《この社会は「入試」を利用して15歳の子に何をしているか?》(その18)
(ふと思う。タイトルの方向を変えてみよう。)
《この子たちは「入試」を利用する社会に何を伝えてきたか》(その1)
伊織くんや純くんやあーちゃんの言葉が、私の耳にずっと聞こえ続ける。この「ことば」はなんだろう。
たとえば5歳の純くんに出会って、17年間、私は純くんの「話す言葉」を聞いたことはない。純くんが書く文字をひとつも読んだことがない。そして浪人させたまま、逝かれてしまった。
今のように、日本中の子どもが学校に行けない時ではなかった。席はあり余っていた時代に。教室が二つ空っぽで、生徒を募集していた時代に。一人だけ「定員内不合格」にさせてしまった。7年も。
でも、いまも聞こえる純くんの声がある。
「こうこうせいになりたい」
それは「15年生きてきたことはなくならない」と聞こえる。
「22年、生きてきたことはなくらない」
みんなのなかで生きてきたことは浪人している間も、自分の中に残っている。色あせることなく、記憶が薄れることもなく。「みんなのなかにいたことはなくらない」という言葉が、私に届く。
□
「言葉を使うことができる」
ことと、
「《わたし》を伝えあう」
ことは、別のことらしい。
□
「言葉を使わない」からという理由で、「《わたし》を伝え合う」生活と学びの機会を、なしにしないでほしい。
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