今月の『たこの木通信』に、Nさんが「ワニなつ」のことを書いてくれています。
Nさんは、この春、「たこの木」に就職した新人さん…のようです。
これが、とっても面白かったのです。
つい最近、私の書いていることは、「大勢の人」に理解してもらえることではないらしい…と書きました。
その気持ちが変わった訳ではないのですが、「伝わる人には、確かに伝わること」があり、その中身について、もう少し丁寧に考えなきゃいけないなーと思いました。
で、ここ数日、いろいろ考えながら書いていたのですが、まずはそのまんま紹介するのが一番だと思えてきました。
◇ ◇ ◇
【入所施設が人権を侵害しやすいというかまぁいろいろ管理して自由とか奪っちゃうんじゃない?っていうのはなんとなく想像しやすい。
だったら、地域で自分のペースで生きていく方が良いんじゃないだろうかってのもけっこうすっと理解出来る。
私が今まで薄々疑問を感じていたのは、どうして普通学級が良いのかということ。
普段は「当たり前」を疑わなきゃあなんて言っているくせに、なんで地域の学校に行くことは「当たり前」なんだよ!と思っていたのだ。
よく言われる「その子に合った教育を」ってそんなに間違っているのかなぁ、そんなに特別支援教育ってダメなの?
と、もやもやしていたのだけど。
たまたま、……関連するブログも読んでいたところ、画面の右側にあるリンク集になんとなく目がとまり、『ワニなつノート』というのを開いた。
ちょうど開いたときの記事に書いてあった言葉が「寄る辺なさ(helplessness)」。
《帰るべきクラス、帰るべき学校、三十人のクラスメートを失う子どもの心の状態もまた、「よるべなさ」といえる。帰るべきクラスも学校も地域にあり、友だちもそこにいるのに、そこから遠ざけられていく子どもたち、そのようにして生きられる環境を奪われた子どもたちのよるべなさ》
この「寄る辺なさ」について書かれた一連の記事があって、これを読んで初めて「分けられる子ども」側のことを考えたんです。
このブログにはさらに、子どものニーズの中心にある「みんなと一緒」を手放して与えられるのが特別支援教育と書かれていて。
自分の小学生の頃を振り返ってみると。
どうして小学校に行ってたのか。別に何かしたいだとか出来るようになりたいだとか考えて行ってたわけではないなぁと。
「今日の図工楽しみ!」ぐらいは考えたけどそれって学校に行くという前提があってのことだ。
朝の何時に誰々ちゃんと待ち合わせして学校行って、授業受けて、昼休みはみんなで遊んで、放課後は習い事に行って…という毎日が疑いようもない当たり前だった。
理由や目的が入り込む隙なんて無かった。
そうか。学校なんてそんなものなのか。
何も出来るようにならなくてもクラスの中で「そこにいるだけ」で良かったんだ。
私はそんな当たり前空間からはじき出されるなんて考えたこともなかったけど、「障害児」がおかれてる現状とはそういうことなのか!とようやく少し実感を持って分かった。
と考えると、「その子に合った教育」って親が子供を大事に想っているからこその判断なのだろうけれど、子どもからすると的外れも甚だしいなと思ったわけです。
この「寄る辺なさ」というどうしようもない寂しさを感じる言葉によって私はようやく「みんなと一緒が良い」の意味がわかった気がします。………】
(『たこの木通信』296号より)
(※ …これ無断転載なので、とりあえず名前は伏せます(・.・;)
◇ ◇ ◇
見事だなと思います(>_<)
今風にいえば、「わいるどだなぁ」って感じです。
新卒らしいので、22、23の人だと思います。
初めて「分けられる子ども」側のことを考えたと言いながら、「自分の小学生の頃を振り返ってみると。どうして小学校に行ってたのか…」と、まっすぐに自分のことに引き寄せられる感覚はすごいと思いました。
それは、障害という言葉に惑わさず、「同じ子ども」という実感をもともと持っている人だということなのでしょう。私にはなかった感性です。
『学校は、子どもが、「利用」するもの。一日1時間だろうが、勉強ができなかろうが、学校での生活、授業という生活を、子ども自身の生活の一部として利用するもの』ということを、私は長い年月をかけて石川先生から学びました。
それを、Nさんは、「そうか、学校なんてそんなものなのか」と、あっさり見抜きます。
やっぱり、わいるどだなぁ。
今から、出かけるのでつづきます。
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森 晴子
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森 晴子
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森 晴子
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