ワニなつノート

耳を傾ける場所(3)




障害のある子どもが普通学級から特別支援の場に移ることを、
普通学級の先生は、分からない授業を受けているかわいそうな子どもが
「救われること」だと思っているところがあります。

「手のかかる子はいなくなればいい」と思っている場合もありますが、
そうではなく「善意」で他の場所を勧める場合でも、
子どもの置かれる状況は同じです。

特別支援学級の先生は、「やっぱりふつうは無理だったのだ」と考えます。
「ボロボロになってここにくる」
「最初からここにきた方が指導しやすいのに…」と言う人もいます。
特別支援の場が、障害児の本来の居場所なのだと考えているのです。

たとえ、
障害児は特別支援教育を受けた方がいいという信念があったとしても、
それまでの生活、友達、仲間、自分の居場所、兄妹、家族の暮らし、
そのすべて何もかもが変わってしまう不安を抱えている
小さな子どもの気持ちを思いやれないのは、
不幸なことだと思います。

大地震で学校がなくなり、
友だちとバラバラになってしまう子どもと同じような状態なのに、
そうした心のケアが必要だと思われないのは、
やはり子どもにとっても、大人にとっても不幸なことだと思います。

自分の8才の時のことを思い出しても、やはりそう思います。

普通学級でひどい目にあう子どもがいるのは事実でしょう。
障害児に限らず、先生の言うことを聞かない子、
いじめられる子、家庭に問題を抱えている子ども、
そうした子どもが嫌いな先生は少なくありません。

そこで、居場所をなくす子どももまた少なくありません。
学校で自殺してしまう子どももいるのですから。

だから、学校でひどい目にあって、
疲れて自信を失くした子どもが、
保健室や特別支援学級で、一息つけることがあることを、
私もよく知っています。

それは、災害の場合の子どもに例えれば、
「緊急避難」ということになるでしょう。

そうであれば、やはり心のケアも必要だし、
緊急避難しなければいけなかった事情に耳を傾けることは必要でしょう。

そして、その子どもにどんな障害があろうと、
どんなに勉強ができなかろうと、
あなたが辛い思いをさせられる正当な理由はなかったのだと
伝えてあげる人がいてほしいと思います。

そこが「あなたの居場所ではない」という人たちが間違っていたのだと、
誰かが伝えてあげる人がいてほしいと思います。

あなたをバカにしたり、いじめる人が間違っていたのだと、
それが先生であったとしても、その先生が間違っていたのだと、
ちゃんと話してあげてほしい。

あなたがそこにいたのは間違いではなかったと。

勉強ができないことや、障害のあることは、
人として少しも恥ずかしいことではないと、
正しく伝える人が、子どものそばにいてくれることを願います。
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