鉢植えの自信(その7)
『みんなでたのしも 千葉県の統合教育2』(1994)から、
二つの手記を紹介します。
【ずっと心のなかで…】
今まで一度も学校から呼び出しもなく、
介助についてほしいと言われたこともなく、
好意的な担任にめぐまれ、
友達関係もそれなりにうまくいっていたので、
入学したとき特殊学級の学籍だったことも、
5日間、特殊学級に通っていたことも、
親はそれほど気にかけてはいませんでした。
しかし息子はちがっていました。
現在小学校一年生の妹の入学式の日‥‥。
息子のときには味わえなかったよろこびや
うれしさでいっぱいの気持ちで帰ってくると、
息子がかけよってきて聞きました。
「お母さん、Mはまこも学級だった?」
私が「ちがうよ」と答えると、
自分と妹との違いに不満そうに口をとがらせて言いました。
「どうしてMはまこもじゃないの?
お母さんはオレがバカだからまこも学級に入れたの?
Mはバカじゃないの?
Nくんが言ってたよ。
勉強のできないバカな子がまこもへいくんだって」
私はおどろいてなにも答えられずにいました。
「先生が行けと言ったの?
あのね、オレ、一年生のとき、みんなに
『やーいやーい、まこも、まこも学級へ行け』って言われたよ。
それから、トイレや学校帰りの先生のいないところで、
たたかれたりキックされたりしていじめられてたんだよ…」
ショックでした。
子どもたちのまこも学級への差別もそうですが、
まさか四年生になってから一年生の時のことを話すなんて
思ってもみませんでしたし、
息子がずっと心のなかで考えていたなんて…。
なんと言って納得させたらいいのかわからないでいる私に、
その後も息子は何度も何度も聞いてきました。
そんなときSさんから、納得させようと思わないで
ありのままを教えればいいと思うと言われ、
私は息子にありのままを話すことにしました。
息子は納得したのか、特殊学級に行っていたことを
今はどう思っているのかはわかりませんが、
それからは一度も聞いてきません。
しかし、息子の当時の悲しさや悔しさなどを思うと
今でも涙がでてきてしまいます。
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