに、
分けられることがないように。
二人のつないだ手がずっとずっと離れませんように。
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