ワニなつノート

鉢植えの自信(その6)

鉢植えの自信(その6)


『8才の子どもがそんなことを考え続けるだろうか?』
これが、「鉢植えの自信」のテーマでした。
私がこだわりながらこのブログに書いているようなことを、
「本当に小学生の子どもが考えているだろうか?」。

そう問われれば、確かにこんなふうに理屈っぽい言葉で
考え続ける子どもはいない、と思われるかもしれません。
まして、「知的障害」や「発達障害」と言われたり、
「コミュニケーションが苦手」
「他者の気持ちを察することができない」等と
判定される子どもたちです。
「この子たちはそんなことは感じない」と
思われているのでしょう。


妹の「おみやげ事件」を書きながら、
私には3人の子どもの声が聞こえていました。

「お母さん、Mはまこも学級だった?」

「それじゃ、みんなバイバイ」

「どうせおれはコベツだから」


1人は4年生の男の子。
彼は小学校入学から「5日間」だけ、特殊学級に通っていました。
妹が小学校に入学した日、
入学式から帰ってきたお母さんに彼は聞きます。
「お母さん、Mはまこも学級だった?」
「ちがうよ」
お母さんの言葉を聞いて、彼は言います。
「どうしてMはまこもじゃないの? 
お母さんはオレがバカだからまこも学級に入れたの? 
Mはバカじゃないの? 
Nくんが言ってたよ。 
勉強のできないバカな子がまこもへいくんだって」


もう一人は、2年生の男の子。
彼は2年生から特殊学級に移りましたが、
なかなか教室に入りませんでした。
ある日、お母さんは「今日は好きな教室に行っていいよ」
と言ってみました。

すると、彼は目の前の階段を指さして二階へ上がり、
一年生のときの友だちのいる二年生の教室に入っていきました。
そして、壁にはってある絵や文字などをゆっくり見てまわりました。
チャイムがなるとすぐ友だちに向かって
「それじゃ、みんなバイバイ」と言って教室を出ました。


もう一人は、3年生の男の子。
彼とは児相の一時保護所で出会いました。
丸い眼鏡をかけたおとなしい男の子でした。
でも、「障害」のある子を育てられなくなった母親のもとを離れて、
その場所に連れてこられました。
学校に通えないので、3人のクラスで私と勉強しました。
3人は学年も違うので、一人一人に合わせたプリントで、
学習を進めていました。学習意欲もあるし、
問題が解けると本当にうれしそうに笑う子でした。

でも、ある日、他の先生が
「3年生なんだから、これくらいはがんばらなきゃ」という
言い方で励ましたとき、
「どうせ、おれはコベツだから」とつぶやいたのでした。
それは、明らかにその先生の「励まし方」への確かな批判でした。
「いっしょがいいならなぜ分けた」と同じ言葉でした。

「3年生なんだからがんばれ」と言うなら、
どうして自分は3年生の友だちから抜き出されたのか。
どうしてみんなは行きたがらない
「個別支援学級」に入れられたのか。
どうして家族とも離されて、こんなところで生活し、
勉強しなければならないのか、と。


『8才の子どもがそんなことを考え続けるだろうか?』
そう聞かれたら、私はやはり「はい考えます」と答えます。
彼ら3人のことばとおもいは、
私のことばであり、私のおもいそのものでした。
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