ワニなつノート

医療的ケアのある子どもの《こども園要望書》

医療的ケアのある子どもの《こども園要望書》

《はるこい広場》から転載です。




《要望書提出》


T市に生まれ育っているSくんは、気管切開をしているため、“たんの吸引“の医療的ケアを必要とします。これまで、母子で通園施設に通っていました。年中になるにあたり、集団の子どもたちの中で生活をした方がいいとSくんに関わる医師や療育の先生方が市に交渉してくれました。医療的ケアが必要であることから、看護師配置も市に要望していただきました。

結果、保育園の入園許可はほかの子どもたちよりかなり遅れ、親が呼び出しを受け、「親がケアをするために付き添うことを条件に入園を認める」と言われました。

Sさんは不本意ながら、通園施設よりは子ども園で過ごしてほしいと、Sくんを第一に入園はするが、看護師配置の要望書を入園後に出すことを市に意思表示しての入園承諾でした。

Sくんは入園し、たくさんの子どもたちの中で、今まで見せたことのない楽しそうな笑顔で
園に通っています。ただ一つ、他の友達は子どもだけで通園しているのに、Sくんはお母さんが、ケアのために毎日一緒です。なるべくSくんから離れるようにしていますが、Sくんは"子どもだけ“の生活は叶いません。

Sくんのお母さんは2か月半、自分の体調が悪くても頑張って一緒に園に通っています。医者にもいけません。兄弟の行事も参加することもできません。24時間Sくんのケアを親に任されているため、家でも休む間がありません。

私たちはSくんが親の付添いが無くても園に通えるように市長あてに要望書を出しました。他の都道府県では、保育園や小学校、学童まで看護師配置がされ、子どもだけで安心して園や学校、学童の生活が送れている記事を一緒に資料として渡しました。

他の都道府県でできていることはT市でもできるはずです。T市が認めてくれるように願いを込めました。


         


《回答》

T市から回答を受け取りました。Sくんとお母さんは、園をお休みしての参加です。地元や県内の方が応援に来てくれ、総勢8人で保育課に行きました。主幹と指導主事の対応でした。主幹はSくんのお母さんに、回答を渡しました。

Sくんのお母さんに読み上げてもらいました。その内容は、先日の要望に対して何も検討がされておらず、「今年度は付添いが条件だから付添い条件の解除はできない」という内容でした。

T市には、「子ども条例」や「子ども総合計画」があります。しかしこれらは、Sくんの保育には、何も該当することがないというのでしょうか。参加者から「要望書に対しての答えになっていない」という声が上がりました。

いくつかの疑問・質問がでましたが、「答えられない」「意見があったことを聞いておく」「今年度は付き添いが条件」平行線のままでした。

「付き添いが出来ないなら来ないでください」
主幹が言いました。

一斉に参加者から抗議の声があがりました。

昨年看護師配置の打診を受けていたT市。昨年度、課の中で検討し「付き添い」を決定したという。説明を受けても私たちには理解できません。午後から課長が対応する約束を取り付け
一旦休憩となりました。

午後からは会議室が用意され、出張から課長が戻られ話し合いをしました。けれど課長も「今年度は付添いが条件」というばかり。何も進展はありません。

繰り返される「今年度は…」に、では来年度は配置されるのかを、聞きましたが、「わからない」
「どのような体制がいいのか模索中」に、いつまで待てばいいのかと聞いても、「わからない」

むなしい時間が過ぎていきます。
『Sは保育園が大好きで、私の体調が悪くてもSのために保育園を休まず付き添っています。病院にいくこともできません。姉の学校行事もいってやることができません。姉にはいつも我慢をさせてしまっています。とても辛い…」

Sくんのお母さんが泣きながら課長に訴えました。Sくんの医療的ケアは、園の時間だけではありません。24時間です。夜間は人工呼吸器を使うので、体を休ませることができません。
課長がいう「Sくんの安心・安全を考えて」を第一にするなら、せめて保育園の時間だけでも、Sくんのお母さんを休ませなければならないはずです。
「お母さんが倒れるのを待つのですか?倒れたら、Sくんを園は預かってくれるのですか?」
「その時は、子どもを救急車で病院に運びます」
課長がいいました。私たちは耳を疑い増した。なんという冷たい発言。

午前の「園に来るな」発言も含め、本当に『保育』の担当なのかと思いました。

「市内の園には15名の看護師が拠点園に配置され、周辺の園を巡回している。Sくんだけにつけることはできない。」
課長は繰り返しました。

「Sの園は看護師がいます。手伝ってもらえないかを聞いたら『業務外だから出来ません』と言われました」

Sくんのお母さんの発言に、初めて園に看護師が配置されていることを知りました。そしてことごとく分けられていることを知りました。

課長にこの理不尽を訴え、保育課だけではなく、他の課とも連携を考えて欲しいことを伝え
話し合いは終わりました。Sくんのお母さんは、途中お姉ちゃんが帰ってくる時間だと一人で留守番をするように電話をしていました。

帰宅してからSさんからメールをもらいました。

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今日は皆様の心強い応援があったからこそ 少しずつですが 、本音を言うことができました。

回答は本当に残念で期待外れの内容でしたが 、kawaさんやuneさん、私達親子の為に応援に来て下さった皆様にはとても感動しました。感謝しています。

お姉ちゃんは少しだけ待ったそうです。
お姉ちゃんの何処に行ってたの~から始まり、今日あった市役所での一部を話し、二人で暫く泣きました。

何度も来てもらい申し訳ありませんが、kawaさんのお陰で現在少しずつ前進できています。納得のいく結果がでるまでは私も諦めたくないので、これからも宜しくお願いします。

今日はって…日付変わってますね。
ありがとうございました。お疲れ様でした。

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こんな涙を流さなくていいように、笑顔でいられるように、安心して生活ができるように、私たちはあきらめることなく、要望していきます。

【はるこい広場・6月18日&6月23日】

     ◆       ◆      ◆



「付き添いが出来ないなら来ないでください」
3、4歳の子どもを育てる仕事に関わる責任ある行政の人が、保護者に向かって、言う言葉ではありません、

命にかかわる障害のある弟と暮らす日々の中では、小学生のお姉ちゃんは自分の思いをいくつも我慢しているのだろうと思います。そうして小さな弟を大事に思い、お母さんの苦しみを思い、胸を痛めているお姉ちゃんを、こんな回答で泣かせたままにしておくわけにはいきません(o|o)

さて。と。。。
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