ようこそ就学相談会へ2022年9月 (その3)
就学相談会の定番の質問。
「いじめが心配…」
「まだ言葉がないから…」
「45分座っていられない…」
「コミュニケーションが苦手だから…」
「授業についていけない…」
「自己肯定感が持てない…」
ある時、ふと思った。
これらは、ふつう級か支援級かの「選択肢」になっているんだろうか?
どちらを選んだとしても、対応が必要なのは同じなんじゃないか?
そうであるなら、どっちを選ぶか、という前に、そもそも「どんな対応をしてほしい」と考えているのだろう?
そう思って、とりあえず二択問題を考えてみた。
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① 《「いじめ」から子どもを守るために、どんな対応を望みますか?》
A 【いじめの被害にあう障害児は、安全が確保された教室で教育する。その上で「交流」の機会を持ち、「障害児をいじめてはいけない」「同じ人間だから差別はいけない」ことを教える。】
or
B 【「あなたを守るよ」とすべての子どもに伝える。障害に限らず外見や国籍など、「違い」のある子が違いのあるままで、共に遊び、学び、育ちあう環境を基本とする。】
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②《「45分座っていられない」子どもに、どんな対応を望みますか?》
A 【教室を飛び出さないように支援員を配置する。担任の指示を理解し行動できるように、個別指導を中心に行う。視覚的、聴覚的な刺激の多い教室でなく、静かな環境を用意する。】
or
B 【教室から出る子には、どこに行くのか尋ねる。子どもの後をついていき、どこで何をしたいのかを確かめる。教室が安全な場所であると感じられるように、クラスの雰囲気や教室環境を調整する。「安全を確かめために必要なだけ時間をかけていいよ」という安心を子どもに伝える。】
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③《言葉の遅れのある子や、話さない子に、どちらの教育を望みますか?》
A 【言語検査等で発達状況を確認し、個別ニーズに沿った指導を行う。絵カードと言葉の対応等一つずつ丁寧に繰り返す。ひらがなや漢字も、焦らず、時間をかけて反復指導する。】
or
B 【子ども同士の社会交流の体験の保障。言葉の意味だけでなく、声のトーンや話し方、顔の表情やうなずき方など、「膨大な量の観察学習」の機会の保障。】
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④《授業についていけない子に、どんな対応を望みますか?》
A 【一斉授業でなく個別指導を中心とする。能力あるいは習熟度別のグループでの授業。個の能力や理解度に合わせ、達成可能な目標を立て、そのための教材を提供する。】
or
B 【一斉授業であれ個別指導であれ、学びの主体性を尊重する。個人の興味・関心にそった学びを大事にする。どれほどゆっくり学んでも遅すぎることはないという教育観。】
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⑤《コミュニケーションが苦手な子に、どんな教育を望みますか?》
A 【(手話や文字盤やタブレットの習得によって意思疎通が可能となる場合―――)「手話通訳」や「意思疎通支援者」の配置。同じ技術を使用する子ども同士の関係の保障。個別のニーズに沿って新しい技術を開発する教育。】
or
B 【(ルビをつけたり、やさしい言葉に言い換えても、言葉での意思疎通が難しい場合―――) 話し言葉だけに頼らず、声のトーンや顔の表情、息づかい、脈拍等、お互いの「いること」で安全を確かめ合う学び。子どもの社会的つながりの能力を育てる教育。】
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⑥《自己肯定感を育てるために、どんな教育を望みますか?》
A 【子どもを比べない。能力差によって自己肯定感が下がらないように能力別クラスで教育する。無理な課題を与えず、本人のニーズに合った課題を提供し、褒められる機会を増やす。「できた!」という達成感を得られる教育。
or
B 【子どもを比べない。与えられた課題より子どもの興味関心にそった学びを支える教育。
自分に何が起きたのかを納得しながら生きるために、分からないこと、できないことや失敗することを否定されずに学ぶ体験。子どもの本音の姿が「受け入れられる」教育。