ワニなつノート

Niiといっしょ(004・その7)




セーラームーンにあこがれて伸ばしていた
長い髪を切りたいとニィが言いだした。
ほたるちゃんやククリみたいな髪型にしたいのだと言う。

ふだんは私が切ってあげているのだが、
今回は美容院に行きたいという。
ニィが美容院に行くのは、これで二回目。
かみさんと一緒にうれしそうに出かけた。

美容院の受付で、「幼稚園、行ってるの?」と声をかけられ、
ニィはかみさんの顔を見た。
「春からね~」と言ってもらって、ほっと一息。
それから、一人で椅子に座った。

髪を切ってくれたお兄さんとニィの会話。
「何才?」
「4さい」
「幼稚園、行ってるの?」
「うん」
「なに幼稚園?」
「みどりようちえん」
「何組?」
「ももぐみ」
「バスで行ってるの?歩いて行ってるの?」
「あるいて」
「お母さんと?」
「うん」
「今日はお休みなの?」
「うん」

幼稚園をやめてから、
そのことをあまり重く感じないようにと気楽に話してきた。

ニィも「ようちえん、やめちゃったのぉ」といろんな人に話してきた。
おばあちゃんや親の知り合いの人には気軽に言えても、
初対面の人には気をつかうのかな、と思ったりもした。
美容院からの帰り道、かみさんがニィに聞いた。

「いやじゃなかった?」
ニィは機嫌よく答えた。
「おにいさん、やさしかった。
 また、かみ、のびたら、ここにきてきってもらうの」
「そうね」
「おとうさん、へたくそだから」
「そう‥ね」

ニィは、やさしいお兄さんが困らないように、
そして、ちょっとよそいきの答えをしていたんだろうな。


幼稚園・年少組の最終日。
「ちょっと、みんなのかお、みてくる」
そう言って、ニィはお昼前に出かけていった。
バレンタインデーに先生に届けてもらったチョコレートの
お返しのクッキーをしっかりと持って。

久しぶりの幼稚園の門の前で、一瞬立ち止まったが、
園庭に出てきた友だちの顔をみて元気になった。

先生と手をつないで走り、
「ゆりちゃんはこっちで、じゅんちゃんはこっち…」と
遊びをしきってもいた。

一人帰り、二人帰り…、結局ニィは一番最後まで遊んで、
ついでにみんなと同じ記念品までもらって帰ってきた。

「だめだ、だめだとおもっていても、
やってみれば、なんとかなるもんだね」

帰り道、ニィはそうつぶやいた。

3~4歳の間に、ニィはいっぱい楽しみながら、
悩みながら、苦労して、
こうして生きていく力をつけて大人になってきたんだなぁ~。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Niiといっしょ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事