ワニなつノート

政治動かした少女の訴え  「医療的ケア児支援法」成立



「医療的ケア児支援法」ができて、改めて不思議に思っていることがある。

21世紀に入ってから、千葉の会の中では「親の付き添い」は誰もしていないと思う。「ふつう学級」入学はもちろん、「支援学級・学校」からの「転籍・転校」も、「親の付き添いなし」も当たり前になっていた。

千葉で初めて、呼吸器を利用している子が、ふつう学級に入学したのは前世紀のことだった。千葉の会の誰も経験がなかったから、折田さんに来てもらって「学習会」を開き、そこに教育委員会の人にも参加してもらった。当時は看護師配置まではできなかったが、「地域の小学校=ふつう学級」には、割とスムーズに入学できた。エレベーター設置もされた。(柏市)

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その次は2008年に医療的ケアの子(気管切開)3人が同時に3市に入学したいという相談があった。その時は、長谷川久弥さんと山田真さんに来てもらって「学習会」を開き、教育委員会の人も参加してくれた。で、3人とも地域の小学校(ふつう学級)に、親の付き添いなしで入学できた。一人は看護師配置の上で学童保育にも入った。(流山市)
翌年には、松戸市に要望書を出して、医療的ケアの子がふつう学級へ。その後は、要望書なしでもスムーズにふつう学級へ入れるようになり、H30年には普通学校入学のための「医療的ケアガイドライン」もできた。


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2014年には、呼吸器をつけた子が保育園入園を断られているとの相談を受けて、市役所へ。年少さんに入園。小学校に入学する時には、「すんなり」入学できた。もちろん親の付き添いの話すらなかった。
このときもめたのは、「学童保育」の方だった。それも、話し合い1回でOKになった。(船橋市)

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・・・こうしていろいろ思い出しても、会の関係者で、「親の付き添い」をしている事例や相談が思い出せない。
どうしてどの市教委も「親の付き添い」を言わない、あるいはあきらめているんだろう?
たぶん、私たちが30年前から「親の付き添い」をしないことを貫き通したからだったんじゃないかと思う。

そしてまた、その「親の付き添い」をしないのは、障害の重いとか軽いとか関係なく、みんな同じ子どもだから、ということを貫いてきた。
だから、「医療的ケア」の必要な子の場合も、他の障害のある子たちと同じように、「親の付き添い」はしない、と言い続けた。

「障害」別に、教育委員会に話をしてきたことがないこと。だから、教育委員会も、「障害」別に、親の付き添いを言い出すことができなかったんじゃないかと思っている。

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つまりは、医療的ケア児だけでなく、ふつう学級に入れない子がいる地域、もともとダウン症や自閉症の子の親に付き添いを求めるのが当たり前の地域では、「医療的ケア児」の親の付き添いも当たり前になっている、ってことなんじゃないのかな。

これはいま思いついて書いていることだから、もう少し丁寧に話せるようにしたいと思う。









政治動かした少女の訴え 

「医療的ケア児支援法」成立



山下剛

2021年6月11日 朝日



 11日の参院本会議で可決、成立した「医療的ケア児支援法」は、たんの吸引や人工呼吸器といったケアを日常的に必要とする子どもと、その家族への支援を充実させる内容だ。この法律ができたきっかけのひとつは、ある少女の訴えだった。


 東京都立の特別支援学校に通う中学部1年の山田萌々華(ももか)さん(13)。この日は両親とともに国会を訪れ、傍聴席から採決を見守った。法案が全会一致で可決されると、横たわっているバギーから両手を振って喜びを表現した。


「寝たきりでも…」届いた女児の訴え、最後の年に学校へ
 小学部3年だった3年前。都内で開催された「医療的ケア児と家族の主張コンクール」に参加し、こう訴えた。


 《私は骨がとても弱いので、寝たきりです。でも、みんなと一緒に笑うことができます。みんなと一緒におしゃべりができます。困っている人がいたら、声をかけることもできます。だけど、学校に行けないので家にいます》


 《がんばって勉強しますから、私を学校に行かせてください》



 骨形成不全症という病気のため、寝たきりで人工呼吸器を使っている萌々華さん。当時は人工呼吸器を使っている子どもが学校に通うには、保護者の付き添いが必要だった。しかし、両親は共働きで付き添いはできない。このため、先生が自宅を訪れて授業をする「訪問教育」を受けていた。


 萌々華さんは、母親の美樹さんとともにケア児の支援に取り組む超党派の国会議員グループ「永田町子ども未来会議」などで、「学校に通いたい」と訴えてきた。


 訴えを受けて東京都教育委員会は、人工呼吸器を使う子どもでも保護者の付き添いなしで学校生活を送れるようにするガイドラインをまとめ、萌々華さんも昨年6月から通学できるようになった。


 それでも、学校に配置されている看護師が足りないため、通学できるのは週2回だけだ。会議の中心メンバーのひとり、自民党の野田聖子幹事長代行も、「看護師が足りないせいで学校に通えないなんて、ナンセンスだ」と指摘していた。


 今回成立した医療的ケア児支援法では、学校の設置者に対し「保護者の付き添いがなくても適切な医療的ケアその他の支援を受けられるようにするため、看護師等の配置その他の必要な措置を講ずるものとする」と定める。

また、看護師が不足していることを踏まえ、学校では介護福祉士などでもケアを担えることにした。


 萌々華さんは「法律ができて、毎日学校に通えるようになることを期待します」と話した。


(山下剛)
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