「子どもを分けてはいけない4つの理由」を、小夜さんが教えてくれたのは20代のころだった。
1《子どもというのは、もともと分けたがっても、分けられたがってもいないのです。》
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小夜さんの言葉の意味を、ポリヴェーガル理論が改めて教えてくれる。
《安全であるという体験は、じつは内臓の状態を意味する。安全は心臓で感じる。また、呼吸を通して肺でも感じることができる。それはまたつながりの体験である。安全は、愛する人たちの声の、親しみのあるトーンの中にある。》(115)
《(迷走神経系の)社会交流システムが始動するにつれて、子どもは無意識に内臓レベルで「安全」を感じる。行動(doing)ではなく、存在(being)がつながりの本質なのだ。》(62)
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言葉が話せなくても、ひらがなが読めなくても、子どもたちがつながるのは当たり前のことだった。存在=「いること」が「つながりの本質」なのだから。
安全なふつう学級のつながりを提供することさえできれば、子どもの神経系が、「自分の人生を全うすることができる」という、「予測可能なつながり」と「安全の手がかりと感覚」について学ぶことができる。
そのつながりの瞬間がくり返される毎日のなかで、安全な自律神経の状態が重なりゆく。
そういう身体の学びは、「知的に障害がある」「重い障害がある」と言われる子どもほど、重要だった。
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「いること」の《「安全」は、言語ではなく、非言語的なやりとりを通じて生み出される》(61)
※ (数字)はどれも『ポリヴェーガル理論臨床応用大全』から。